パトリオット
劇団チャリT企画
新宿シアタートップス(東京都)
2025/06/25 (水) ~ 2025/06/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
理解不能の危機で地下倉庫に避難してきた人達
スマホがリアルタイムに繋がらないと、個々が持ち寄った情報だけで事態が独自に創りあがっていく様子が面白い
現実とSFエッセンスの素敵な融合
シアタートップスの特性を活かした参加的、視覚的要素も加わり、ちょっとした異空間に迷い込んだ感覚になりました
キンギンヒシャカク
Soymilk Stage
シアターサンモール(東京都)
2025/06/18 (水) ~ 2025/06/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
昭和コミックを一気読みしたかのようなボリュームと疾走感
コンプライアンスという言葉がまだ使われていなかった頃のパンチある笑いとお色気攻撃
そこにハイテンポで入るツッコミが今のお笑いスタイルにも似ているなと感じるハイブリッドコメディー
それにしても天下分け目の将棋決戦くらいの勢いだったけれど、よく考えたら「この勝負、負けたところで・・・」なんですよね(笑)
もう沢山笑いました、面白かったです!
『流浪樹~The Wanderer Tree~』
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
戦時中、そこにいた人々の生き様を寄り添うように観る事ができ、感動しました
厳しい時代の悲壮感より逞しさが勝っている姿に最初はとても心強い気持ちで観ていたのだけれど・・・
彼等が切望していた多くの事を現代の我々は当たり前のように享受しているのではないかと思えて何とも言えない気持ちになります
台湾からのお二方はてっきり日本語が出来る役者さんだと思っていましたが、日本を含めた2か国語ともこの公演のため台詞を習得されたとの事
心地よく伝わってくる逞しさ、一途さの中に、それ以上の熱量を感じるのは、こういうところにも理由がありそうだと思え、アフタートークでまたウルウルしてしまうのでした
明日、泣けない女/昨日、甘えた男
株式会社テッコウショ
シアターサンモール(東京都)
2025/05/03 (土) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
北海道の漁港町、憶測に噂話、田舎のイヤ~な感じがしても実際に性格の悪い人なんて一人もいないという
好感すら持てる人達をもってしても「性欲」が絡んでくると、こんな流れになってしまうのかという説得力に思わず唸ってしまいます
深刻と可笑し味、主人公女性の個性的な「性」について斬り込むと、必然的に男の「性」も浮き彫りになって、捉え方が決定的に違っているのが明白でとても興味深く
女性同志であっても受け取り方や関係性が全く変わってくるので更に興味深い
あやふやで魅力的な主人公女性
垣間見える「孤独」や「承認欲求」から抜け出すには確かな愛が必要ではないかと思うものの、実際やっている事で増々そこから遠ざかる羽目になるという ジレンマ
自分自身がどう見えているのか、間違ったものに救いを求めていないか、いくら言葉を尽くしたとしてもなかなか一筋縄ではいかなさそう
彼女を取り巻く家族や町民、町にやってきた人たちとの関係性がとにかく巧みに描かれグイグイ引き込まれます
心情の微妙な動きや移り変わりが自然に感じ取れる一級品の人間ドラマでした
アルカの板
9-States
駅前劇場(東京都)
2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
観劇前はかなり特殊な気質をもった漁船の町をイメージしていたのだけれど、そんな事はない地方のどこにでもありそうなコミュニティー
存続の危機に直面する中でそれぞれが主張する正義は、裏を返せばその主張が通らなければ自分にとって都合が悪いという事でもあり
それぞれの立場になって考えれば納得できてしまうものだから、そうなると正義の行方が混とんとしてくるのがとても面白く目が離せない
何っその言い方(笑)調子に乗り過ぎだろ(笑)などと沢山笑ったけれど、その笑ってしまう理由にはその人への共感が多分に含まれているので中々に味わい深い笑い
生活が懸かっている登場人物達にとっては深刻なのは当然だけれど、客席からはそれぞれの衝突が広い視野で見えているので何とも興味深く人生勉強になる公演でした
通夜もなかばを過ぎて
ゆく道きた道
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
【鶴組】初日を観劇
ことのはboxさんは過去にも高齢者の役者さんにとても巧い演出をつけられていたので、きっと本作も!と確信していましたが、みごとに的中していました
ずっこけたくなる可笑しくも優しいお話しで、人は死んだらほんとにこんな風なのかも・・・「死別」の悲しみに対してほんのり灯りをともしてくれるような、しみじみ沁みてくる感じの公演
この世界観の中では高齢者の役者さんが(高齢者ではない役者さんも)役になりきって演じていることで、台詞がおぼつかない部分がちょっとくらいあったとしてもノープロブレム
役者さんご自身のキャラクターがちゃんと後押ししてくれているから最強
ちょっと笑ってしまうその後にしみじみと、なかなかに魅力的な公演でした
浅草カルメン
歌舞伎オペラ実行委員会
浅草九劇(東京都)
2025/04/13 (日) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
花魁と浪人、訳あり者同志の悲恋
女形独自の凄味と圧倒的な美しさ、まずは花魁の登場に感動
日本人のくせに思わず「Oh!」と言ってしまいそう
ライバルの花魁役を女優さんが演じられており、そのナチュラルな美との対比で特殊性がより際立って見えるし
浪人の存在感も中々のものでバランスのとれたカップル、とても絵になる
歌舞伎とオペラ、両方の要素を取り入れているのが大きな特徴であるのに加え、チンドン屋が物語をナビゲート、客席を面白おかしく盛り上げてくれるのも良く、更には和太鼓のスーパーテクニックまで味わえるという盛り沢山エンターテイメント(他にも殺陣シーンとか色々あるけど書ききれない)
花魁という特殊な世界観と恋愛像に“触れる”感じの臨場感
これは浅草に遊びに来ている沢山の外人さんにも味わって欲しい(英語字幕あり)
すぐそばに日本の醍醐味を存分に感じ楽しめるエンターテイメントがある事に気付かれないっていうのは勿体ないと思う、本当に
拘ったところでたかが文字
劇団皇帝ケチャップ
新宿シアタートップス(東京都)
2025/04/16 (水) ~ 2025/04/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
超満席の喫茶店が舞台
お客さんは示し合わせたわけでもないのに全員が小説家とその関係者
テーブル間や店員さんの間でポンポン言葉が飛び交って、それを目で追っていく様はまるでゲームセンターのピンボールみたい
実際のピンボールは球が落ちていく事があるけれど、この球(言葉の応酬)はずっと弾けまくっているし、毒気をちらつかせるのを忘れない(笑)
ツボにはまる人物を見つけたら、やみつきになりそうなスタイルであるなぁと思いながら楽しませて頂きました
十二人の怒れる男たち
舞台「十二人の怒れる男たち」製作委員会
サンシャイン劇場(東京都)
2025/03/26 (水) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
何度か目の「十二人の怒れる男たち」でしたがサンシャイン劇場という大きい劇場で拝見したのは初めて
小劇場での観劇では、すぐ傍で傍聴しているかのような臨場感あってこその作品かと思い込んでいましたが、劇場の大きさに合ったスケール感というか、アガサクリスティー作品を観ているような面白味が
会議室にドヤドヤと陪審員たちが入ってくる冒頭のシーンだけでもう「これは厄介な展開になるんじゃないの…」と予感(期待)させてくれるのは
決して揉めながら入って来たからではなく、大のオトナがこんなに・・・個々人が何気に発している圧倒感からではないかと
夏砂に描いた
miwa produce。
πTOKYO(東京都)
2025/03/28 (金) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
波打ち際の泡、錆が浮いた停留所の表示板、風に揺れるカーテン、空耳かと思う音色と空・・・様々な情景が浮かんでは消え次の情景に・・・映像のようにイマジネーションを掻き立てられる朗読劇
こんなに胸が苦しくなる直球の恋愛ものに出逢えたのは超久しぶりかも
若い方に響くところはあるに違いないけれど、包括的に味わい尽くす事ができるのは中高年の観客ではないかと
胸がしめつけられる初恋の感覚を今一度呼び起こしてみたい方は是非
絶妙なタイミングで差し込まれる生ギターの音色
ソファー席のみならず、どの座席(自由席)にも飲物を置けるテーブルなり台が用意されており、劇場とはまた違う ゆったりした空間で舞台の世界に没頭できるというのも素晴らしかったです(飲物の注文は任意)
TARKIE~伝説の女たち~
ケイローズ株式会社
有楽町よみうりホール(東京都)
2025/03/24 (月) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
日本のエンターテイメント黎明期をエンターテイメント作品に
波乱に富んだ時代背景、松竹少女歌劇団vs宝塚歌劇団の対立シーンは格別に面白く、戦争の闇の中、水の江瀧子さんの逞しさに光を感じました
なんと演劇にも関わる時期があったというのも興味深い
見入っているうちに演出が植草克秀さんだった事を思い出し、あぁ確かにと
めくるめく生バンドでのレビューショー、ラストに向けての大盛り上がり、とことんエンターテイメントで満たされていくスタイルはかつてのジャニーズ公演と通じるところが多い(宝塚との相性も良いし)
アフタートークでは植草さんご本人も登壇
少年隊仕込み、演者に近く親しみやすい演出家という雰囲気がしました
右往左往
猿博打
OFF OFFシアター(東京都)
2025/03/20 (木) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
旗揚げ時代に、ここはもっと脚本力が付けば凄い劇団になるのではないかと
個人的にもどかしい思いをしたのだけれどあれから数年、今回脚本を手掛けているのは「かわいいコンビニ店員飯田さん」の池内風さん・・・え、最高じゃん!
実際、キレがあって小気味いい劇団の持ち味が炸裂、本当に最高の舞台でした
学生社会運動メンバーとノンポリ演劇部と演劇部OBの会話劇
劇中に演劇部員の劇評があり、それに笑っていた事を思い出すと何とも書きにくいのですが、リアリティーあるフィールドに生きる三者それぞれに強く惹きつけられ、ただもう目まぐるしいくらい面白かったです
現在をテーマにしたディベートシーンひとつ取っても若者達の放つ言葉に逐一引き込まれるし、加えてディベートしてない者の発言までもが香ばしく、これまた引き込まれてしまうという
笑ってしまう中に何ともいえない悲哀が、その悲哀にさえ可笑し味がこみあげてくるのだから、この3人、いつまでも見ていたい
怪人二十面相
J-ROCK
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/03/18 (火) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初日を観劇
金髪の二十面相にスラっとした明智小五郎
オープニングでキャストが一堂に会すると、もうそのビジュアルだけで面白い事が起こりそうな感じがする
明智小五郎がめっちゃ喋って しかも毒舌、小林芳雄は少年にしてはちょっとスレていやしないか(笑)
キャラクターに独自の色付けがされているので、かなりオリジナル色の強い印象
これって原作が持つ雰囲気より数年前NHKで放映していた「シリーズ・江戸川乱歩短編集」のイメージに近いような気が
現代風にアレンジ、それでも漂ってくる昭和の香りが良い
ご町内デュエル
sitcomLab
ザ・ポケット(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
佐野瑞樹さん演出のLeftチームを観劇
全く生活圏が異なった者達との衝突に加えて強烈な個性の妙味、いろんな要素が絡まり合った結果、やり取りのほぼ90%が食い違っている(笑)
段々増えていく登場人物の組み合わせによって食い違いの内容も増々多彩に
新たな諸事情や勘違いの誕生でオモシロの勢いをずっと加速させたまま駆け抜けていったのが見事
ずっと大笑いというより小気味よく含み笑いを重ねつつ時々爆笑というテンポの良さが何とも心地よかったです
『BORDER〜罪の道〜』
五反田タイガー
六行会ホール(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
シリアスな物語をイメージさせるフライヤーデザインと説明文
こちらもその心積もりだったのですが、おや?まず始まった前説ではめっちゃコミカルな空気感が
これは一体どっちだ・・・
なるほど シリアスとコミカル、二刀流だったのでした
オール女性キャストで繰り広げられる女性刑務所の世界
シリアスとコミカルを織り交ぜた独特のテンポが心地良く惹きつけの握力も強い
それぞれ推しのあるお客さんも大勢おられた様でしたが、個性が豊か
これなら皆さん満足感を得られただろうなぁと、見応えもあったし
七人の墓友
diamond-Z
荏原文化センター(東京都)
2025/02/27 (木) ~ 2025/03/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
いずれやって来る死を意識させる「哀」に墓友なる仲間達の「楽」な空気感を纏わせた、ほろ苦くも面白いストーリー
色んな人が登場して自分達の日常と同じ目線で楽しめるというdiamond-Zさんの劇団カラーにとても合っている作品
吉野家を中心とした様々な人達を見ていると確かにお墓にも多様性があって全然良いと思えてくる
夫に「一緒のお墓に入りたくない」と宣言するくらいなら、もう生きているうちに別れてしまった方が良いのではないかと個人的には思ったりするも、ナルホドお母さんの言葉に頷けてしまうところもある
その一方で老後になって一緒にお墓に入りたいと思える友人ができるというのがなかなか素敵なのでは、と思いながら鑑賞していました
FUTURE
DRUM TAO
THEATER MILANO-Za(東京都)
2025/02/21 (金) ~ 2025/02/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
自然の神秘、壮大な美しさをモチーフとした映像をバックに従え 笛、尺八、琴、三味線そしてド迫力な和太鼓の響き
演奏のみならずパフォーマンスクオリティーも驚くほど高く、時間が経つほどに身体が浄化されていくよう、もう感動ものでした
耳に、そして目にするもの全てが美しいのですが特に目を引いたのが男女共プレイヤーの筋肉の美しさ
その筋肉の躍動で生まれる波動がそのまま全身に響いてくるという生舞台の醍醐味
色とりどりにショーアップされたシーンのひとつひとつがまさにクールジャパン
お隣もそうでしたが外国のお客さんがこんなに多い舞台というのは初めてだったかも
すっかりインバウンドの街に様変わりした歌舞伎町に燦然とそびえ立つ歌舞伎町タワー
そんな現在の歌舞伎町を象徴したような娯楽で溢れるタワー内劇場にとても相応しい公演でした
おーい、救けてくれ!
SPACE U
ギャラリーLE DECO(東京都)
2025/02/19 (水) ~ 2025/02/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
Cチームを観劇
まずはスペシャルゲスト白尾祐典さんのヴァイオリン演奏
小さな空間、至近距離での生演奏というのは初めではないですが、こんなにも真正面からヴァイオリンと向き合い、ヴァイオリンをダイレクトに感じ取れる機会はかなり貴重
約15分だったとはいえ至福の時間、痺れました
休憩後に本編開幕
おそらくチームの中では一番若いペア、その若さが良い方向に作用していたのではないかと
牢屋の賄い人である少女は あまりに世慣れしておらず、投獄された青年に心を許していく様、その先にはどうも嫌な予感が・・・
静かな演劇を予想していたのですが、なかなかにパッショナブル
うまくいけばいいのにと思うのだけれど、どうにも嫌な予感が
予感が当たったか否かはネタバレのため自粛、是非劇場にて
おばぁとラッパのサンマ裁判
トム・プロジェクト
紀伊國屋ホール(東京都)
2025/02/03 (月) ~ 2025/02/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
このところ世界中が関税発言に振り回されている中、時代や規模の違いこそあれ本作も「関税」がテーマ
政治問題を扱っているとはいえ お茶の間的な性格も有しているので、親近感をもって観る事ができました
魚屋の柴田理恵さんと弁護士の太川陽介さんのゲス笑いに観ているこちらも思わずつられて笑ってしまいますが、人として何を望むべきなのか、段々と見る目が変わっていき・・・
沖縄の陽気さと、理不尽を何度でも打ち返そうとするエネルギーに敬意を表したいと思う公演でした
時代絵巻AsH 其ノ拾八『蒼穹~そうきゅう~』
時代絵巻 AsH
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2025/02/06 (木) ~ 2025/02/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
侵略を受ける日高見国の民のみならず、侵略する側である大和国の人間模様にもしっかりスポットを当て描かれている事
そして大和国の中にも良心ある者が少なくとも存在していたという事で物語にグッと深みが
守るべきものを命懸けで守ろうとした人達の生き様が切なく、それを取り巻く大きな勢力図が美意識高く描かれた時代絵巻
今回も小劇場の枠を完全に飛び越えた壮大さと美学に圧倒されました