ますらをの伴
ドナルカ・パッカーン
SANAIZAKA STUDIO(東京都)
2017/07/06 (木) ~ 2017/07/09 (日)公演終了
満足度★★★★
1943年「学徒出陣(学徒動員)」を背景にしたNHKラジオドラマを舞台化。題名は、学徒出陣で東条英機が詠んだ短歌の末尾から。おそらく当時はラジオドラマの手法が確立してきた時期。安定した作劇。ラジオドラマは、戦後に黄金時代と改革期が来て1960年代後半から1970年代頭でほぼ衰退。1960年代に発掘再制作が相当数されたのだが、これは恐らく意図的に伏せられていた脚本。
園っ、
中野坂上デーモンズ
王子小劇場(東京都)
2017/06/21 (水) ~ 2017/06/25 (日)公演終了
満足度★★★★
ペーター・ヴァイスの《マラー / サド》(1963) という歴史的な作品があるのだが、テンション的には劣るものではないかも。札幌のAND出身の矢野杏子さんの怪演(奇妙な扮装で突き抜けた台詞を言う)ほか、経験者なら背筋が寒くなるメンへラ女性群の演技が怖い。黙示録として描きたいのは納得できる。/.../ 暴力描写少し。裸体も少し。作者はおそらく小劇場のポテンシャルで実現できるギリギリ以上の構想力を持っている。
木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談ー通し上演ー』
木ノ下歌舞伎
あうるすぽっと(東京都)
2017/05/26 (金) ~ 2017/05/31 (水)公演終了
満足度★★★★
2004年の Ort-dd『四谷怪談』は、伊藤喜兵衛の役柄を改編・強調して別の劇に仕立てていた。《トスカ》的な物語に。あれはあれで非常に優れていた。
りんぷん手帖
やみ・あがりシアター
王子小劇場(東京都)
2017/05/12 (金) ~ 2017/05/16 (火)公演終了
満足度★★★
現状、年に3,4本のペースで公演しているやみ・あがりシアターの笠浦静花(カムヰヤッセンに在籍していた)。やはりここも配役、小道具が良く出来ている。新劇系の劇団のそれ(写実的な装置)はもはや過去のものとなっている。季節感を強く意識した劇内容。手帖に書かれた予定に従って月一くらいのペースで会う、ネットで知り合った4人の専業主婦たち。伏線を張って回収しまくる。納得できない部分とよく考えられている部分が混在している感じ。ポエティックな比喩を嫌味にならない程度に展開させている。マジックが残る。
や喪めぐらし
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
目黒区駒場住区センター(東京都)
2017/05/07 (日) ~ 2017/05/07 (日)公演終了
満足度★★★
(12:00-13:27 /.../ 13:33-14:33 /.../ 15:12-17:05)
最中、青木祥子、大倉マヤ、石黒麻衣。......はじめ一人づつ登場。徐々に加わる。退場する。2人、3人になることもある。どちらかといえば最中さんが全体をリード。大倉さんがカラッと明るく。
うどんは、エノキダケと玉葱と醤油の黒い温いツユ。黒ゴマいり味噌と芽タデの冷や汁。タデ酢。
枝豆の苗、ハイライト(煙草)、映画『家族ゲーム』みたいに並べたテーブルに電気スタンド、真ん中の秤。入れたものはペン、スマホ、カーディガン?
和室。障子。カーテンと風。風が立てる音。カラス。行き交う人の騒音。一箇所、フェリーニ《道》の音楽流す。
変身
劇団普通
新宿眼科画廊(東京都)
2017/04/07 (金) ~ 2017/04/11 (火)公演終了
満足度★★★★
--風月花鳥ならば春といえば桜なのだが、そうでなくれば、埃っぽい突風、冷たい夜などが、桜の代わりにあがっても不思議ではない。ずっと風の音がしている地下劇場。
『変身』に関して、新解釈があるとか、衝撃のビジュアルがあるとかいうわけではない。忠実に、細部にこだわって、イメージを描き起こしている。いわゆる劇団普通のスタイル、一直線に歩いて登場する人物。冒頭の発声者の人称の混乱? 繰り返し。ひそかなエロティシズム。凝った道具立て。自分のスタイルに引き寄せている。
芝がするどく鳴ってゐる
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
豆喫茶でこ(是政)(東京都)
2017/03/19 (日) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★★
#16 平原演劇祭2017・第2部『芝がするどく鳴っている』(13:00/13:15-14:11/.../14:45-16:28 ¥1,000-)。 @是政(府中市)「豆喫茶でこ」。
--短いイントロダクション。
--『詩とはなにか』......さやか。13:17-13:36
--歌:戸川祐華。13:36-14:11
--野外朗読パフォーマンス(緑道にて):暁方ミセイ『小岩井農場2016』。酒井康志。14:45-15:11
--『孤立ヶ丘』......ひなた。角智恵子。中沢寒天。15:11-16:24/.../-16:27
未亡人の一年
シンクロ少女
ザ・スズナリ(東京都)
2017/03/08 (水) ~ 2017/03/12 (日)公演終了
無教養意味なし演劇vol5 「第一次『へその緒再生プロジェクト』」
劇団「地蔵中毒」
プロト・シアター(東京都)
2017/01/28 (土) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★
初期シャルリーエブド(の前身の《Hara-Kiri》)のエロ写真をコラージュした表紙のようなイメージ。アングラ劇の定型に沿っているともいえる。母親探し。オチのしれっとしたはずしかきついコントの連続かと思いきや、いくつかのエピソードが重なって三鷹市が崩壊するという話になるという。2時間超。やや長いか。
2020
西尾佳織ソロ企画
トーキョーワンダーサイト本郷(東京都)
2016/12/22 (木) ~ 2016/12/24 (土)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2016/12/24 (土)
価格2,000円
落語のような。あるいは意識高い系スピーチコンテスト「TED」のような。組織だって展開された繊細な感覚・違和感・苦しみ。神経質的でもあるが。初等学校教育の苦痛さ、についての思い出話は身につまされてまさに「痛い」。忘れていた憎しみが甦る。幼い頃からの体験の共振力。文字だけの表示。映像。音声。「地球の自転する音」、工場見学、田舎のジャスコ、ニセのおっぱい、等々。なんとなく優等生の演劇かも。
ロリータ
劇団きのこ牛乳
新宿眼科画廊(東京都)
2016/12/09 (金) ~ 2016/12/14 (水)公演終了
満足度★★★★
別役実、あるいは小説を書いていた頃のベケットのドラマのような。
音楽無し。木製の台座だけのセット。どこかの地下室、あるいは路上。抽象的な関係を描くと思いきや、具体性も示される。先生とその弟。男女二組の学生。女性が相手によって違う顔を見せる。あるいは男が女性に見せる顔。過去の起きたドラマの片鱗。配役、衣装が巧み。
幻影城の女たち-胡蝶ノ夢編-
劇団ユニット・ラビッツ
Space早稲田(東京都)
2016/11/10 (木) ~ 2016/11/13 (日)公演終了
満足度★★★
福島ポスト311
福島ポスト311の若者たちが近過去を振り返る「学園もの」であり、その学園の文化祭で上演される劇の稽古、つまり「バックステージもの」でもある。擬似ミュージカル風。
一輪の書
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
天狗湯(西荻)(東京都)
2016/11/05 (土) ~ 2016/11/05 (土)公演終了
満足度★★★★
三段ブースターロケットのように
アングラ演劇の骨法・文法に沿った展開。岡本かの子『河明かり』。待ち受ける人間ならぬ人間。三段ブースターロケットのように異世界に徐々に突き進む。洗い場への窓が異世界への扉。水滴の音。最後は中世日本の戦乱期へ。ピストルでご破算。何事も無い様に復活。なかなかの傑作。一輪は埼玉の崖の百合の花。
梨園の宴-第4夜-
一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド
まるた石井園直売所(千葉県)
2016/10/08 (土) ~ 2016/10/08 (土)公演終了
満足度★★★
大玉の梨をお土産に
新鎌ヶ谷の駅から程近い小高い山を削って作ったかのような梨園と、隣接した空き地を使った野外劇イベント。四年目にしてとうとう参戦出来ました。雨上がりで風が思いのほか強く、火を焚く演目は大惨事に見舞われましたが、ラストの演目はよかった。供された軽食や梨もいちいち本格的においしい。強烈な印象に残るイベントでした。
ゼミ『風景として立つ』
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
西和賀町文化創造館(銀河ホール)(岩手県)
2016/09/04 (日) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★
錦秋湖に面したテラス
「風景として立つ」。錦秋湖に面したテラス状の劇場の裏を視察に。平原演劇祭のアウトラインと、嵯峨ふみかさんの出演。水没演劇祭の映像。高野さんには、あの花火と劇のシンクロは大きな成果だったとの意識があるのだと思う。
愛より速く【日本縦断復路ツアー】
劇団どくんご
井の頭公園西園 ジブリ美術館裏(三鷹市)(東京都)
2016/09/01 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
多次元の演劇
冒頭の強力な挿話の連発。後半がまたすごい。動詞だけの言葉の演劇。言葉を失ったアクションだけの演劇。物語とナンセンスの極地のギャグと前衛的取り組みの織物。
中入りゲスト。まつもともえさん。良かった。新鮮で迫力あった。
大型
3.14ch
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2016/08/25 (木) ~ 2016/09/03 (土)公演終了
満足度★★★★
危険なヨクボウ
人間の人生をある瞬間に凝縮して描くという、作家としては、ある種の健全性と、非常に危険な特質を持っている。「ビッグアイディア」をやや卑小な設定に落とし込むといった印象。ファンタジー展開はかなり強烈で粘っこい。ボブ・フォッシー《オール・ザット・ジャズ》や、フェリーニ映画の系譜にあたる内容だと思う。もしも自分が制作サイドだったら、この作家の浪費におそれをなすかも知れない。
うつくしいほしから遠く離れて
錦鯉タッタ
新小岩ZAZA(旧 新小岩劇場)(東京都)
2016/08/27 (土) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
久しぶりのヒット
三島由紀夫『美しい星』とサザエさん一家の禁断のコンバイン。恐るべき台詞が出てきます。花上直人とノムラヒハルの舞踏的ダンス対決? 復活した組み立て式セット。ロックナンバーも良い。久しぶりのヒット。
愛より速く 【日本縦断往路ツアー】
劇団どくんご
手賀沼公園 芝生広場(我孫子市)(千葉県)
2016/07/08 (金) ~ 2016/07/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
我孫子公演
終りの構成の進め方などに微妙な修正があってさらに良くなった。中入りは「ものがたり文化の会・ねもとパーティー」の『よだかの星』改変版。草深い広場で若干すり鉢状になっていて声が響く。公演は3日間。予約で席は埋まっている。
愛より速く 【日本縦断往路ツアー】
劇団どくんご
北越谷駅前さくら広場(越谷市)(埼玉県)
2016/06/28 (火) ~ 2016/06/30 (木)公演終了
満足度★★★★★
今年のどくんご観劇は越谷から
今期どくんご。よく見ると素材はリサイクルしているが、狂気と毒気が増していた。過去の公演の美味しいとこ取りともいえるかも。
日本の伝統芸能の扱い方の怪しさ。解釈はいろいろ可能だろうが、現在の社会についてのリアリティがある。
鏡像人間の迫力。演技の繰り返しが考えさせるもの。感じさせるものには、横の時間軸ではない、人間の習性の謎にむけた縦の時間を探る強烈な劇的探求がある。これが、ここが日本演劇のエッジです。