岸田國士の思案
おででこ
【閉館】日暮里ARTCAFE百舌(東京都)
2015/05/26 (火) ~ 2015/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
雨に思案
観劇からおよそ三週間も経ってしまいましたが、感想を書かせて下さい。
「女らしさについて」を始めとする、岸田の評論そのものは、複雑で、難解だったように思います。だからこそ、耳に入ってくる洗練された言葉の端々は「聞きたい、理解したい」と観客に能動的に思わせる、不思議な力を持っていました。
「岸田國士の思案」を観に来たつもりが、いつの間にか自分自身が思案することに導かれている。ラストに出てきたものの意味を折に触れ考えていました。ああそういうことだったのか、と最近ようやく理解した私は鈍いですね(笑)
私たちは思案する、考える、底が浅かろうが、日和見だと批判されようが、思案が例え何にもならなくても、考えることを止めてはならない、改めて強くそう感じました。流されようと思えばいくらでも楽に流されてしまえる時代です。おででこさんがこの作品を上演した意味、伝わりました。
それにしても各々のキャラクターが見事に調和していて、素晴らしい舞台でした。ああしてひとつの空気をつくりあげることこそ、演劇の醍醐味でしょう。
ラストシーンの評論の中に、恐らく「妻の日記」から取ったのでしょうか、日常的な女の台詞が切れ切れに入る場面がありました。それが私にはハッとするほど印象的でした。岸田の思案を支えた当時の女性達の姿が、幻のように遠くに見え、役者さんたちが演じた役だけではない、もっと豊かな人々の姿を感じました。いや、舞台は、無限ですね。
来年もまた楽しみにしています。頑張って下さい。
あ・ら・かると岸田國士
おででこ
Ito・M・Studio(東京都)
2014/08/06 (水) ~ 2014/08/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
庶民への静かなエール
だいぶ時間が経ってしまいましたが、感想を記します。
まだ貧しかった頃の日本というものを知っている世代から見ると、大変懐かしさを覚える舞台でした。
今から考えれば苦しい毎日だったはずなのに、笑っていた大人たちのことを思い出します。
最後の、本当にラストの瞬間、何故か涙が出ました。
彼らかつての大人たちに、ああ、そんな幸福を降らせてやりたかったな、とそう思ったのです。
そしてまた、じわじわと格差の広がる現代でも、したたかであろうじゃないか、手を取り合って!そんな思いも感じました。
お芝居というのは、本当に凄いものです。
良い舞台は、単純に物語を描くだけではなくて、奥行きのある空間の中に、時空を超えた何かが見えてきます。
ありがとうございました。次回の作品にも期待しています。
神の左手
キコ qui-co.
Ito・M・Studio(東京都)
2014/07/03 (木) ~ 2014/07/06 (日)公演終了
満足度★★★★
非常に面白かったです
若い人の素晴らしいエネルギーが伝わってきました。物語から、役者から、生物としての生命力を感じました。眩しいような感動がありました。