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ボス村松
まず、私がこれを言って、だから、この芝居はおもしろいんですよ、というつもりはない、ということをご了承ください。 俺は、こんな気持ちで作ったんだけれど、すいませんでしたー、という感じです。 芝居は、嘘です。 で、綺麗に整った嘘をつこうとこの芝居は書かれていません。 この嘘は、こんなの見たことない、と言われたがっている嘘です。 ただ、なんか腑には落ちた、 この最低ラインはキープしたいと思っている。 役者は、与えられた役演じると同時に、演じる本人(それで食えるわけでもない演劇をだらだらやってる人)を背負っています。 その人の生き様、佇まい、役者として得意な音、苦手な動き、全部ひっくるめて、 そこに立ちます。 劇団員のシーンは、それがもっとも顕在化したものです。 話の構造としては、外から、キャベツ投げを見て、 外から視線の解説・批評が任されているシーンでもあります。 説明台詞が多いという、ご批判。たしかに説明台詞多いです。 ただ、俺は、この説明台詞、一つ一つが、面白くて、気が利いてるなあと思っている。 「大橋新田が、参加が後発だから、移動舞台で客集めをした」 「各町が、それを真似て今ではデフォルトになっている」 「狭い道にそれが入ってくるから、あぶなくてしょうがない」 なんと、もっともらしく、バカバカしく、人の、お祭りの営為をしみじみと表していることだろう。 アドリブは難しい、の台詞に関しては、エッセイです。 俺、こんな失敗したんだよー、でうまいこといかないことをネタに笑っていただこう、の 心持です。 この芝居は、綺麗に整った嘘をつこうとは、描かれていませんが、 自分なりの美意識はものすごく、張り巡らされていて、 話の矛盾は、おおむね、それオカシイやーん、の突っ込み待ちの矛盾で、 実は、笑ってほしいところだっりします。 ガンバさんと藤田ともおが、つきあっている、というのを例にとると、 まず、キャロラインの気持ちを自分から逸らすための、装置として 「俺はゲイだ」、という言葉が舞台上に生まれ、 それは、最初、嘘かホントかわからない。 しかし、コーセーがその嘘を引き継いで、 話がもっともらしく、自分の過去として語られ、 話を始めた自分が、「にわかに自分のこととは、信じがたい」という事態に陥る。 それを受けての、 グッチーの、「キャベティーナは、立ち止まらない、祭りだ、祭りだ」の台詞。 矛盾とかどうでもいい、ただひたすら、GO! 狂え。お祭りなんだから。 「もっともっと。 もっと激しく、もっと死んじゃうみたいに」 お祭りの巫女として、藤田キャロラインが、熱狂をあおる。 トコロザーワ市民は1年を、お祭りの一日とそれを待つ364日に変えて生きるのだ。 祭りは狂乱の度を増して、工場長は病院送り、 チンポがでか過ぎたという最悪のシモネタまで生みだし、 まさかの、相撲で決着をつける、というB級の極みにまで達する。 そこで突然、ヤクザボタンという、わけのわからんものが出て、 ヤクザボタンを押すと、ヤクザが出てきて、ガンバさんを刺す。 工場長が、「間に合ったか俺のヤクザボタン」と言う。 説明はなし。 いいんだよ、お祭りだから。立ち止まらない。行っちゃえ行っちゃえ!! そんな芝居なのでした。 散らかったのは散らかったのが、面白いと感じる感性が作った芝居なのでした。
2014/06/04 15:04
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