大人の条件
The Vanity's
ギャラリーLE DECO(東京都)
2017/12/19 (火) ~ 2017/12/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
小劇場の公演は、大当たりか大外れいずれかというパターンが多いです。
今回は、大当たりのパターンです。
The Vanity'sという演劇ユニットによる第3回目の公演。過去2回の公演は拝見していない
のですが、今回の公演を見る限りしっかりと脚本を作っているという感じがしました。
オープニングのバッハのアリア "Erbarme dich, mein Gott"がすごくいい雰囲気でした。
したがってどんな作品になるのかなというのが、開始早々とても興味がわきました。
そのオープニングの前に、開演5分くらい前にキャストが揃って舞台上にそれぞれの姿勢で
止まって、顔見せというか、待機をしています。寝そべっている人はいいですけど、立っ
て手も形を示している人は、なかなか大変だったと思います。
そしてオープニングへ移行します。その時に舞台セットを定位置にし、劇場入り口の遮光
をし、クリスマストゥリーに点灯するという作業がありました。
この大気中は、舞台奥が見えないため、舞台の奥行きが分からなかったのですが、意外に
奥行きがあったのを初めて知ります。
オープニングの音楽の後は、主役瑞生桜子さんが絵を描いているというところからになり
ます。(この瑞生さん、蒼井優に似た雰囲気の素朴な美女ですね。)
ストーリーは、ネタがばれてしまうと、もったいないですから、何も書きませんが、とに
かく先が気になるような展開が素晴らしいです。三姉妹の話とその家族のことを気にして
調査を依頼された女性との話です。
まさかという展開になるのですが、あり得る話で、虚構ということにはなりません。だか
ら、現実味があって観客をうならせるんですね。
ラストシーンに主題歌を歌われるわけですが、瑞生さんの歌声透き通った声でいいですね
。ちょっと訓練すればすぐにミュージカル女優デビューも可能なレベルと思いました。
真剣に90分間を退屈せずドキドキしながら拝見しました。久しぶりに小劇場のクリーンヒ
ットでした。
カーテンコールが終わって、そのあと、コンサートをしますというので、これはありがた
い。プラスアルファの特典でした。
主題歌のフルバージョン、クリスマスソングを3曲。いい出来でした。季節柄とても楽しく
過ごすことができました。
楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~
道頓堀セレブ
自由表現空間 シアターカフェNyan(大阪府)
2016/04/27 (水) ~ 2016/04/28 (木)公演終了
満足度★★★★★
すごい迫力
それぞれの女優さんの演技が、迫真の演技で、お芝居とは思えないものでした。
以前にも別配役で見たことがありますが、今回のものは、舞台と観客とが近い位置関係ということもあったからかもしれませんが、文字どおりその場にいる雰囲気でした。
東京の観客にもこの迫力を見てほしいです。
ドアを開ければいつも
演劇ユニット「みそじん」
atelier.TORIYOU 東京都中央区築地3-7-2 2F tel:03-3541-6004(東京都)
2015/12/24 (木) ~ 2016/01/12 (火)公演終了
満足度★★★★★
心に響いた
久しぶりに心にずしんと響く舞台でした。
母親の法事のために久しぶりに実家に集合した四姉妹。
それぞれが結構異なる性格。
前半の4女役の吉田芽吹さんの体当たり演技には、あっと驚きました。
これは、ぜひご覧くださいね。本当に驚きます。
ただの内輪喧嘩で終始するかと思うと、後半の描写では今はなき母親の子どもたちへの心情、また、父親の意外な事実とその妻である母親への思いなどが良く表現されていました。
出演していない人物の描写がすごいです。
芸達者の4人の演技がすごいです。それぞれが迫真の演技でした。
食事シーンでは、現物がちゃぶ台に出され、実際に食べながら演技され(さすが1階が飲食店)、その香りが観客席にまで届き、リアル感満点です。
めったに舞台を観て泣かない私を、よくぞ泣かしてくれました。
この低料金でこれだけの舞台が観れたらとてもお得です。
追加公演もあるそうですし、また見たくなりました。
なお、開演前の制作担当の座席への誘導がとても丁寧で、観客全員が舞台をはっきりと見えるようにする配慮、また、見切り位置がないことの実演で、安心して舞台を見ることができました。
出演者だけでなく制作担当によって、随分舞台の印象が変わりますので、今日は、とても気分よく観劇できました。
盆がえり
演劇集団よろずや
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2014/08/08 (金) ~ 2014/08/10 (日)公演終了
満足度★★★★
しっとりとした名作
初めて拝見した劇団なのですが、オリジナルストーリがよくできていました。三姉妹が実家に戻った時の物語というと、ああ、ホームドラマねと思われるかもしれませんが、どっこい、三人それぞれが、いろいろな問題を抱え、つらい思いをしているのがうまく表現されています。
特に重大な問題を抱えている三女の問題が最後にスッキリして、ほっとできる。見ている方もスッキリできるし、何より、悲しい涙を流す必要がない。
それでいて、家族愛に感動の涙が出る。
こういうドラマを観て、家族の在り方を振り返るのは、すごくいいことだと思います。
ラ・ボエーム(La Bohème日本語公演)
RAINBOW-STUDIO シアター・カンパニー
ムーブ町屋・ムーブホール(東京都)
2014/05/14 (水) ~ 2014/05/15 (木)公演終了
満足度★★★★
新しいカテゴリー
オペラとミュージカルの間を埋めるカテゴリーの舞台だと思います。
オペラのあの独特の歌い方の癖がないというのがいいですね。
以前日本語のオペラを聴いたことがありますが、日本語でオペラを上演するとどうしてもその歌い方により、日本語が不明瞭になって、何を言っているのかわからないということになります。
今回の舞台では、マイクロフォンを使って音を拾いますから、無理のない発声で歌うことができるため、言葉は明瞭です。
従って、お芝居の要素もちゃーんとわかります。
ただ、イタリアオペラはちょっとストーリーが納得できないところがあるので、その点は、致し方ないところです。
また、伴奏も録音でなく、シンセサイザーとエレクトーンを使っていますから、場面場面での対応が可能になっており、人間味のある演奏になっていました。
出演者も本職のオペラ歌手の方や声楽科の出身のミュージカル俳優の方々ですので安心して聴いていられます。
このような新しいカテゴリーの舞台芸術が発展していけば、楽しみが増えます。
企画をされたレインボースタジオノ長谷川大祐さんに敬意を表します。ご自身もマルチェッロ役できれいな歌唱をされていました。