風呂屋が投票した舞台芸術アワード!

2015年度 1-1位と総評
泳ぐ機関車

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泳ぐ機関車

劇団桟敷童子

戦後復興期、高度経済成長期に入った頃の炭鉱町を舞台にしたお芝居で、
タイトルに、まず注目しました。お芝居を観て、何かほっこりしながら納得。
役者さんの強い精神力と訓練された演技力に満ちた本番の間、私の集中力が途切れる事はありませんでした。
歴史を扱っている作品は、時代考証を自分の頭の中で行いながら、芝居を観るので、一つの明確な基準が出来るという点で評価がストレートに決まり、自分にとって楽な気持ちで観劇出来るジャンルだと思っています。この団体は、「忘れられつつある戦後史に責任を果たそうとしているのだ」と感じられた程で、役者さんに「歴史も味方をした」かの様な仕上がりになっていて大変感心しました。台詞はもちろん、炭鉱事故の際に鳴らされたサイレンの音まで私の耳に残っています。
初見の団体でしたが、今後観続けたい高い意識をもった劇団と評価します。

総評

2015年は、小劇団系の観劇をやめようと思った時期があります。
・プロアマ混在、お金を頂く資格のない自称役者が舞台に上がっている状況
・プロ意識の低さ、モラルの欠如
・内輪受け、お友達感覚が満ちている会場の雰囲気
これらが感じられる演劇団体があまりに多かった為です。モラルの点では、言語道断の出来事もあり、絶交した役者、劇団がいくつかあった、私にとっては悲しい2015年でもありました。「チケットノルマ」の為、これから世に出ようとしている役者さんが友人知人にターゲットを絞って、入場券を売りさばかざるを得ない状況には、同情を禁じ得ませんが、終演後の会場内における「同窓会的」雰囲気は、外部の客である私としては、情けなさを常々感じている所であります。
サークル的な演劇団体を徹底的に除外する事に昨年の春頃から努め、何とか満足度の高い劇団に出会えた事を幸いと思っています。でも、プロオーケストラ等のクラシック演奏会に比べると、小劇団は正直、まだまだ甘いと感じています。練習の後、飲み会等を催して議論される事を通じて、演技に磨きをかけるのも結構ですが、そういうノリは学生で卒業すべき事なんじゃないかな、と。
2015年に色々悩みながら、再度観劇を始めた体験を生かして、今年も観続ける事が出来たら、と思っています。

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