1
耳があるなら蒼に聞け ~龍馬と十四人の志士~
企画演劇集団ボクラ団義
史実考察ミステリにして
坂本龍馬の情熱的な生涯を見事に描いたお芝居。
そこに現れるそれぞれの思いをもった志士達、
方言含めみんな「本人ではないか?」と
想像させるぐらい素晴らしい再現ぶりもあり、
観劇中まさに幕末のあの維新の時代にどっぷりハマり込みました。
2
ダディ・ロング・レッグズ ~足ながおじさんより~
東宝
ミュージカル、それも2人と(バックでの奏者達)だけで、
2時間半に渡る足長おじさんの孤児院の少女と
その隠れた支援者との心温まるストーリーを、
素晴らしすぎる歌声で全編全てを「歌」で描いた名作。
これを観る事で、本劇ではお芝居というよりも
「歌」の持つ表現力の凄さを思い知りました。
3
シカク
企画演劇集団ボクラ団義
4人だけの会話劇にして、
4役全員キャスト回変わり組み合わせ変わりの、
挑戦的なお芝居。
序盤こそ慣れ不慣れの差もあり、
「ベスト」かあるいは「(お芝居が)崩れる」か、
そのモロさを感じる部分もありましたが、
企画演劇集団ボクラ団義、その劇団が持てる
現時点で持っている「ありのままの」力を見て下さい、
そういった紳士的な意図があるように思え、
観劇する度に成長していく役者達に
1役者を1年3年と追っていく中で味わう「成長」、
この楽しみを凝縮されたような企画性は素晴らしかったです。
4
舞台 新耳袋3
タンバリンステージ
自分が元々苦手とする怪談系、
「怖すぎてハマれなかったらどうしよう?」
と思っての観劇、
ほんと色々な方法で誰も幸せになれないエンディングへと、
怖すぎるお芝居、されど面白いお芝居、
「こわおもしろい」とでも言いたい、
そんな不思議な感覚を味あわせていただきました。
続編もぜひ舞台化して欲しいです。
5
痕跡 〈あとあと〉
KAKUTA
劇団KAKUTAさん初観劇。
誰かの不幸が誰かの幸せにつながっていたり、
誰かの幸せは誰かの不幸を隠したものだったり。
そして、人生の終わりに「行方不明の息子」について
再度調査を始めた母親を中心に、
あばかれ、崩れていくそれぞれの幸せ。
「泣けるから感動」とかそんな単純なものではない、
心に振動を与える意味での「感動」、
何か刺さるもののあるお芝居でありその終わり方でした。
いわば「KAKUTA味」、なんでしょうか?
(以前の「彼の地」でも感じたものに近いテイストだったので)
6
うちの犬はサイコロを振るのをやめた
ポップンマッシュルームチキン野郎
お芝居としてレベルの高いとはいえないような舞台表現。
そして数々盛り込まれていくシュール&ブラック&ありえない奇抜すぎるネタの数々。
(100%どんな手を使っても笑わせる、という劇団の強い意志を感じました。)
そんな中で未来を予知する天才犬は少女と出会い助けられ、
敗戦後の日本をしたたかに強く生きようとした所で
全てを知ってしまう、
「今」とそしてこの後起きる「悲劇」を。
その時犬が取った行動と回避された悲劇の先で
少女がたくましく生きる姿には、
常時笑いで持ってきたこの舞台上「号泣」に近い
素晴らしい吸引力を感じました。
PMC野郎は笑いと泣きのピークへ引っ張る構成力が本当に上手い。
7
THRee'S
ENG
プロデューサーの「三国志が好きだ!」の一念から始まった、
誰にでも分かる三国志序章、
丁寧に描かれる物語と、
そこに出てくる登場人物のあまりの「三国志」らしさ。
(昔なら光栄の三国志、今なら三國無双に出てきたキャラが
そのまま現実に現れたような見事な衣装とマッチした役者、
そしてその立ち居振る舞いの素晴らしさ。)
殺陣界の異種格闘技戦のような闘いを越えて、
そして観劇者達も忘れてしまったであろう、
本劇の始まりが「ファンタジー」であった事に。
そうして三国志序章としての役割をおさえつつ、
ファンタジーとしてのエンディングを迎えるこの舞台のラストまでを眺め、
この舞台の主役はそれぞれの役ではなく
「三国志序章」その物語自体である、とそう思えました。
(自分が知る中で)演技上手、殺陣上手、様々な上手達が集まっての
ドリームゲーム的なお芝居でした。
8
ディアボロス
カプセル兵団
「一度でいいから観て欲しい、カプセル兵団飛び出す演劇」
哥麿(うたまろ)です。
そう言いたくなるほどに見事な表現力、
お芝居の世界は思ったよりも更に広い事を教えられる
この世界の一端に、まさにカプセル兵団はいると思います。
ハードボイルドな殺しのプロフェッショナル「ディアボロス」の前に、
超能力研究所から「人の心が読める少女」が逃げ出してきた時、
銃と格闘とカーアクション、そしてサイキック(超能力)を交えた
ハリウッド顔負けのバトルアクションが幕を開ける。
見かたを変えれば子供の遊びに見えるかもしれない、
しかし役者の演技熱に感情を引っ張られた状態でみれば、
自分の想像力を掻き立てられて
まさに心のシアターにとんでもない豪華映画が展開される、
そんな自分の心を試す演劇、
基本「観て欲しい!」なんて宣伝っぽい事を言わない
(そういう偏った意見は嫌いな)自分でも、
「1度試してください、不味かったら二度と食べないでいいから」
と言いたくなるぐらいにこの表現力をもっと演劇界
更にはこれからの観客層へ広めたいと願ってしまいます。
9
ミラージュ・イン・スチームパンク
X-QUEST
「トクナガワールド」、これを「理解(というのはおこがましいが)」するのには
少しだけいくつかの演劇を観る必要がありました。
そして気づきます。
演劇の本質である、
「深く考えないで、観たまま感じてそして楽しんでもらえればいい」
に最も近い演劇だという事に。
そして、「考えるな!」と言われても考えないなんてのは
人間本当に難しい事なんですが、
舞台表現のあまりの幻想的な素晴らしさに、つい心を奪われる、
そして、
シナリオというよりも人間の心の瞬時瞬時の移り変わりのように変わっていく、
その場面転換と思考を重ねた時、
「舞台上であまりに面白い事が起こっているぞ!」と気付かされます。
本劇は破天荒といっていいぐらいのありえないワールド、
されどその本質、深層にして真相(隠されたテーマ)に近づいていくと
そこに視えるのは「涙」のロボの物語。。。
X-QUEST演劇には、一度ハマるとやめられなくなる、
薬物的(いや、合法ですよ)な常習性すら感じてしまいます。
あの王子小劇場の四面舞台とあいまって、
誰がどの席で観たとしても、同じ瞬間を共有できる、
それもまた素晴らしさの1つかと思います。
10
ゴーストライターズ!!
企画演劇集団ボクラ団義
悲劇から始まりつつ、それを喜劇的な方法で解決しようとする各登場人物。
しかし、なんとかなった、その先に
悪者たちが暗躍しての更なる悲劇。
そして戦う事を決意した、我ら「ゴーストライターズ」!。
戦いの中で明かされる、暖かでそしてあまりに悲しい物語は
涙なしでは観れないほどでした。
笑いと涙、ダンス、映像、殺陣、そして物語のピース(シーン)を
面白おかしく組み合わせる事の出来る、
タイミングの魔術師脚本/演出家久保田唱だからこその
見事なコメディ(の枠に入るのかしら?)の傑作です。