砂に浮かぶ町
空宙空地
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2016/01/29 (金) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★
空宙空地「砂に浮かぶ町」、フィリップ・K・ディック的な、別位相が同居する幻想作品。設定や話は分かるが、舞台演出の面(照明の切り分け、演技の規準、ネーミングの統一感、楽屋オチ的笑い等)で分かりにくい…。美術は最低限でよかったのでは。幻想文学にうるさい観客の意見です。
女の平和
公益社団法人日本劇団協議会
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2015/12/24 (木) ~ 2015/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★
日本劇団協議会 『女の平和』
日本の演劇人を育てるプロジェクト「女の平和」、史実改変ユートピア的戯曲に、「南総里見八犬伝」ラストの平和な房州を連想。戦争とセックスの関連を陽性・コミカルに出すアプローチは今なお新鮮。コロス劇・会話劇・ミュージカルの混在は、最初把握しにくいが観終われば気にならず。
日本の演劇人を育てるプロジェクト「女の平和」、育成対象とはいえ主演女優があまり舞台上で強く見えなかったのが違和感。最初はコロス劇風だったので、余計に。途中のシーンのように、会話劇主体ならそれほどでもなかったのかなあ。原点を、もっとアレンジして現代劇として遊んでもよかったと思う。
日本の演劇人を育てるプロジェクト「女の平和」、戯曲としては、シジババの出番が多いのが最初意外だったが、展開を見て納得。距離が若者より近くて接触しやすく、物語を動かせる。その分若い衆の、積極的な丁々発止の攻防戦(初期ガメラ映画的な)を見たかった気も。
日本の演劇人を育てるプロジェクト「女の平和」、舞台と観客を「同時代」と想定していたと思うが、あの作りなら、「古代ギリシャ」舞台と「現代日本」観客と想定した方が、むしろ観客は受け入れやすいと思う(ミュージカル「はだしのゲン」のように)。単純に受け入れられる文化の差ではないはず。
日本の演劇人を育てるプロジェクト「女の平和」、「戦争」と「セックス」という、現代日本では表舞台から隠したがる題材を全面に押し出しているからこそ、むしろ現代日本の観客に、困惑と笑いを併せて問題提起できる戯曲だと思うのです。クセックACT向き?
パンク歌舞伎「ハラ版 天守物語」
ハラプロジェクト
名古屋能楽堂(愛知県)
2015/12/19 (土) ~ 2015/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
ハラプロジェクト『ハラ版 天守物語』
ハラプロジェクト「天守物語」、人の世の理不尽からの自由を求める男女。華やかさと陰惨さが美しく並ぶ世界。激しい殺陣と滅びの美、そしてデウス・エクス・マキナ原御大による祝祭。それらと対比的な、一本筋の通った愛物語のしっとりした面が、常のハラプロに比べオトナの芝居wとしても楽しめる。
東名人間現る‼
順風男女
G/Pit(愛知県)
2015/12/19 (土) ~ 2015/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★
順風男女『東名人間現る!!』
順風男女「東名人間現る!!」、ゆるくリンクする各エピソードが、皆あと少し踏み込み足りず。メインの話も、説得力にあと一つ難。旅公演で見せるほど、フィクションが巧みとも、作り手の生を感じるとも見れず…。「東名」を冠にするなら、もっとベクトルを感じるロードムービー感が欲しい。
お召し列車
燐光群
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2015/12/19 (土) ~ 2015/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★
燐光群『お召し列車』
燐光群「お召し列車」、始まりに色々入って、焦点の合わせ方に難。前半の説明的シーン、10分位で最初の評決シーンに行きたい。メインの元ハンセン病患者達の空気感は別格、少人数の方がシーンが引き締まる。予備知識ないと分かりにくいか。絶望的な生を生きた人々の、追憶のロードムービー。
ある男、ある夏
エス・エー企画
G/Pit(愛知県)
2015/11/27 (金) ~ 2015/11/30 (月)公演終了
満足度★★★★
エス・エー企画『ある男、ある夏』
エス・エー企画「ある男、ある夏」,、いかにも東京で観れそうなアングラ舞台。そこがかえって不満。あの、あおきり・鹿目さんが寺山戯曲をどう料理するか、意外性を期待していたので…。「なぜ、今この作品をやるか」もよく分からず。役者はよかった。せんこさん・源石さんの声は寺山によく似合う。
INDEPENDENT:15
INDEPENDENT
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2015/11/26 (木) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
「最強の一人芝居フェスティバル INDEPENDENT:15」
「INDEPENDENT:15」、「キネマおじさん」なりふり構わぬ工夫とサービスのハイブレンド。「副作用」後半の流れに難、各種伏線がもっと早くから欲しい。「戯式」儀式か実験の如く、よく分からないのに目が離せない。「TYPE-OSK」二朗松田脚本の妙、沖縄の役者力と大阪の土地力。
「INDEPENDENT:15」、「成瀬スーパー8'」、一人芝居ならではの笑いどころイキイキ、凄いテンポで身体使いまくり。「鈴」、自分の親不孝もあって泣きそうに、、確かな女優力が筋を通す。「ある探偵の憂鬱」、最初あざとく感じたが意外とノレた、最後のシメがもう少し。
「INDEPENDENT:15」、「メイワクな女」、メールやりとり、両者の思惑が爽快。「或る男」、バカ過ぎナンセンスなエンデ・モモ、役者(魅)力押し。「如水」、記憶への切ない思いに客席が涙(親不孝な私も、、)。「仏の顔も10度目にもう一度」、バカ系ゲーム・街、めくるめく七変化。
ブルームーンが尽きる時
ねこまんまLABO
Bar & Food pelapela(愛知県)
2015/11/22 (日) ~ 2015/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
ねこまんまLABO「ブルームーンが尽きる時 『私の思いを受け止めて』」
ねこまんまLABO「ブルームーンが尽きる時 『私の思いを受け止めて』」、名古屋観劇で滅多にない衝撃。よくありそうな男女のミニドラマを、小さなバーの大通りに面する広い窓からの借景が、時間・空間で強く後押し。駅から往復30分歩いて20分の芝居を観に行った甲斐あり!
ねこまんまLABO「ブルームーンが尽きる時 『私の思いを受け止めて』」、脚本・演出・演技、そこまでマニアックに演劇演劇突き詰めていないのに、私でも得られる充実感ある20分。演劇とは総合力か。バーに来る一般のお客さん向けに定期公演できそうな、いい緩やかさ。
ねこまんまLABO「ブルームーンが尽きる時 『私の思いを受け止めて』」、他のカフェ・バー公演でもまず得られない、外に繋がる解放された刺激。かつて「机上演劇祭」で私が妄想した事が完璧に実現。万が一復活したら、ねこまんまさんに全権頂いてほしい(あり得ないけど)。
好きも嫌いもいつかは棺桶
劇団わに社
ナビロフト(愛知県)
2015/11/20 (金) ~ 2015/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
わに社『好きも嫌いもいつかは棺桶』
わに社「好きも嫌いもいつかは棺桶」、演技の切り替えがくっきりして素早い役者がやはり笑える(ハヤシユウ、シスター、一族代表等)。この内容・会場でこの上演時間は長く感じる…。死生について普段あまり考えない身には扱いかねる面も。上演以外も賑やかなサービス精神。
洗い屋稼業
東北えびす
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2015/11/17 (火) ~ 2015/11/18 (水)公演終了
満足度★★★★
SENDAI座☆プロジェクト『洗い屋稼業』
SENDAI座「洗い屋稼業」、緻密な作りの外国戯曲+骨太な演技で、ツアー公演向きの強度ある舞台に。セットの臨場感も凄い。ただやはり、ラスト近くで新人役者が出ると空気が弱くなる、、、暗転が多いのは戯曲的に仕方ないか。物語は、メイン三人とも他人事とは思えないピリピリ感ともの悲しさ…
その味
オイスターズ
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2015/11/06 (金) ~ 2015/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
オイスターズ『その味』
オイスターズ「その味」、舞台を疑うように進む最初の展開や、お約束を安易になぞらない途中の紆余曲折からは思いもよらない、ハートフルなホームドラマ的ラスト。「ドレミの歌」のような、初心者にも安心なレパートリーになるか。平塚さん&中尾さんの佇まいだけでも濃厚。
高校生と創る演劇『赤鬼』
穂の国とよはし芸術劇場PLAT【指定管理者:(公財)豊橋文化振興財団】
穂の国とよはし芸術劇場PLAT・主ホール(愛知県)
2015/11/07 (土) ~ 2015/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
穂の国とよはし芸術劇場PLAT「高校生と創る演劇『赤鬼』」
高校生と創る演劇『赤鬼』@穂の国とよはし芸術劇場PLAT、残酷かつ生命力ある野田戯曲を、土俗性と透明感を感じる舞台に。大胆に可変・イメージさせる美術、空間を認識させる音響、世界を立ち上げる集団の身体性。演出・せりさんと出演・高校生たちの結晶は、強く美しい舞台になること確実!
高校生と創る演劇『赤鬼』@穂の国とよはし芸術劇場PLAT、赤鬼の見せ方が問答無用に素敵。シルエットも動きも、段階的に精密に操作。相手が鬼に見えるか人に見えるか、偏見やコミュニケーション、人生観で見え方もどんどん変わる。
高校生と創る演劇『赤鬼』@穂の国とよはし芸術劇場PLAT、一緒に通しを観た平松さんに終演後、「名古屋ではなかなか見られない空気間」と言ったけれど、「土俗性と透明感」という言葉になった。SPAC(静岡)とか、SCOT(富山)とか、KSEC-ACT(愛知)とか。
火星の人と暮らす夏
鳥公園
名古屋市青少年プラザ ユースクエア(愛知県)
2015/10/29 (木) ~ 2015/10/30 (金)公演終了
満足度★★★★
鳥公園『火星の人と暮らす夏』
鳥公園「火星の人と暮らす夏」、現在を生きる人間を過去の記憶が塗り込めていく様に、現実を非現実が侵食していくフィリップ・K・ディックの小説を彷彿。いや、その記憶すらも事実かどうか…。時間や役柄、様々な立ち位置が、時に重なり目まぐるしく入れ替わる、多重な光景。
タイタス・アンドロニカス
俳優館
損保ジャパン人形劇場ひまわりホール(愛知県)
2015/10/23 (金) ~ 2015/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
俳優館「シェイクスピア・リーディング・シアター『タイタス・アンドロニカス』」
俳優館「タイタス・アンドロニカス」、約2時間のリーディング、集中途切れず観れた。復讐入り乱れる話も多数・兼役の登場人物も、高校ビジュアルの中で分かりやすい。暴力的な戯曲だからこそ、動きが少なく役者が直接関係し合わないリーディングが効果的か。ベテランと若手の対比。
俳優館「タイタス・アンドロニカス」、途中でオレンヂスタを観ている気分に。。。女王の息子たちが、手だけ出してパンをちぎるシーンが、妙に淫猥かつバイオレンス(人形劇?) 見所は、ベテランお二人のタイタスVSタモーラ、役者からして悪そうな情夫や青っちい皇帝(←誉めてる)。
俳優館「タイタス・アンドロニカス」、パンを演出として舞台に使う必然性がとてもよく見えた(聖体受拝的、かつ高校生活的な)。高校生とパンの関係って、あんなもんだよね。そして、全てが表面に出ない教室内演劇。
対ゲキだヨ !全員集合
MICHInoX(旧・劇団 短距離男道ミサイル)
ナンジャーレ(愛知県)
2015/10/16 (金) ~ 2015/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
短距離男道ミサイル×コトリ会議×オレンヂスタ『対ゲキだヨ!全員集合』
「対ゲキだヨ!全員集合」短距離男道ミサイル「R.U.R」外伝~突撃!隣の晩プルトニウム~」、見事に訓練された男体と多彩な演出の仕掛けで、古典戯曲をベースに飛躍する、コードぎりぎりのお笑いに乗せた、実は冷徹な文明批評。
「対ゲキだヨ!全員集合」コトリ会議「新幹線も弾く毛布と愛おしい明け方」、自分、母、他人…あらゆるものへの疑いと肯定。山本さんの、常識や言語、コミュニケーションへの疑いを感じる戯曲に、やはり生命讃歌を感じる。
「対ゲキだヨ!全員集合」オレンヂスタ「新興宗教ワタシ教」、「白黒つかない」の流れを組んで実験中、という感。ミサイルのパフォーマンスやコトリの戯曲の前に、どうも存在感は薄く、、、身体・存在と物語・世界との関係をさらに突き詰め、明確にできる事を期待。
6人の「これからの宇(そら)」
ソノノチ
ナビロフト(愛知県)
2015/10/17 (土) ~ 2015/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
ソノノチ『6人のこれからの宇(そら)』
ソノノチ「6人のこれからの宇(そら)」、少女の半生と惑星形成が時流を行きつ戻りつ同調。高い空間・宇宙の地層のような装置・いつしか始まりいつしか消える音楽と、空間・時間操作の手触り。あたたかくやわらかい「わが星」といった感。独特の世界観を丁寧に大事にした団体。
夜に溶ける
よこしまブロッコリー
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2015/10/10 (土) ~ 2015/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
よこしまブロッコリー『夜に溶ける』
よこしまブロッコリー「夜に溶ける」、穏やかだが憂鬱な島の空気を、シンプルな音楽が増幅して、いつしか不安感に包まれる。安住、逃避、離脱、使命…出自・世代・目的などによる、場への意識の差。薄皮一枚のヒリヒリする険悪。さほどドラマチックなことも起きないのに、何か目が離せないよこしま感。
幼女Xの人生で一番楽しい数時間
範宙遊泳
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2015/10/01 (木) ~ 2015/10/03 (土)公演終了
満足度★★★★
範宙遊泳『幼女Xの人生で一番楽しい数時間』
範宙遊泳「幼女Xの人生で一番楽しい数時間」、予想はしたが、以前とまるで違う作風。「幼女X」、まさに「台詞を置く」の視覚化。タイの影絵人形劇を洗練させたような手法は、自在なカメラワークで場面を複合化。「楽しい時間」、トキントキンでよく分からず、、、自信ある凄みは確か。
天邪鬼
柿喰う客
大垣市スイトピアセンター・文化ホール(岐阜県)
2015/09/30 (水) ~ 2015/10/01 (木)公演終了
満足度★★★★★
柿喰う客『天邪鬼』
柿喰う客「天邪鬼」、現実と妄想を行き来しつつ作用し合う様子に、フィリップ・K・ディックの小説を連想。家庭、社会、教育…様々な問題意識を含みながら、徹底したエンターテイメント。役者の、身体のキレキレ・精神の切り替え・演出との連動、そして共演者同士の一体感。凄まじい。
柿喰う客「天邪鬼」、アラバールの「戦場のピクニック」にも通ずるところが。人が死ぬ場所に遊びを持ち込む、ナンセンスかつ皮肉。ひょっとすると岸田とか取れる可能性も。
大垣スイトピアセンターにて、今日14:00大千秋楽、17:30からは観客同士で意見を交換し合うワールドカフェ(無料)。
えのもとぐりむのやわらかいパン
えのもとぐりむプロデュース
G/Pit(愛知県)
2015/09/13 (日) ~ 2015/09/28 (月)公演終了
満足度★★★
えのもとぐりむプロデュース『えのもとぐりむのやわらかいパン』
Legs&Loins Inc「えのもとぐりむのやわらかいパン」、良くも悪くも、東京的な浄化感動系。役者・脚本・演出・美術、みな質は高いと思う。ただ、個人的嗜好として、私はあの世界に入り込めなかった。普通の観客がエンタメ作品を観るならオススメか。
【個人的意見】連発されるキーワードが何を暗喩するのか、或いはやり取りの中でリアリティがあるのか。物語を構成する劇的な要素の山積みが、観ていて「わが事」として切実に感じられない作為感。安全な距離から見る約束された浄化体験は、私の演劇感覚的には危険。