じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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○○癖

○○癖

劇団おねがいシスターズ

渋谷MilkyWay(東京都)

2017/02/04 (土) ~ 2017/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/06 (月)

価格3,300円

何らかの微妙な「癖(へき)」を持つ3人の女性が少しだけ前進する3編の連作オムニバス。
基本はコミカルな中、ちょっとホロリとさせる部分でアクセントをつけ、3編目にそれまで2編の主要人物を登場させて大団円とするのが巧み。
また、前々回公演「か・ら・だ♡」のように全員ではないにしても半数以上の出演者が二役を演じ、その演じ分けによる変化も見もの。

【藤吉作品に関する考察】
本作に限らず藤吉作品は良くも悪くもベタな題材/キャラ/物語をテンションの高さとテンポの良さで戯画化して「見せてしまう」のが特色。が、観る側に気恥ずかしさなどを感じさせないのは作家・演者とも照れや迷いがなく吹っ切れているからと思われ、つまり「確信犯的犯行」…もとい「確信犯的作風」と言えるのではないか?
そのベタさ(換言すれば王道)加減は「ドラえもん」などに通じ、「悪いヤツが出てこない」という面ではある時期までの演劇集団キャラメルボックスをも想起させる。
本作においても意外な展開/結末はなくむしろ予想通りに展開し案の定な結末を迎えるがそれでも「見せられて(←魅せられて、ではない)しまう」のはそれが王道であり、たとえば落語の人情噺に近いのではないか?

ネタバレBOX

各編とも冒頭で主人公が選挙戦の候補者よろしくタイトルが書かれた襷をかけて登場するのも分かりやすくてナイスアイデア。

「泣かない女」終盤で ももこ が リカ に言う「あなたの手、温かかったわよ」というのは巧い……どころかホロリとさせるキラーフレーズ。(お見事!)
弟兄

弟兄

ゆうめい

小劇場 楽園(東京都)

2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/02/02 (木)

価格2,000円

中学時代に受けたいじめの相手への演劇青年の復讐を通して描くいじめ被害者の「闇」…。
陰惨ないじめに対する強い憤りを表現しつつ娯楽性も持たせ(もちろん不謹慎さなどない)、心身の痛みを観客に感じさせながらも後味が悪くはないという奇蹟のバランスを成立させた秀作。これがたった3ステージなんて惜しい。

どうやらかなり実体験に近いらしく、それを晒すのはズルいという気もするが、それよりもこういう形で表現したこと(とできるようになったこと)がスゴいかも?
いじめに関して被害者は実名なのに加害者側が匿名なことについても考えさ せられる。が、個人でそれをやっちゃあマズくないか? 肉親を殺した相手を見つけて殺すようなもんじゃないのか?……というのはいじめられなかった立場だから言えるのか?とさらに考えさせられたりも。

また、常々思っている「悪役(憎まれ役・仇役)が巧いと芝居が引き立ち観客の感情移入を強める」は本作でも証明され、それどころか役者それぞれの表現力に舌を巻いた。

好き嫌いがあるだろうから一概にオススメとは言わないが、少なくともσ(^-^)をして観劇直後に多弁にさせた芝居ではあった。

なお、終演後の帰路にキング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」と「ポセイドンのめざめ」を聴いたら、観終わって抱いた気持ちにかなりフィットしたことを蛇足ながら付記しておく。(笑)

ネタバレBOX

主人公の大学時代にできたカノジョが、やはり以前いじめに遭っていたが、かつての加害者が事故死したことを知って悲しむ、というのもイイし、主人公が「自分だったら躍り上がるのに」と思うのも解る気がした。
高校での「弟」を使ったラストも絶妙で巧いが、その「弟」が、よりによってほんの2日前に千穐楽を迎えたアマヤドリ「銀髪」でも使われていたセグウェイに乗って登場するとは! その再登場のしかたにふと「ジーザス・クライスト・スーパースター」のユダを思い出した。(ワカるかな?)
フェス

フェス

ゆうめい

スタジオ空洞(東京都)

2016/10/19 (水) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/19 (水)

価格2,000円

登場人物がエキセントリック過ぎな上にストーリーは「やおい(ヤマはあるが代わりに病んでいる)」なのに各種表現が独特(「バカだねー!(笑)」を含む)で最後まで飽きずに見せてしまう変テコな芝居。
冒頭シーンのアイデア、「アレ」をプロジェクターで投影すること、わずかな転換で異なる場所を表現すること、当日パンフレットに役名が出ていない役者の使い方、全体を囲んだ美術などに感心。
独特のクセがあり好き嫌いが分かれるのでドリアン的?(笑)
【勝手にキャッチコピー】これが、美大出身者の、やり方かあ~っ!(おかずクラブ風)

二十一面相

二十一面相

フライドBALL企画

明石スタジオ(東京都)

2017/01/26 (木) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/28 (土)

価格3,800円

外部との連絡さえもつかなくなり孤立したペンションという定番中の定番な状況での武石創太郎流「そして誰もいなくなった」と思わせておいての……なサスペンス系。
実は序盤の「?」な2場と「ある共通点」から劇中で明かされる前に真相を悟ったが、それでもその後の展開と落とし方で最後まで楽しめたし、「まさかソレとソレを結びつけるとは」な発想に感服。
また演技も全般に良い上に何人か特に巧い役者がいたのも良かった。

ただ、この会場の設備(前2列はベンチ席でそれ以外もパイプ椅子)で3800円というのはちょっと考え物だし、開場直後から「全席自由席でございます。前の方からつめてお座りください」という矛盾したアナウンスをすることにも疑問を感じる。

ネタバレBOX

多重人格者の人格をそれぞれ別の俳優が演じ治療が進むにつれてそれが減って行くという見せ方の芝居をいくつか観ていたので、死んだ者が持っていた数字がカウントダウンであること(=真相へのヒント)もあれが多重人格の治療であること(=真相)も劇中で明かされる直前に気付いたが、孤立したペンションでの連続殺人で治療を見せるという発想が鮮やか。
また、主人格だけになってめでたしめでたし……ではない終わり方も余韻を残して巧い。
日の脚、わづかに見えて

日の脚、わづかに見えて

空間交合〈アサンブラージュ〉リジッター企画

小劇場 楽園(東京都)

2017/01/24 (火) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/26 (木)

価格2,500円

序盤に出てくる動きはまさに「森脇ムーブメント」だし、テーマの表現方法や言葉遊びにやはり野田好きっぽさが感じられてニヤリ。(以降、再演や映像でご覧になる方などの可能性からネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

リジッター企画流の、そしてやや過激な「この世界の片隅に」(すずさんはあんなに毒づいたりしないもんね(笑))なオモムキ。
太陽はある場面では旭日旗(ひいては大日本帝国)の、そして他の場面では原子爆弾の比喩、そしてあの家族は一つの家族ではなく「あの夏」を経験した複数の家族の複合体的なものあるいはそんな人々の残留思念?と解釈。
2008年に観たLastBrand「言葉の消えゆく街で」で使われていた筒井康隆「残像に口紅を」の「文字消し」に想を得た手法を想起したが、その手法で物資が手に入りにくくなり、訳のわからないものまで食べなくては生きてゆけない状況を表現したのは妙案。
か・ら・だ♡

か・ら・だ♡

劇団おねがいシスターズ

渋谷Milky Way(東京都)

2016/11/18 (金) ~ 2016/11/23 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/11/21 (月)

価格3,000円

ヒッキー、アイドル、美容整形の三題噺。短編3本をリレー形式で繋ぐだけにとどめず最後に3本をまとめることに往年の深夜ドラマ「Heartに'S」を思い出す。
また、全員が二役をこなすが演じ分けが見事で「あれがさっきのあの人!?」状態。
あと、当然の事ながら随所に藤吉味が感じられ……と言うより全編藤吉味満載で、一部キャストには時々藤吉主宰の生き霊が憑いたよう…(笑)

アイランド

アイランド

劇団Peek-a-Boo

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2017/01/20 (金) ~ 2017/01/23 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/21 (土)

座席A列8番

価格3,300円

心の傷を隠し続ける女性がネットで募った仲間と無人島生活をすることになり……な物語。
「2年間の休暇」的なものかと思っていたが、それぞれが抱える心の傷が「今の日本の醜い部分」から来るものであったり、「罪と赦し」が描かれたりして攻めた感じ。
2011年5月上演の「トリプル」に雰囲気が近いが、それよりもハードな分、武末主宰の社会への危機感は強いものかとも思われる。
昭和史に残るある出来事も思い出した、というかその現代版的な印象も。

ネタバレBOX

思い出したのは旧日本兵の小野田さんや横井さんが終戦を知らないまま島に隠れて生き延びていた、ということ。
本作の人物もある意味での「戦争」当事者であり、島に隠れていた訳で。
花園RED / 花園BLUE

花園RED / 花園BLUE

20歳の国

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/01/19 (木) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/22 (日)

【RED】(22日昼)
王子小劇場での初演以来継続しての「それだけでも元を取ったと思えるオープニングのラグビーシーン」からの高校生青春物語、回を重ねる度に完成度が上がっている感じ。で、ほろ苦い幕切れが余韻を残す。
あと、今回は3人の出演者の所属団体や前回出演作の役柄を知っていたのでニヤニヤも。

【BLUE】(22日夜)
ストレートな友情と屈折した友情、明るいトーンとダークなトーン、作家で言えば高橋三千綱と軒上泊(喩えが古い?)……とあれこれ対照的で、いわば「基礎編のRED、応用編のBLUE」な印象。
あ、こちらは「ヒリヒリする」感覚かもなぁ。
3人でパスの自主練習をする場面で巧い2人と下手な1人でちゃんとパスの出し方を変えているのも芸が細かくてイイ。

ネタバレBOX

【RED】のネタバレ
Peachboysではメインの童貞トリオの1人である山川さんが「もちろん童貞じゃない」役だったり、前回出演作の日本コメディ協会作品では老人役だった前田さんが高校生だったり、津和野さんがやはりコメディリリーフではあるもののオープニングなどではアガリスクの時には見せない顔を見せていたり。

あと、序盤でカラオケでの歌をバックのダンスシーン、何人かずつは似た動きでありつつ、基本的にはそれぞれ別の振り付けなのも個性が出ているようでイイ。
春。いつかの雨の匂い/夏。つかの間の虹

春。いつかの雨の匂い/夏。つかの間の虹

劇団皇帝ケチャップ

萬劇場(東京都)

2017/01/19 (木) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/20 (金)

座席G列7番

【春。いつかの雨の匂い】
基本的にはある時期のいろいろな人々を見せて横に拡がる「夏。」に対して、その中の一組の夫婦の過去とその後を見せ縦に掘り下げる「春。」と差別化したのが妙案。
最初は両作の関係を「T」の字型かと思ったが途中で「÷」かな?に代わり最終的には「十」だったか、的な。(ワカるかな?:いずれも横棒が「夏。」)
登場人物が少なく物語の軸が1本通っているだけにこちらの方がワカり易いかも(「夏。」の手法を知った上で観ればなおさら)。
で、実はこちらの断片は「夏。」にちりばめられていて、そんなことも含めてスターウォーズのep.3(シスの復讐)あるいはローグ・ワンを観るとep.4(新たなる希望)が観たくなるように、これも2作を観るとまたもう一方を観たくなるという……謀ったな!(笑)

褒め過ぎてもアレなんでちょいと釘。
夏、春とも稀に「会話」でなく「単なる台詞の応酬」になったのが惜しい。
芝居は基本的に次に〈自分が〉言うことが決められていて本人は言うべきことがワカっているけれど、実生活での会話では相手が思いもよらないことを言ったり、自分が言いたくないことを言わなくてはならなかったりするワケで、間が空いたりゆっくりになったりする……その緩急や間がないと不自然に感じられてしまう。
皇帝ケチャップの芝居は会話の中にちょっと巧い言い回しが入り、でもそれが極めて自然で大笑いを呼ぶあざとさのようなものがないというのが大きな魅力と考えるので、間の取り方など更に精度を上げればもっと良くなると思う。

あと、本作のように正続の関係ではない関連作が残念(?)なのは、「観る順を逆にして観直す」ことができないところ。
観た記憶を一旦保存して忘れて逆順で観てから保存した記憶を戻して両者を較べることができたらなぁ……などとSFチックなことも考えてしまった。(笑)

ネタバレBOX

終盤、美佳子が由香里を刺すのではないかと思い、次の場が由香里の大河ドラマ出演会見前だったので「まさかそこに乱入?」とか、往年の某角川映画よろしく会見後に刺すとかも想像してしまった(笑)
「晩春。悲劇の予感」なんてフレーズも……。
透明人間の蒸気

透明人間の蒸気

劇団のの

明石スタジオ(東京都)

2017/01/13 (金) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/13 (金)

価格2,700円

かつて観たものの、日本神話絡みの部分以外の印象が稀薄で改めて観てこんなにも言葉遊びまみれでこんなにもシンプルでストレートな恋物語であることにビックリ。
本作の初演がいつ頃だったか当日パンフレットの解説で読んだこともあり、観ながらなるほど時代性が前面に押し出されているな、と思ったり、チープな美術がこの会場にマッチして芝居をくっきり浮き出させているな、と思ったり。

春。いつかの雨の匂い/夏。つかの間の虹

春。いつかの雨の匂い/夏。つかの間の虹

劇団皇帝ケチャップ

萬劇場(東京都)

2017/01/19 (木) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/19 (木)

座席H列7番

価格3,300円

【夏。つかの間の虹】
登場人物が多く、まずは一見バラバラな何組かの会話が示され「どゆこと?」と思っていると次第に人物それぞれの人となりや関係性が浮かび上がってくる構造。個人差はあると思うがσ(^-^)的には好み。
喩えて言えば図柄のワカらないジグソーパズルを組んでいる感じ。最初は何が何だかワカらずに組み始めるが次第に絵が見えてくる、みたいな。
がしかし本作は最終的にいくつかのピースが欠落しているし違うパズルのピースも複数紛れ込んでいる……(笑)
なので人によっては不親切に思うかもしれない。が、示された部分を自分なりに解釈して描かれない部分を想像で補うと面白いんだな、これが。
で、乱暴な言い方をすれば全体を一貫するストーリーはないのだが、各人物の「人生のひとコマ」が見えてくるのがステキ。
あと、「猫」の使い方(序盤の台詞も伏線だね)やチラリと出るメタ表現もイイ。
芝居(に限ったことではないが)にはすべて用意されていて出てくるものを享受しているだけで楽しめるものと、観る側が想像力や思考力を駆使して積極的に参加(?)して楽しむものがあると考えるが、本作は後者。(よってハードルがやや高いと感じられる方もいらっしゃるかも?)

ネタバレBOX

例えばカメラマンとアイドルのスキャンダルのエピソードは過去の出来事なのに、現在の場面と同列に出てくるので、ちょっとまごついたりするんだな。
軽い重箱

軽い重箱

殿様ランチ

新宿眼科画廊(東京都)

2017/01/10 (火) ~ 2017/01/17 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/10 (火)

恒例のお年玉的(いや、おせち料理的か?(笑))短編オムニバス2プログラム。
Aチーム(10日マチネ)の4編はコントやコメディでなく、ほぼ日常(あるいは某業界)の1コマのスケッチながら「ありそー!」満載で、ごくわずかにデフォルメすることでそこはかとない可笑しさが漂うのが巧い。
Bチーム(12日マチネ)は「あー、これこれ♪」なシリーズものに始まりドタバタ気味の2編目でも笑わせた後に一転し、心の動きを読ませる3編目と人情系の4編目を配することにより「ドラマ編」な印象。

なお、開演5分前頃から流れる「いわゆる諸注意」のアナウンス(になるのか、アレは?(笑))もラジオ番組を模したスタイルの凝ったツクリで面白い。

HEIAN MCZ

HEIAN MCZ

定時残業Z

ザムザ阿佐谷(東京都)

2017/01/07 (土) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/08 (日)

価格3,000円

史実の翻案や言い換えが巧みなNEO HEIANのラップバトル。
平安期の歴史や文学などに詳しいとより楽しめるようなツクリだけにちょっと悔しい。予習をして臨むべきであったか。(いや、楽しくなかったということではない:為念)
ところで中盤のラップのない部分に中弛み感が漂ったのはラップの楽しさの反動か? その辺をうまくツマんで上演時間が2時間を切る(1月8日昼の実測上演時間は130分)ようであればもっと良かったのでは?

虚仮威

虚仮威

柿喰う客

本多劇場(東京都)

2016/12/28 (水) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/07 (土)

座席Q列9番

価格1,000円

2016年のクリスマス・イブ、「妻」のある身である「僕」が深夜に呼び出されて訪れた「彼女」の部屋で聞かされたのは彼女の祖父を中心とした大正時代の東北の村と「ある風習」にまつわる話……な物語。
その異色の取り合わせ(+α)によるレトロなファンタジー感と現代パートの結末(=全体の結末でもある)の切れ味のよさが好み。

ネタバレBOX

民間伝承のサンタクロース譚、年代・地域と風習の取り合わせ(中屋敷さんによれば日本でクリスマスの風習が普及し始めたのは大正時代とのこと)に「青森県にあるキリストの墓」を連想。また、河童と座敷童子の登場による東西ファンタジー対決、なオモムキも妙案。

で、事前に目にしていた「ホラー」の要素がないようだが?と思いながら観ていたら結末で納得。
両親の不仲を気にしていたであろう子供が(実在した)サンタクロースに望んだプレゼントは……という阿刀田高の短編のような皮肉でコワいオチにニヤリ。
このラスト、中屋敷さんによればサンタクロースを見くびっている大人たちへの子供からのカウンターパンチだそうで、意識したのは藤子不二雄(A)とのこと。これまた伺って大いに納得。

なお、「一太郎」のジェンダー問題は唐突な気もしたが、つらつら考えてみたら大正パートの締めに向けての展開であるだけでなく、現代パートの意味深な一言の伏線でもあると気付く。
そうしてその流れからの「彼女」の謎の一言、これで「彼女」はかつて「僕」の親友だったのではないか?などとも思った。
ぬるい体はかたくなる

ぬるい体はかたくなる

深夜ガタンゴトン

王子小劇場(東京都)

2017/01/05 (木) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/06 (金)

病院の霊安室に出入りする人たちが織り成す人間ドラマ、森田芳光、相米慎二、大森一樹などの映画に通ずる味わいにシュールな笑いでアクセントを付けた感じ?
登場人物たちがそれぞれ単一指向ではなく多面性を持った人として描かれているので人間臭いと言うか実在感があると言うか……なのが巧い。
しかしペーソスもありつつ基調はユーモラスなんだから客はもっと笑ってもイイんじゃないか? けっこうリアルな舞台美術に気圧されて笑うと不謹慎に感じられてしまうのか?
なお、劇場入口の階段を下りて突き当たった所(受付が設置されていることが多い)の「装飾」にもニヤリ。客席につく前から芝居の世界の入口になっているんだな。

メビウスの劫罰

メビウスの劫罰

空想天象儀

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/12/09 (金) ~ 2016/12/11 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/12/09 (金)

価格2,500円

内容・表現方法・タイトルが三位一体となったパラレルワールド系。
パラレルワールドものが好きな身としては「このテがあったか!」だし、パラドックスもあるような気がしつつ巧妙にはぐらかされる(爆)し、広瀬正の「マイナス・ゼロ」に通ずる感覚はあるし、で面白かったぁ♪

ネタバレBOX

主人公が手記を読む形式なのでリーディング的な部分と一般的な芝居の部分がシームレスに繋がっているのが妙案。
また、12年の歳月を年齢を重ねながら繰り返す主人公を複数の女優が演じ、過去や未来(になるのか?)の自分と会ったりするのも面白い。
ありえたかもしれない発表

ありえたかもしれない発表

H-TOA

gallery to plus(東京都)

2016/10/14 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/15 (土)

価格2,000円

自由が丘の飲食街の一角、路地に面した建物の地下にある時空を超えるゲートを抜けた先にある他銀河の惑星で観る地球とその惑星の関係は宮澤賢治から長野まゆみへ伸びた線をさらにずっと延ばした先にあるような印象。
客席入場前の世界観告知(「説明」ではない)からもうその気になり、つい前日に観た「コズミック☆フロント」(銀河鉄道の夜を最新の物理学で読み解くヤツ)が脳内で甦るっていう。

楽園王25周年『物語』

楽園王25周年『物語』

楽園王

駅前劇場(東京都)

2016/10/21 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/21 (金)

出だしの2つの場面の関係性は?と考えさせることで中身に急激に引き込み、しかしそれが巧妙に仕掛けられた罠だと明かされた終盤の「やられたぁ!」感が殆ど快感。
他の部分も含めてホント綺麗に騙されたわ。その構造は落とし穴もある迷宮?みたいな。
オチも鮮やか(そこでも騙された)だし、はった伏線を後から悟らせる手法にも感服。面白かったぁ♪♪♪

ネタバレBOX

冒頭で提示される劇作家・女優・新たな執筆依頼者による似ているが違いもある2つの場面の関係が、劇中の現実とそれをモデルにした戯曲の内容と観ているうちに察せられるが、終盤でもう1つのファクターが示されるというのが「騙される(?)快感」。
そしてはじめのうちはどちらが現実でどちらが戯曲か疑う……というか、合わせ鏡のような、あるいはクラインの壷のような構造ではないか?などと深読みをしたりもして、気分は「ドグラ・マグラ」的な。
場面転換の時にいわゆる「ブル転」ではなく、フットライト(?)により客席からの視線を遮るというテを使っていて、なるほど、と……。
天井を含めて周囲が黒い駅前劇場だからできる手法と後からうかがって、それにも納得。
煩悶耽溺無色の青年が積み上げる模範と成功、とそれに喰らわす一撃

煩悶耽溺無色の青年が積み上げる模範と成功、とそれに喰らわす一撃

the pillow talk

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2016/08/05 (金) ~ 2016/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/08/06 (土)

価格1,800円

ある高校のギター部(活動は軽音部的)の1年を描いた面白うてやがて哀しき共学校版「けいおん!」。
ダメ男の事例を各種取り揃えているので笑ったり呆れたりハラハラしたりする中、時々古傷をかきむしられたりもするのが巧妙。
一方、ダメ男見本市(爆)な男優陣に対して女優陣は複数が態度や見かけで二面性を見せてくれて、そんなところが女優系としての見どころだった。
なお、中心的人物の言動に「お前、自分を棚にあげて何言ってんだよ!」とハラハラするのは歪「夢叶えるとか恥ずかし過ぎる」と二夜連続(笑)

落ちこぼれアイドルだった私が社長になって1年で会社を立て直した10の方法

落ちこぼれアイドルだった私が社長になって1年で会社を立て直した10の方法

ガラス玉遊戯

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2016/07/27 (水) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/07/27 (水)

価格3,000円

いつもの(?)ビター風味かと思いきや痛快ファンタジーにちょっぴり感動もまぶしてちゃんと落ち着くべきところに落ち着くのはさすが。
物語はワカり易く人物設定/役割分担も的確かつやはりワカり易く、肩肘はらずに観ることができたし、何より面白かった。
憎まれ役的な2人の人物に、ある大好きな有名作品を連想したりも……。

ネタバレBOX

しかしまさかのダンスシーン!(笑)

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