じべ。の観てきた!クチコミ一覧

621-640件 / 4332件中
「ボードゲームと種の起源・拡張版」

「ボードゲームと種の起源・拡張版」

The end of company ジエン社

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/05/29 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/06/02 (日) 14:00

価格3,800円

東京から地方に移住してボードゲームカフェを営もうとする男とその妻やゲーム仲間たちが織りなす物語。
同時多発会話や時や場所は異なるが共通する部分のある台詞・会話を続けて見せる「会話のコラージュ」はいかにもジエン社。(笑)
それに加えて本作ではこの作品のために創作したボードゲームでの選択・行動が現実パートにも取り入れられているのが特徴で、観ながらこれは「ゲームでの出来事を現実社会の出来事にするとこうなりますよ」ではないのか?という疑念が生じ、胡蝶之夢とかタマゴが先かニワトリが先かとかそんな感覚を味わう。(こういう感覚、好きなんだなぁ)
後でうかがったところによれば「自分が何者だかワカらない」状況を芝居で描くために、あのゲームを創り上げたそうで、大いに納得。
なお、開場時から開演まで、舞台上ではそのゲームがプレイされており、σ(^-^) が観た回は典型的なパターンが複数起こったのでそのゲーム展開も脚本にあるのか?という気もしたが、さすがにそんなことはなく、ガチのプレイだそうで……(笑)

ハッカ

ハッカ

ハダカハレンチ

王子小劇場(東京都)

2019/05/31 (金) ~ 2019/06/04 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/31 (金) 19:30

劇団ハッカは新作公演に18歳のアイドルを客演として迎えることとなったが、主宰で作・演出のヤスヲの筆は一向に進まず……な物語。
劇中劇(稽古場面)、劇中現実、ヤスヲの脳内(回想?幻想?妄想?)が渾然一体となっているので「今はどのパート?」と考えながら観るのが面白い。
劇中現実かと思って観ていると突飛な展開となり「実は劇中劇だったのか?それともヤスヲの幻想?」とか惑わされるばかりでなく、稽古場面にも巧みなシカケと見事な罠が仕掛けられているし。
また、劇中劇/稽古場面の台詞が詩的ながら意味不明(笑)な「いかにも昭和のアングラ芝居」風なので頬が弛む。
終盤で突き放すような台詞も出てくるが、それも含めて「演劇讃歌」と受け取った。

あと、こわっぱちゃん家の眞野たろすけさんの美術も「あ、なるほど眞野さんだね」だった。

ネタバレBOX

稽古場面が複数回出てくるが、その度に登場人物や設定を変えることによって脚本の改稿を表現するのが巧み。
そうして何度も繰り返される稽古場面が実は新作のものではなく旗揚げ公演の回想だったというのも上手い。

活動家を自称する未来坂先生が終盤で「演劇では現実に風穴を空けることはできない、(私は政治的行動に出るが)あなたたちは空虚な言葉を弄んでいなさい」と突き放すが、もしかして「空虚な言葉にもそれなりの意味はある」という反語的なメッセージではないか?と深読みも……。
ざくろのような

ざくろのような

JACROW

座・高円寺1(東京都)

2019/05/29 (水) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/29 (水) 19:30

座席G列14番

価格4,200円

会社買収に翻弄される社員たち……な内容は会社合併を経験した身にとって「悪夢ふたたび」、いや初演も観ているので「悪夢みたび」か?(笑)
で、物語の「うねり」(というか買収劇に揺られる社内の様子というか)に乗っているジャンボジェット機が旋回や上昇下降によって前後左右に傾いては戻るような感覚(劇中の会社が零細企業や中小企業ではないので「乱気流にもまれる」レベルではない)を覚えたが、終演後に本作の演出上の(?)狙いを伺って当たらずとも遠からずだったな、とニヤリ。
あと、会場規模に合わせて大幅にグレードアップした装置がスゴかったなぁ。
その装置、後方が部分的に透けて見える構造なのでメイン舞台である部屋から出て行った人物が建物を出て道を歩いて行く様子を(後方の席からは)うかがえるのも良き効果。

カケコミウッタエ

カケコミウッタエ

日本のラジオ

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2019/05/25 (土) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/29 (水) 14:00

座席I列19番

価格2,500円

原作「駈込み訴え」の一人芝居版を2つ観ていた先入観もあってか印象が「一人芝居っぽい」。……と言うか一人芝居に再現場面を挿入したような?
しかしその一方で主人公以外の登場人物も皆アクが強くキャラが立って存在感を主張しているという二律背反アンビバレント状態なのがフシギ。
また、事前情報で構造を一部知っていた舞台美術も「まさかの使い方(笑)」で、なんと贅沢な。
前回といい今回といい、なんちゅー使い方を……次に使う機会があったらどうするのかという期待も膨らむ。
あと、メインの二人の役名、名瀬と粕井の由来は察したし、後で改めて当日パンフレットを見たらほぼ元ネタまんまなものも2つ。屋代さんによればすべての役名に意味があるとのことだが、それら4つ以外は察することができないのがちょっとクヤしい。(笑)

自由を我らに

自由を我らに

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2019/05/28 (火) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/05/28 (火) 19:30

価格4,000円

終戦後、新たに制定される憲法を分かり易く親しみ易い文章にすべく集められた文学者・新聞記者・広告文案家などの文筆家たちだが、翌朝の新聞に載せる必要から彼らに与えられた時間は2時間……という出だしはまさにコメディで20年以上前の初演時はそれが狙いだったとのことだが、改憲論が出る当世ではむしろ現行憲法のキモを確認する内容に感じられてしまうのは皮肉。

劇中で討論されるのは第三章・国民の権利および義務、第一章・天皇、第二章・戦争の放棄。コメディだけに笑いがたっぷりではあるが時折鋭い指摘があり、改めて日本国憲法の大事なところ・優れたところに気付かされる。
特にクライマックスの第九条に関する熱弁はどこぞの「コドモ総理」に耳にタコができるほど聞かせたい(切実)。

また、そんな本編の面白さはもちろん、結論が出たあとのエピローグもイイ。
本作に限ったことではないが会議の開始時点では見ず知らずだった同士が親しくなったり、議論で対立していたのが和解したりという人間関係の変化や参加者の成長を見せながら一人、また一人と議場を去ってゆくことによる余韻。
会議劇が好きなポイントの1つはそこだな、と改めて気付いた。

俺が代

俺が代

かもめマシーン

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2019/04/27 (土) ~ 2019/04/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/04/30 (火) 15:00

価格2,800円

2016年の(東京)初演は観たもののその後の再演は見ず3年ぶりに観たが大きく進歩。2016年版はビルの屋上だったため演者の身一つだったのが演技エリアの真ん中に樹木を思わせる金属製のオブジェがあり、冒頭も入口から演者がゆっくりと入って来るし、それ以降も伝統芸能の様式美を想わせる演出になっているし、これは徐々にこのスタイルに変化していったものか?あるいは屋内版(?)となった時にほぼこのスタイルに変じたもか?
そして、やはり時期が時期だけに3年前よりもメッセージ性が強くなったように感じた。

骨ノ憂鬱

骨ノ憂鬱

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2019/05/21 (火) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/22 (水) 19:00

価格2,800円

ブロローグが平成の東京なのでちょっとビックリするが、本編はプロローグの人物の少年時代の物語で舞台も九州なので「あ、やっぱり」……(笑)
そうして語られるのは「理詰めの悲劇」あるいは「真綿で首を絞めるような悲劇」。
物語というものはだいたいクライマックスありきでそこに向けて進んでゆくものだが、下手な作り方だとそのクライマックスに向けて「話を進めるためにエピソードを積み重ねてゆく」のが見え見えで、「これ、何だろう」と思った部分がクライマックスへの布石だったりするものだが、桟敷童子の場合は軋轢・歪みなどが自然に積み重なってゆき、そも結果として悲劇が起こる、的な。(よって「VS嵐」のローリングコインタワーの如く、いつか崩れることは目に見えているがそれがいつなのか予測できない、みたいな?)
お馴染みのダイナミックな仕掛けからの美しいラストシーンでその悲劇性が少し緩和される気がするが、考えてみると実はとても切なく「取り返しがつかない」感が強調されるのも上手い。

「芸術家入門の件」

「芸術家入門の件」

ブルドッキングヘッドロック

吉祥寺シアター(東京都)

2019/05/18 (土) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/21 (火) 14:00

座席C列7番

価格3,500円

老芸術家の話、美大生たちの話、ギリシャで大きな彫像を建造する者たちの話が併行して進むが、観ているうちにそれらが脳内で勝手に関連付くというか境界がなくなってゆくというかで、パラレルワールドとかメピウスの環とかが頭に浮かび時に夢の中にいるようだったり時に迷宮をさまよっているようだったり。
そうして迎えるクライマックスは、ある彫刻を知っていると「おや?」であり、そこから「そう落とすのか」を経て「うおぉ~!」という……。
しかしあのシカケは紅白の小林幸子だよね。(笑)
あと、大きな工房のような印象の舞台美術もイイ。

バンブー・サマー

バンブー・サマー

アナログスイッチ

駅前劇場(東京都)

2019/05/15 (水) ~ 2019/05/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/05/17 (金) 19:30

座席B列2番

男子生徒5人だけの過疎地の高校、夏休みを前にして女子が転校して来るが……なひと夏の騒動記。
懐かしきNHK少年ドラマシリーズやコース・時代に連載されていたジュヴナイルの系譜。程よく笑いもまぶしながらヒューマンドラマ系に転ずるのも好み。装置の「手描き」感とギミックもイイ。

ネタバレBOX

序盤は月の人である転校生にまだ感情がない設定で、その無表情さにどこか「なぞの転校生」や「インベーダー」と通ずる不気味さがあり、ジュヴナイル感を盛り上げる。
その後、彼女がもう1人の転校生(同じく月の人)と共に感情を得てゆき、真相を知った同級生たちが何とかしようとするのもイイ。

不老不死であるがゆえに親しくなった相手がいてもみな自分より先に逝ってしまう、という「不老不死の孤独」も好きなテーマの1つで、それが実は重要な部分だというのも良かった。
「頭に尻を乗せてくれ」「最後の奇蹟」

「頭に尻を乗せてくれ」「最後の奇蹟」

ヨッタイキオイ

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2019/05/14 (火) ~ 2019/05/22 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/22 (水) 15:00

価格2,800円

共に初演を観ていたので「あぁ、これか♪」と思い出しつつ愉しく観る。
また、オリジナルキャストである「頭を……」のみならず「最期……」までまるであて書きのようにハマっていたのも良かった。

「頭に尻を乗せてくれ」、元々二人芝居は「台詞のラリー」的なものだが、本作はそこにもう一つ「縛り」を加えており、それゆえ時にスポーツにおけるファインプレー(例えばテニスでラインぎりぎりの球を打ち返すとか)のような「!」もあって愉しい。

「最後の奇蹟」、途中のS.E.で「あ、アレか」と思い出す。そして附加した(だよね?)部分により「HMU」化するとは!(笑) さしずめ「ホテル・ミラクル・ユニヴァース/エンドゲーム」といったところ?

あさどらさん

あさどらさん

十七戦地

座・高円寺2(東京都)

2019/05/16 (木) ~ 2019/05/17 (金)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/17 (金) 13:00

座席H列15番

価格4,000円

ながら見も多いが毎日朝ドラを見る生活が長い身として「あのドラマにあったパターンか」と感じたり「朝ドラであれば誰が演じる役どころだろう?」と思ったりもしつつ観て頬が弛みっ放し。
また、母娘の二代記的にすることで朝ドラの例えば「あさが来た」「わろてんか」的なパートと「とと姉ちゃん」「まんぷく」的なパート(描かれている正確な年代ではなく、あくまでイメージ)を同居させたのも妙案。

オープニングとエンディング(あるいはプロローグとエピローグ)で「対をなす」ものというのは「安定した」印象。
この少し前に観たものはエンディングがオープニングの後日譚的なもので、本作はオープニングと同じ人物が同じ動作をするがエンディングでは1人増えているという…
冒頭で客電が落ちないうちから舞台に登場して茶を淹れる蘭子。終盤でそれが再現されるが、その傍らには娘の楽子も(その風景は現実ではなくおそらく楽子の心象風景)。母娘の絆・継承を表すとともに本編の始まりと終わりを飾って安定感を生み出す美しさ。

ところで、劇団鋼鉄村松「息つぎがうまくできない。」は恋愛もの、ズッキュン娘「たいへんよく生きました」は余命限定もの、十七戦地「あさどらさん」は老舗の女主人もの、と悪く言えばベタで既視感ありまくり、良く言えば基本に忠実で王道な作品が4月以降相次いでいる。「温故知新」がトレンドか?
補足すれば敢えてベタな素材や展開を選んで、それを自分流に仕立てて見せることで新たな価値を附加する、的な?
観る側も「それな」とか「そうなると思った」みたいな共感(?)や優越感(?)を得ることができてwinwin、みたいな。

殿はいつも殿(しんがりはいつもとの)

殿はいつも殿(しんがりはいつもとの)

ポップンマッシュルームチキン野郎

王子小劇場(東京都)

2019/05/16 (木) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/05/16 (木) 19:00

価格4,000円

PMC野郎作品の特徴の1つである家族愛(本作は夫婦愛)が前面に押し出された優しさ溢れる物語、2014年の黄金のコメディフェスティバルで上演された初演(45分版)を「あぁ、そうだった♪」などと思い出したり「ここは当時なかったな」と思ったりしつつ観る。
その「ここはなかったな」な部分も付け足しな感じではなく、また、初演時からの部分も水増しした感覚ではなくキメが細かくなった印象で「もとからそうだった」よう。
終演後に吹原主宰に伺ったところによると今回の90分版の方が本来のもので、初演は規定の45分に収めるために削り凝縮したとの由。
その意味でも「本来の姿」で観ることができて良かった。

ネタバレBOX

妻の為に書いた劇中小説に佐野洋子「百万回生きたねこ」(やスピルバーグ監督の「A.I.」)と通ずるものを感じたが、初演ではそれに気付かなかった。
これもやはり「完全版」効果か?
僕の東京日記

僕の東京日記

演劇集団 笹塚放課後クラブ

萬劇場(東京都)

2019/05/15 (水) ~ 2019/05/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/05/16 (木) 14:00

座席I列7番

価格4,000円

1971年、高円寺の下宿屋に住む人々の物語。
2010年7月の伊達組版の「観てきた!」に「40年前の高円寺の下宿屋が舞台上にタイムスリップしてきたよう」と書いたが今回も同様で「当時の世相が活写されている」などというレベルではなく「当時の世界と直接繋がっているような」「あの頃の空気がそのままそこにあるような」場面のいくつかに戯曲の凄さ(恐ろしさ?)を感じた。
当時の流行語や世相が採り入れられているのはもちろん、ヒッピーやもっと過激な一派、親元から離れて独り立ちしたい学生など若者たちの思想・心情が我が事のように伝わって来るのがオドロキ。(当時そういう世代だったワケでは決してない!(笑))
伊達組版の装置は写実的なものだった記憶が(かすかに)あるが、本作は細いフレームなどでの抽象表現。がしかし、それでもそのように感じたのは「芝居の力」というものか?
他の団体が上演するようであれば観に行きたい演目として記憶しておく。

なお、舞台中央手前の目立つ位置にあったアラジンのブルーフレームらしき石油ストーブに関しては炎の色と点火方法にツッ込みどころがあるが、「芝居のウソ」として片目を瞑っておこう。(笑)

ところで最後に流れたのはSION?(ハスキーボイスとブルースハープからの推測)

東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」

東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」

オフィス上の空

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2019/05/03 (金) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/11 (土)

13時の【E】チーム(2ステージ目)
16時の【D】チーム(2ステージ目)
を観劇して5チームコンプリート。

6日前に観た【A】【B】【C】チームよりもワカり易くなっているような気がしたが、中島さんによると多少の修正はしているとのことなので「あぁ、やっぱり」みたいな。
で、【E】チームは【A】チーム同様基本形、【D】チームは【B】チームに次いで若くかつ変化球な印象を受けた。
それにしても5チームそれぞれに色合いが異なりコンプリートの甲斐がある公演だったな。

あと、どちらかと言えば「女の戦争(ってか闘い)」ではなかろうか?(謎笑)
ま、原典も「女の闘い方」ではあるが。

東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」

東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」

オフィス上の空

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2019/05/03 (金) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/05 (日)

原典(比較的忠実なものを以前レティクル座で観た)の「あの設定」を持ってきてのほぼオリジナル、
13時の【A】チーム(3ステージ目)
16時の【B】チーム(3ステージ目)
19時の【C】チーム(2ステージ目)
を続けて観劇。

その結果、チョコチョコと違う部分があったり、その後を知っているから気付いたことがあったりと楽しめた。
総じて言えば【A】【B】【C】3チームはそれぞれ基礎編、若手版、誇張版といったところか?

いいヒト

いいヒト

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2019/05/15 (水) ~ 2019/05/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/15 (水) 19:30

価格3,800円

父・母・娘のちょっとした論争で始まりやがて娘の交際相手が訪れることや複数の職人を抱える歴史ある人形工房であることが明かされる出だしは「昭和の大家族系ホームコメディ」の味わいだったが、すぐに新たな要素が加わり物語が複雑化するのがトツゲキ倶楽部のトツゲキ倶楽部たるところ?

ネタバレBOX

特に印象に残った人物は金井(演・SUMIO)と野口(演・小森健彰)

金井は終盤、妻に自分の存在を知らせないストイックさを見せる。
「俺のことはもう割り切って、自分の幸せだけを考えて生きろ」と伝えるのはヤボ……ってか自己満足的なカッコつけかも、と気付いたり。
さらにそのあと、霊が見える佐倉が躊躇して言い出せなかったことを口にできるよう背中を押したり、オイしいトコを続けてさらうとは……(笑)

野口は実は霊であるのだが、本人がそれを自覚していないという設定なため観ている側からも「どちら側」の存在なのか曖昧に見えてしまうところが上手い。

あと、エピローグ的な最終場で「目玉焼きにはソースか醤油か」という冒頭での論争のその後を見せて対をなすようにした構造も巧い。
「日本国憲法」を上演する

「日本国憲法」を上演する

die pratze

d-倉庫(東京都)

2019/04/30 (火) ~ 2019/05/13 (月)公演終了

満足度★★

鑑賞日2019/05/12 (日) 14:00

【中野坂上デーモンズの憂鬱/IDIOT SAVANT theater company】(4ステージ中2ステージ目)
中野坂上デーモンズの憂鬱「No.12」
登場人物たちが高校生(「役」+α)であり出だしもメタ気味で楽しそうであったが、音の反響の多いこの会場で大きめの声で早口なため台詞が聞き取りにくいことがストレスとなり脳が?気持ちが?拒絶してしまい途中から思考停止に陥ってしまったのは残念。

IDIOT SAVANT theater company「忠恕。放る。線上。」
前年の「ハムレットマシーン」は面白かったが今回は薄暗い明かりの中での抽象的表現に苦手意識が先立つ。また、憲法との関連も見出しにくかったのはこちらの憲法に対する意識がまだ薄いということか?

納期が私にもっと働けと囁いている

納期が私にもっと働けと囁いている

怪奇月蝕キヲテラエ

新宿眼科画廊(東京都)

2019/05/10 (金) ~ 2019/05/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/05/10 (金) 15:00

価格1,500円

社長の方針で女性しか採らないアニメ製作会社に途中入社した元・漫画編集者を中心に描いた「お仕事もの」の快作。
冒頭(後でリフレインもあるが)こそ胃が痛くなるような切迫感だが、以降は痛快というか小気味良いというか、心地好く観ることができた。
話の展開が理想的過ぎる気味もあるが所詮フィクションだし(←おい)人物の設定とそれを活かしての会話(ワカった上か天然か皮肉をそのまま誉め言葉のように受け取るのに対してツッ込むとか、職場の同僚の親密さ(?)がサラッと描かれるし)などがそれを上回って余りある、的な。
また、「アニメ業界豆知識」的な部分もあり、たとえば業界用語としての「原画」と「動画」など、本作の後に朝ドラ「なつぞら」の土曜日午前の集中放映を視て役立ったりも。

尾を咥えたり愚者の口

尾を咥えたり愚者の口

電動夏子安置システム

駅前劇場(東京都)

2019/05/07 (火) ~ 2019/05/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/07 (火) 19:30

価格3,700円

昭和の真っ只中、とある出版社の文芸部を中心に、当時起きた事件や訪れる人々が織り成す物語。
いつもながら構成が緻密。「さっきの場でウワサに出ていたのはこの人?」とか「あの人って実はその人の〇〇じゃないの?」とあちこちが結びついたりそう思わせて実は違ったりとかのバランスが巧み。もう「This is 電夏!」な感じ。
また、出版社が舞台だけに表現の自由、検閲、自粛などイマの現実にもチクリとすることが含まれているのもいかにも。
大好きな「胡蝶の夢」モチーフもイイ。そう言えば冒頭場面、当日パンフレットにある役の説明・配役と異なる人物たちで始まるのもトリッキーで面白い。

私の娘でいて欲しい

私の娘でいて欲しい

劇団皇帝ケチャップ

浅草九劇(東京都)

2019/04/27 (土) ~ 2019/04/29 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/04/28 (日)

28日に15時30分のヒマワリ(G列15番)と19時30分のバラ(F列14番)を観劇。

正直に言えば吉岡作品の良い所と悪い所が如実に顕れた感じ。
良い所は会話の巧みさで、初めて観た「水面の月、揺れる、揺れる」(2014年9月)以来お馴染みのウイットに富み、なおかつ自然なやりとりはいかにもありそ。
が、その会話にあまり間がないため、ただ流れてしまうのが非常に惜しい。ところどころ微かにでも間を取ってメリハリを付ければもっと良いのに。
(何だかこれ、ほぼ毎回感じているような……)

また、構造として時制が3つあり、その中でも多少の前後があることと、人間関係がちょっと込み入っていて、当日パンフレットの人物説明に目を通して臨んでも覚えきれずに「あれは誰だっけ?」になってしまうのも欠点と言えば欠点。(え、σ(^-^) の記憶力・理解力の問題?(爆))

とはいえダブルキャストの両方を観たので。2回目にはきちんと把握できたので結果オーライ?

その結果、クライマックスでの14歳の主人公の試煉(?)と決断にかつて読んだ児童文学(山中恒とか)に通ずるものを感じた。

あと、改めてコメディには状況設定自体が可笑しいもの(いわゆるシット・コム)と会話の妙で笑わせるものがあるのだな、と認識した。(皇帝ケチャップのコメディは後者ね)

このページのQRコードです。

拡大