「滅ぼし系女子が来る」
江古田ぐるぐる
新宿眼科画廊(東京都)
2019/07/12 (金) ~ 2019/07/16 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/07/16 (火) 14:00
価格2,800円
ある集合住宅に新たに入居した女性は自治会入会を拒み、同調するように自治会から退会しようとする者も現れ……な物語。
人間関係に蔭がさす居心地の悪さが広がり始めた頃に突然トーンが変わり「え、どゆこと???」と思わせるのもアクセントであり読み違いを誘って巧み。
青、まだ終わってないよ
のびる
ギャラリーがらん西荻(東京都)
2019/07/13 (土) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/07/14 (日) 16:00
価格2,000円
自分の日記に自分しか知らないであろう内容がいつの間にか書き込まれているという不思議な現象を友人に相談する主人公……という「少し不思議」系の導入部から引き込まれる。
それはやがて少女時代の出来事にも遡り、その内容が演技で表現されたりもするというのがいかにも演劇チック。
サラバサヨナラヨカナーン
waqu:iraz
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2019/07/12 (金) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/07/13 (土) 14:00
価格2,800円
いくつかの世代の様々な生態(?)の女性たちを疑似ドキュメンタリーのようにモノローグを中心に、時に複数の身振り手振りや群舞などで描く「エッセイ演劇」にして世の女性たちへの応援歌であると感じた。
創作するにあたり、サロメが欲した「ヨカナーンの首」とは何であったか?を皆で考えたと後から伺い、大いに納得。(冒頭で登場した女性が捧げ持った(空の)盆の上に「ヨカナーンの首」を想像したのもあながち誤りではなかったか、と一安心(笑))
ちなみにσ(^-^) はこれまで、サロメが欲したものは「自分を拒絶したヨカナーンの死」と思っていたが、その首にキスをしたというところから「手が届かない愛しい人を何とか入手(!)したかったのか?」とも思い始め、また、阿部定も連想。
吾輩はオヤジ猫である
UNITレンカノ
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2019/07/10 (水) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/07/12 (金) 19:00
価格3,000円
オープニングエピソードこそ「レンカノ版CATS」のような感じだが本編は漱石リスペクト満載(木下さんってば漱石もお好きだったんですね!)で「吾輩は猫である」を知っていると面白さ倍増。
さらに人情も山盛りでまるで昭和の松竹映画のような味わい。
そこに世相風刺や小ネタ(懐かしドラマ・アニメなど)でスパイスを効かせて大いに満足♪
いつか再演して欲しいな。
乱反射パレード
ソラニエ
d-倉庫(東京都)
2019/07/11 (木) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/07/12 (金) 14:00
価格3,200円
「自分だけの世界が見える」器具を装着して共通認識などが希薄になってゆく人々……それはまるで近い将来の日本の状況のよう(ってか、スマホ依存の現状の隠喩と思えなくもない)で暗澹たる気分に。
さらに金属質な装置と下からあおるカラフルな照明が非現実的でありつつ無機質・冷徹な印象でコワさ・不安感を盛り上げる。これ、「個の時代」への警鐘ではないか?
芙蓉咲く路地のサーガ
椿組
新宿花園神社境内特設ステージ(東京都)
2019/07/10 (水) ~ 2019/07/22 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/07/11 (木) 19:00
中上健次の長編三部作「岬」「枯木灘」「地の果て至上の時」を2時間半に圧縮。
当日パンフレットの人物相関図や語り手(?)によるあらましの説明部分にユーモラスかつワカり易い表現を取り入れるなど工夫がこらされており、複雑な人間関係もほぼ理解できたかと思う。
そうして描かれるのは複雑に捻れた血縁で結ばれた者たちとその周囲の人々。土着的、骨太、武骨な感覚が花園神社野外劇に相応しい?
いやしかし終盤の「写真」の場面にはヤラれた。
なお、今年から従来の小椅子指定席に加えて以前の自由席の半分以上(?)をベンチ指定席として新設したが、事前に各エリアを色分けした客席略図をアップし、当日は指定席は大きく座背番号を書いた布を縫い付けたカラフルな座布団、自由席は黒い座布団と一目瞭然としたのも見事。
和洋 set you
日本コメディ協会
駅前劇場(東京都)
2019/07/09 (火) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/07/10 (水) 19:00
【和=吉岡克眞「Point of No Return~あとには退けない人たち~」・初日】
【洋】の「ファニー・マネー」の設定やネタをいくつか使い日本のシェアハウスを舞台にした本歌取り。「あれをこう使うのか」な発見の愉しさだけでなくアチラで感じた違和もクリア。
なので【洋】をご覧になった方には【和】も(半券提示で500円引きになるし)ご覧になることを推奨。
そう言えば典型的なファルス(笑劇)である【洋】に対し、【和】はもちろんファルス要素もあるものの全体的にはマイルドでどちらかと言えばコメディ(喜劇)ではなかろうか?
さらにかねてから皇帝ケチャップ作品は会話が巧みと認識しており(贔屓目込み(爆))、その会話センス(=so called「吉岡ダイアログ」?(笑))も存分に発揮されていたと思う。お見事でした。
なお、基本的に【洋】と【和】の装置は同じだが、「間違い探し」レベルのちょっとした違いがいくつかあるのでそれを探すのも一興。
和洋 set you
日本コメディ協会
駅前劇場(東京都)
2019/07/09 (火) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/07/09 (火) 19:00
【洋=レイ・クーニー「ファニー・マネー」初日】
1995年10月に紀伊國屋ホールでの東京ヴォードヴィルショー版を観て以来24年ぶりだったが、当時抱いた「小骨が喉に刺さったような」違和感は今回も健在。(爆)
いや、それは演出や演技によるものではなく、脚本と自分との相性が悪いのだと改めて確認。
ネタバレを回避して言うなら騒動の原因である主人公の行動(と結末)に共感できない、あるいはその幸運(?)に嫉妬して(爆)感情移入できないこと、そしてダークもしくはブラックな部分(重婚どころではないヤバい犯罪が絡む)がファルスとそぐわない(私見)ことによるもの。
その点を別にすれば窮地から逃れるためにとっさについた嘘からさらにピンチが訪れたり、それを知らない者で混乱が広がるなどのドタバタはいかにもレイ・クーニーで大笑いできるんだが。
なお、終盤でやっと登場する人物の衣装はこのテの演目に相応しいマンガチックなもので、大いにウケる。
渋い劇の祭
江古田のガールズ
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/29 (土) 18:00
座席I列18番
価格4,000円
【本当にあったら怖い話】
2015年8月の初演(?)は心霊ドキュメンタリー番組の収録での「仕込み」の印象が強く、バックステージコメディと記憶しており、最後のオチをすっかり忘れていたのが幸いして「あー、そうだった!」と「こういうの、大好きなパターンだ!」が同時に押し寄せてホクホク。
朝のドラマ
劇団フルタ丸
駅前劇場(東京都)
2019/07/03 (水) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/07/05 (金) 19:30
価格3,800円
朝ドラにハマっているバツイチ引きこもり女性とそのドラマの世界を併行して描き……(以下ネタバレBOXへ)
両者の関係についてのアイデアがイイし個々の場も良くできていて愉しいが、クライマックスのヤマが低いと言うか、「丘」程度にとどまり「何となく終わってしまった」感覚なのが残念。(あくまで私見)
なお苦言をいくつか。
全席自由で、先行予約者には整理番号があるが、それ以外は整理番号がないというのはどうだろう?
このような場合、先行予約はチケットに記された整理番号順の入場、それ以外は当日受付順に渡す整理番号順の入場というのが一般的ではなかろうか?面倒臭いのかな?
当日パンフレットに出演者の名前のみというのも不親切。「あの役を演じたのは何という役者なんだろう?今後また見たい」と思っても名前がワカらない……。一見さんは相手にしないポリシーなのかな?
配役表があってもネタバレではなかろうし、もしもネタバレであれば終演後に配役表を渡すこともできるだろうに、これも面倒なのでやらないのかな?
さらに、定刻より4分遅れての開演について開演前・終演後を通じて一切触れなかったのもいただけない。
黙っていれば押したことに気付かないとでも思っているのかな?
そんなあたりを今後改善していただければ有難いが……。
ノーカントリーフォーヤングメン
コンプソンズ
シアター711(東京都)
2019/07/02 (火) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/07/04 (木) 19:00
価格3,000円
地方都市を舞台に繰り広げられる物語は「今様民間伝承(百年後とかに伝説のように語り継がれていそう)」な印象にしてエネルギー?情熱?若さ?のようなものが迸るようなイキオイ。
その一方で落語の「寿限無」ではないがあれこれ取り入れすぎてまとまりに欠け、ごった煮……どころか闇鍋のようになった憾みが無きにしも非ず、そして長いよ。
あと、○○の「○○○スーツ」や○○○を応用した「アレ」などの美術が愉快。
MITUBATU
なかないで、毒きのこちゃん
OFF OFFシアター(東京都)
2019/07/02 (火) ~ 2019/07/09 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/07/04 (木) 14:30
価格2,500円
少し未来、あるいはこの世界とは別の発展の仕方をした別世界の下北沢、劇場跡に住み着いた面々、そして彼らと関わる人々が織り成すドラマ、
ヘンテコな人物ばかりなのに妙に人間臭くコクがあるのが不思議。終盤の「アノ曲」マジックか?(笑)
また、冒頭の小芝居、「いつもの手口か?」と思わせて……(ネタバレBOXへ)
渋い劇の祭
江古田のガールズ
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/29 (土) 13:00
座席H列5番
価格4,000円
【地獄】
2017年12月の初演(?)も観ていたが、記憶が薄れかけていたので「あ、そうだったそうだった」などと記憶の虫干しをしながら楽しく観る。
そしてこういうテーマ、好きなんだなぁ。
ラフカット2019~25周年スペシャル~
全労済ホール/スペース・ゼロ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/30 (日) 14:00
座席10列5番
価格3,800円
1話・2話とも、そして再演(タイトルに覚えがあったので再演と知っていたが20年ぶりとはビックリ)である3話でさえ30分という尺には半端で終わり方が唐突に感じられた。
4話はオリジナル版を知っている身には「同じ時間軸の中の別エピソード」と察することができて「ボーナストラック」的感覚で楽しい。また、オリジナル版の「キモ」を30分の中にきっちり取り込んで巧み。
バー・ミラクル
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/06/29 (土) ~ 2019/07/08 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/07/01 (月) 20:00
価格2,500円
【Sweet編・2ステージ目】
3編それぞれ個性的で振れ幅が大きいDry編に対してこちらは比較的オーソドックスだが、前半が基礎編、後半が応用編と言うか直球2本の後に変化球2本、みたいな。
DryとSweetで対照的だし、リピーター割引はあるし、一方だけでは勿体ないですぜ、皆さん。
ところで池田Pに伺うのを忘れてしまったが、7編のSweet・Dryの振り分けと上演順はどのタイミングで決めたのだろう?
最初から機械的に決めていたのか、脚本を読んだ上で決めたのか?
あるいは振り分けは先に決めて上演順は後からとか?
さて、ホテル、バーと来たが、次は何だろう?(笑)
いやそれよりまずは「バー・ミラクル2」を期待するか。
バー・ミラクル
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/06/29 (土) ~ 2019/07/08 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/30 (日)
価格2,500円
【Dry編・初日】
・風変わりな前菜:メタ要素満載のコミカルなミステリー
・じっくり煮込んでコクも出したメインディッシュ:ハートウォーミング
・口当たりが良く後味も良いデザート;コメディ
の異なる味わいの取り合わせが絶妙な3編、大変満足♪(詳報はネタバレBOXへ)
明日観るSweet編も楽しみ。
また、三方囲み客席なので違う方向からも観たいという観客の心理を慮ってか、半券を見せると500円引きになるリピーター割引制も心憎い。
山兄妹の夢
桃尻犬
シアター711(東京都)
2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/28 (金) 14:00
価格3,300円
劇中の現実・回想・幻想・妄想・夢(?)がシームレスに繋がり、時には境界(?)を越えて会話をしたりもして何が何やら迷宮を彷徨う感覚が楽しい。
その「場のボーダーレス」ぶりはいわば「だまし絵的芝居」、M.C.エッシャーの「滝」「物見の塔」「上昇と下降」などが好きな人にオススメ?
映像化は難しい演劇表現満載で大満足♪リピートしたくもコマの無きぞ哀しき。
くるっていきたい
吉祥寺GORILLA
ひつじ座(東京都)
2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/28 (金) 19:30
価格2,300円
「21世紀も半ばを過ぎた」頃、1人の女性ライターが当事者に取材して解き明かすのは女子プロレス団体「ブロッサム」に起きた2019年の出来事……。
Twitterなどでの事前情報通り「リング上で闘う」し、それどころか「ここは、後楽園ホール?」と錯覚さえさせる(ホントか?:真偽のほどはご覧になってお確かめください(笑))とは恐れ入りましたぁ!
発明少年天才ピカリ
劇団ミックスドッグス
オメガ東京(東京都)
2019/06/27 (木) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/27 (木) 19:00
2100年と2019年(と2080年)を結んで描く、ある天才発明家に関する物語。
「夢とその叶えかた」を主題に時間ものテイストも交えて125分の上演時間をそこまでは長く感じさせない。
が、2時間超ということを意識してか序盤(とその後も時々)で早口になり、それはまだしもあって然るべき「会話の間」を詰めてしまい、「会話」ではなく「台詞の音読」になってしまったのは惜しい。この内容ならそこまでせず一般的なスピードと間をとった会話にしてその結果上演時間が135分くらいになっても耐えられるのではないか?(私見)
「キャラメル度数」は音楽の使い方を筆頭に主題や表現方法などニヤリとするほど高め。(笑)
また、広瀬正の「マイナス・ゼロ」をご存知の方もニヤリとできるのではないか?
さらに……(以下、ネタバレBOXへ)
ハミングバードへようこそ!
演劇ユニット 少年cycle
サブテレニアン(東京都)
2019/06/20 (木) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/21 (金) 19:00
価格2,500円
母親との確執から生まれ育った小金井を離れ北海道の大学に通い一人暮らしをする玲奈だったが、幼馴染の要請で夏休みの間だけ小金井を拠点とするヒーローショー、キャラクターショーの運営会社の手伝いをすることになる。しかし仕事内容は当初聞いていた「事務処理」ではなくヒーローショーのキャストで……な物語。
そんな内容ゆえヒーローショー(やキャラクターショー)の担当者毎の仕事内容の説明はあるわ基本的にバックステージものだわ、さらに主人公と家族とのこじれた関係の行く末も語り、「まさかのアノ人」の擬闘まであってとてもよくできた作品でありながら「ある理由」によって集中力を削がれたのが残念。
集中力を削がれた原因は、開演後に来場した5人(1人、3人、1人)の客。
開演が6分も遅れたのはコイツらのせいではないか?(しかも遅れせた6分間には到着せず、結局開演してから到着、うち1人はお加減でも悪いのか大半の時間、俯いていらした(まさか寝ていたのではないよね?))もしもそうだとすれば、主宰が開演定刻に客席にいた多くの客よりこの時間にルーズな5人のトンチキを大切にした理由は何か?などの邪念に囚われていたもので。
なお、会場の構造から言って開演後に遅れた客を誘導することに何の問題もなかった。