
マイルド・セブンティーンズ・スター
椿組
ザ・ポケット(東京都)
2010/12/08 (水) ~ 2010/12/12 (日)公演終了
満足度★★★★
行き過ぎた正論とオトナの『台風クラブ』
高校の職員喫煙所廃止問題で行き過ぎた正論(?)を、台風が近づく中での学園祭を前にした「オトナの『台風クラブ』」または「『ビューティフルドリーマー』リアルタイプ」な高揚感をも描き、それに笑いもたっぷりまぶして楽しい。

人魚姫
y0suka
遊空間がざびぃ(東京都)
2010/12/08 (水) ~ 2010/12/12 (日)公演終了
満足度★★★
またゲーム界内部での展開…
名作童話を翻案するシリーズ、1年前の『幸福な王子』と脚本家が異なり切り口も違って面白いが、「またゲーム界内部での展開か…」な感無きにしも非ず。
とはいえ、ゲーム内のキャラが現実界の誰なのか推察しながら観たりもして、これはこれでアリ、的な?

空にはあのひこうき雲
リブレセン 劇団離風霊船
吉祥寺シアター(東京都)
2010/12/08 (水) ~ 2010/12/11 (土)公演終了
満足度★★★★
映画関連ネタ満載
映画版バックステージコメディ。
いくつかのシーンに既視感はあるものの、出てくる映画関連の元ネタがかなりわかったこともあり、そんな部分も含めて大いに楽しむ。
また、装置の騙し絵的な部分にまんまとひっかかる。(笑)

さよなら渓谷
演劇企画集団THE・ガジラ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2010/12/05 (日) ~ 2010/12/19 (日)公演終了
満足度★★★★
「薮の中」
いわば吉田修一(原作:未読)版「薮の中」。
冒頭で別の人物を示唆しておきながら主人公にも容疑がかかる出だしから不安感と緊張感に支配され、以降、密度の高いドラマに引き付けられる。
また、三方囲みで水を張った浴槽まで使う演出も印象的。

隣の芝
and Me
OFF OFFシアター(東京都)
2010/12/01 (水) ~ 2010/12/07 (火)公演終了
満足度★★★★★
劇作家・笹峯愛の才能に改めて感服
いつもながらの自然かつああ言えばこう言うなテンポ良い会話に加えて1場(と2場前半)で大いに笑わせ、2場(後半)でハッとさせ、3場で泣かせて4場で纏める構成も秀逸で、もはや無敵、みたいな?
まだ10代でアイドルだった頃から会話能力に長けていた笹峯愛の劇作家としての才能に改めて感服。

それはアカン!
演劇集団アーバンフォレスト
劇場HOPE(東京都)
2010/11/30 (火) ~ 2010/12/14 (火)公演終了
満足度★★★★★
エンタメの手本のような傑作
集められた8人全員が異なる意図で…な謎に始まり、真の理由が明かされた後もどんでん返しの連続という起承転結をしっかり踏まえたエンタテインメントのお手本のような傑作。
配役によって味ががらりと変わりそうだが、リピートするコマのなきぞ哀しき。
あ、コマがあっても完売か。

ZOMBIE(ゾンビ)
INUTOKUSHI
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)
2010/12/02 (木) ~ 2010/12/12 (日)公演終了
満足度★★★★
可笑しくも切ない仕上がり
タイトル通りのゾンビものはもちろん、『マタンゴ』など往年の東宝特撮映画の味をベースにしながら可笑しくも切ない仕上がりなのが何とも不思議。
また、バックボーンに「人と人とのコミュニケーション」があり、それが欠落気味の現代社会を皮肉っているのが上手い。

嗚呼、青春が僕に輝かない。君にも輝かない。
コーヒーカップオーケストラ
明石スタジオ(東京都)
2010/12/03 (金) ~ 2010/12/06 (月)公演終了
満足度★★★★
本当にバカ丸出し
「何も残らない物語と、スカッとする馬鹿丸出しのステージを作ることを誓います!」という宣誓の通り、本当にバカ丸出し。
しかも歌・ダンス・宙乗りなども無駄に使って、究極のゼイタク、的な?(爆) 好きだなぁ。

想い出パレット~ぬぷぬぷ高田馬場編~【旗上げ公演無事に終幕致しました!ご来場まことにありがとうございました♪】
タマコロ
高田馬場ラビネスト(東京都)
2010/12/02 (木) ~ 2010/12/05 (日)公演終了
満足度★★★★
卑怯…いや巧み(笑)
7人の男芝居を9人の女優向けに改訂。誰にでもある子供時代の懐かしい想い出を突いてくるのは卑怯…いや巧み(笑)。
引っ越してきて、地元のグループとの張り合いから和解(?)など転校を繰り返した身には懐かしく、また、各人物の個性の描き分け・演じ分けも◎。

TOKYO RADIO CLUB!
劇団東京都鈴木区
遊空間がざびぃ(東京都)
2010/12/03 (金) ~ 2010/12/05 (日)公演終了
満足度★★★★
三谷幸喜の往年の作品に通ずるウェルメイド
webラジオ収録前の騒動記で、変型バックステージもの。
筆がノッていた頃…もとい、TSBからそのしばらく後あたりの三谷幸喜作品に通ずる味もあって見事。
また、大島朋恵の思いもよらないキャラを観ることができたのは貴重。

【AchiTION!AorB】
シネマ系スパイスコメディAchiTION!
しもきた空間リバティ(東京都)
2010/12/03 (金) ~ 2010/12/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
構造が秀逸
二択で明暗に分かれる基本形にそれぞれハッピーになるもの、さらには1つの流れを異なる視点で見せるものなどバリエーションに富んだ各編を、プロローグと対を成すエピローグでそれらを関連付ける構造が秀逸。05年4月の『○ choice ×』のさらなる進化形を見た。
しかし二晩続いて全身銀色でツノがある宇宙人が登場しようとは!(笑)

測量
タテヨコ企画
笹塚ファクトリー(東京都)
2010/12/01 (水) ~ 2010/12/05 (日)公演終了
満足度★★★★
人物同士の距離感を鮮やかに描く
所謂コメディではないが随所にそこはかとない可笑しさが漂い、三姉妹を筆頭に人物同士の距離感が鮮やかに描き出された脚本に感服。
また、冒頭とラスト(と途中でも時々)の水琴窟や雷鳴、川のせせらぎ(雨音かも?)などの音響も見事。

野球なんて大嫌い
はらぺこペンギン!
「劇」小劇場(東京都)
2010/12/01 (水) ~ 2010/12/06 (月)公演終了
満足度★★★★
野球ものだけにド真ん中の直球
父親が転勤族であったがゆえに、ずっと同じエリアに住んでいる永年の友達がいない身としてはああいう関係はうらやましく、みんなで集まって日本シリーズのテレビ観戦で盛り上がれるなんてイイなぁ、みたいな。
また、全体的にはコメディながら、終盤は熱血系でもあり、仲間の1人がプロ野球選手として再起するなんてまさに「オトナ向け少年マンガ」な世界?(笑)

七人の息子
X-QUEST
THEATRE1010ミニシアター(東京都)
2010/12/02 (木) ~ 2010/12/05 (日)公演終了
満足度★★★★
男芝居なのに時間の経つのがアッと言う間
初演をかすかに(?)バージョンアップ、基本は男芝居だが掛け合い漫才のようなテンポ良い台詞の応酬が楽しく、時の経つのがアッと言う間。
それにしてもハイパーラジオ体操、振付がイイのはもちろん、そもそも発想が愉快。
なお、初演時は奥と手前の角で観たので今回は左側の角から観る。

匣の中【公演終了致しました。ご来場ありがとうございます!】
集団as if~
萬劇場(東京都)
2010/12/01 (水) ~ 2010/12/05 (日)公演終了
満足度★★★
古典戯曲に通ずる悲劇性
後半の悲劇性は沙翁など古典戯曲に通ずるものがあり、また、偏見・差別に起因する紛争が絶えない現代世界の縮図のようでもあり観応えがあるが、前半との落差が大きすぎる気がしないでもない。
それにしてもインプロ部分、うまくまとめるなぁ。

甘神
ムシラセ
サンモールスタジオ(東京都)
2010/12/01 (水) ~ 2010/12/05 (日)公演終了
満足度★★★★
なるほど美術家集団
前作とはがらりと趣を変えユーモラスでありながら、むしろその分ラストの喪失感が際立つような。
また、その喪失感を「目に見せる」シカケやファッションショーのランウェイのような形状の舞台、背景の細密画(?)など、なるほど美術家集団、的な。

サンタクロースが歌ってくれた
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2010/11/30 (火) ~ 2010/12/25 (土)公演終了
満足度★★★★
抜群の安定感
退団したかつてのメンバー2人を客演に迎えての旧作上演という同窓会的な企画につき安定感は抜群。
また、役の設定年齢と実年齢との乖離を笑いに昇華させてしまうあたりもさすが。どうしてこれが近作には…(以下自粛(爆))

覗絡繰
声を出すと気持ちいいの会
演劇スタジオB(明治大学駿河台校舎14号館プレハブ棟) (東京都)
2010/11/25 (木) ~ 2010/11/29 (月)公演終了
満足度★★★★
「芋虫」をマクラに「押絵と旅する男」を語る
イイ歳をして引き篭もっている兄をなんとか外界に引き出そうとした主人公は兄にノートPCを与えネットサーフィンを教える。そんななかから兄がハマったのは江戸川乱歩の世界で…という物語。
その兄が語る「芋虫」が前段となり、それをマクラに後段で「押絵と旅する男」を語るという構成で、その押絵の図柄が「芋虫」の内容であったり、終盤で兄のノートPCがあたかも押絵であるかのように思わせたりするのが上手い。
さらに古びた日本家屋を表現した装置や、襖戸の内と外を瞬時に逆転させて見せる手法(部屋の外から襖に向かって呼びかけて襖を開けて入った途端に部屋の中の様子になる)も見事。

『442』
SPPTテエイパーズハウス
練馬文化センター(東京都)
2010/11/27 (土) ~ 2010/11/29 (月)公演終了
満足度★★★★
145分を感じさせず
第二次世界大戦中の米軍日系人部隊を中心に描いた音楽劇。
戦後の穏やかな授勲パーティー場面から入り、マンザナ収容所などを経て激戦地の様子に到る流れが巧みで、ピアノトリオ+3管(tp.tb.sax)のセクステットの生演奏や合唱などもあり145分の長さは感じず。
なお、ヒロイン(の精神)が祖母(の肉体)に乗り移り戦時体験をする設定に『ザ・ウインズ・オブ・ゴッド』を連想。

ハロースクール、バイバイ
マームとジプシー
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/11/24 (水) ~ 2010/11/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
「きらきら、きゅんっ!」
女子中学生たちのいきいきとした会話の中からみずみずしさがほとばしるさまに中原俊監督の『櫻の園』(90年版)を思い出す。
本編部分を試合場面で挟み、それは試合中に胸中を去来するものか、彼女たちの結束力の元か、などと思わせるのも上手い。
なお、投稿タイトルは勝手に思い浮かべたキャッチコピーで、もう1つは「思い出の宝石箱やぁ~!」(笑)