リバーシブルリバー
24/7lavo
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/05/26 (木) ~ 2022/05/31 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/31 (火) 13:00
「思っていることの逆のことしか言わない/言えない人物」が登場する芝居は観たことがあるが、それを中心に据えての作劇は見事。そこに意図的に嘘を吐く人物も絡ませるのは上手い。
そうして「結局どっちなの?これからどうなるの?」な余韻を残す幕切れも巧み。
トゥイードル
AURYN
スタジオ空洞(東京都)
2022/05/25 (水) ~ 2022/05/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/27 (金) 14:00
双子姉妹と姉の交際相手、妹が心酔する占い師の4人が織り成す双子・占い師・音楽(あのグループ)の三題噺。
登場人物4人が皆前向き・ポジティブなので「爽やか」な感覚?(双子の妹もネガティブに見えるが芯は前向きだし終盤にポジティブに転ずるように思えた)
ポラリス
ーヨドミー
TACCS1179(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/12/16 (木) 14:00
愛ゆえに狂気に走った科学者の起こした事の顛末。心とは?人とは?という哲学的な問いやあるジャンルのSFでお馴染みの命題の変奏、そしてもちろんメアリー・シェリーによる「あの小説」へのオマージュなど多彩。
ツッ込みどころは多々あるが、そんな枝葉に囚われるよりそれらは「あくまでファンタジー」と割りきって呑み込み太い幹たる哲学的(宗教的?)・SF的な命題に思索を廻らせつつ楽しんだ♪
とはいえ終盤でクリストが言う「お前なんか……(後略)」という台詞、彼が混乱していることもあるし、話の流れから意味は通っているのだが、よく考えてみるとあの相手に「お前」と呼びかけるのは対象が特定しにくいのではないか?(ネタバレBOXで補足)
四則演算
ーヨドミー
中野スタジオあくとれ(東京都)
2021/07/15 (木) ~ 2021/07/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/07/16 (金) 14:00
ほぼコントな二場に導かれて幕を開ける愛憎の果ての復讐劇。
最初は「どどど、どうしたんだ、作風変えたの!?(汗)」だったが次第に「いつもの調子」になり「後味の悪さが快感」なアンビバレントな幕切れは藤丸作品の真骨頂か?
で、終盤で既視感にとらわれる。「こういう事件、実際になかったか?」な錯覚のようでもあり、往年の鵺的作品に一脈通ずるようでもあり。そして妙に身近な感覚は人の業(ごう)を描いているからではないか?「あと一歩」のところで踏み外してしまう人の哀しさ・残念さたるや!
ビニール
コンプソンズ
シアター711(東京都)
2022/05/25 (水) ~ 2022/05/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/26 (木) 14:00
外部の作家に委嘱する「別冊コンプソンズ」の第一弾は地蔵中毒の大谷皿屋敷さんを作・演出に迎えて。
登場人物が皆多かれ少なかれ常軌を逸している奇人・変人だが妙に実在感があり、彼らが織り成す物語も単なるドタバタナンセンス劇でなく説得力(?)があるのは脚本・演出・演技の三位一体の賜物であり、それに加えてテーマが実は身近だからではないか?
別冊コンプソンズ、第二弾はどなたと組むのかな?(期待)
夜明けの華
演劇ユニット 少年cycle
cafe&bar 木星劇場(東京都)
2022/05/19 (木) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/22 (日) 14:00
地域振興で企画された祭で地元ゆかりの中澤琴を描いた芝居を上演すべく集まった7人だったが……な物語。
劇中劇パートでは「力による解決の是非」を問い、地のパートでは「信念を貫くとは?」を語りさらに劇中劇は実は?な匂わせもある凝ったシカケ。
また、地の物語が「雨降って地固まる」的に収束するのは往年の学校放送の道徳ドラマ番組あるいは「中学生日記」のオトナ版のような感覚でどこか懐かしい。
あと、そう言えばそういうイメージだなぁ、な方が(まさかの(?))殺陣まで披露とは……(驚)
ホテル
20歳の国
新宿眼科画廊(東京都)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/21 (土) 14:30
【マジック】
3編の中では一番オトナの恋愛……と言うより性愛を描いているか?
そして冒頭の二人のモノローグがトリッキーだし、回想場面もある意味トリッキー(爆)だが、考えてみるとマジックだけにトリックはつきものか?
そうしてやはり他編とのリンクもあり3編観るとより楽しいかも。
ホテル
20歳の国
新宿眼科画廊(東京都)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/21 (土) 12:00
【官能小説(B)】
人気官能小説家の書き下ろし新作は編集部の意向と異なるもので担当者の意見・アイデアも取り入れて手直しすることになり……な二人芝居。
回想や小説中の出来事など場が変わる時に変化する照明がイイし他作品へのリンクらしきものがあるのも楽しい。(そう言えば「コーヒー」にもこちらへのリンクがあったっけ)
もちろんそうして語られる内容も上手くまとまっており、手頃な上演時間も相まって見事。
花柄八景
Mrs.fictions
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/05/19 (木) 14:00
近未来、AI噺家との対決に敗れ弟子が皆去った老落語家のもとにおよそ落語に似つかわしくない若者が来て……な物語。
劇中の落語のアレンジぶりや落語ネタの活かし方がユニークかつ巧みで「まさかそんな題材を落語にするか」とか古典落語の一部を取り入れるとか、もちろんそのままでも面白いが、落語を知っていれば知っているほど楽しめて、まさに落語愛に満ち溢れていると言え、最終場のあの台詞はその極致だろう。
序盤の微妙な照明の変化や場転後に変わっている舞台美術(上手の床の間や下手の暖簾)などスタッフの芸の細かさも見事。
絶対に怒ってはいけない!?
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2022/05/18 (水) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/18 (水) 19:30
劇団プッチンが次の公演の準備をしているさなか、他劇団主宰がハラスメントで炎上しているとの報が入り……な物語。
昨今の件に関する楢原さんの考え方や想いが表現されているばかりか他の時事問題にも触れ、さらに「他の要素」まで加味して100分に収めるのはさすが。
が、メインにしたテーマが笑えないものだけに茶化すのは難しく、観ていて現実でのその問題について考えてしまい笑い飛ばすことができなかったのは前回公演に引き続きでつくずく「変な現実だな」と。
そして、もしかするとそれが楢原さんの目的ではないか?と深読みをしたり。
ホテル
20歳の国
新宿眼科画廊(東京都)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/15 (日) 14:30
【コーヒー】
マッチングアプリでマッチしてホテルで待ち合わせる男女とそのホテルの清掃スタッフ2人の会話を中心としながら時に会話や場をクロスさせつつ両者の関係を明かしてゆく構造が演劇手法としても話の進め方にしても巧みで、こういうの好きだなぁ。
選ばれるのはいつだって一人なんだから
劇団皇帝ケチャップ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/13 (金) 14:00
【Team Doughnut】5/13 14:00
【Team Pudding】5/14 13:00
生徒会長の改選(と一学期の期末試験)を控えた高校の生徒たち(+α)の群像劇。
生徒会長改選の件が芯になってはいるものの一つの大きな流れがあるのではなく芯に沿ってエピソードを羅列する構造は物語として弱いが、各人物のキャラクターの描き分け(脚本のみならず演技も含む)と会話/言い回しの巧みさによって終盤の「ある事件」まで飽きさせずに見せてしまうのがこの団体/吉岡戯曲の魅力か?
終盤でのある人物の論旨がいささか強引に感じられるが、保身のために似たようなことをする人物は現実としていそうでもあるし「芝居のウソ」の範囲内か。
強いて欠点を挙げれば冒頭の「ピアノの件」が回収されないのが惜しいかも?
衣人館 / 食物園
牡丹茶房
ギャラリーLE DECO(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/12 (木) 14:00
【食物園】
究極の自給自足を目指す(?)主人公に「衣人館」の主人公に通ずるものを感じる。
一見裏表に見えるが同じルーツを持ちつつ別の発達過程を経た二人、みたいな。そしてこの主人公も「最後に幸せを掴んだ」と受け取れる。
また、両編を繋ぐ人物の設定・使い方が巧いんだなぁ。
あと、終盤の「窓」関連の照明効果の工夫も見事。劇場ではなくギャラリーでこういう表現をするとは……。(いや、ギャラリーだからこその照明効果と言えるか)
なお、二編通して観て感じたのは以前の眼科画廊での「山猫/辺獄の葡萄」が「土着的怪異譚」だったのに対し今回は「アーバンホラー」なオモムキということ。次のギャラリー公演はどう来るのかな?
衣人館 / 食物園
牡丹茶房
ギャラリーLE DECO(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/12 (木) 12:30
【衣人館】
服飾に魅せられた主人公の行く末。
冒頭から主人公の「イッちゃってる」感が強烈で、そこからさらにのめり込んでゆくさまはまさにとり憑かれたよう。
それはあたかも笑ゥせぇるすまんの喪黒福造に「ドーン!」をされた後にも似て……と思ったが、ふと古来からの「怪談」にままあるパターンではないか?と気付く。
また、受け取り方によっては当日パンフレットにあるように「主人公が幸せを掴む」物語であるな、とも。
グレーな十人の娘
劇団競泳水着
新宿シアタートップス(東京都)
2022/04/21 (木) ~ 2022/04/29 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/04/24 (日) 13:00
上手く騙されたし概ね理解できたと思うが「そういうコト」に「そういうヒト」が関わってイイのか?という疑問が残った(あれも嘘なの?)
リディキュラブ
南京豆NAMENAME
王子小劇場(東京都)
2022/04/15 (金) ~ 2022/04/18 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/16 (土) 14:00
郷里で交際していたが男の上京により中断しその後東京で再会した男女と彼らに関係した人々のあれこれの顛末。
複数の登場人物はエキセントリックだし、出来事も日常をちょっとハミ出したことなのに白けたりせずむしろ共感して観てしまうのは、それらが「芝居のウソ」の範囲内にとどまっていることはもちろんだが、タイトルにもあるように恋愛における愚かさや「したいと思っても理性でガマンしていること」が描かれているからではあるまいか?
そんな匙加減が巧いんだなぁ。
あしたばのおひたし
オカムラ企画
雑遊(東京都)
2022/04/20 (水) ~ 2022/04/23 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/23 (土) 14:00
長野の旧家(?)に嫁いだ若い女性とその家の関係者による会話劇。奇しくも公演時期が被る劇団普通「秘密」と共通する部分もありつつ表現が真逆に近いのが演劇の面白さ。
また、従来の南慎介作品とはかなりテイストが異なるので「成立過程」が気になる。
それにしても終盤で「あること」が明かされてからは観ていてしんどい。もうどうなることかと心配で心配で。ラストに救いの光は見えるものの、それでもあれこれ考えるとこのあとの心配はつきない。
なお、劇中ではどの地が舞台なのか語られず、劇中に出てきた五平餅と語尾の特徴から静岡か?と推察したが、関係者さんから長野と知らされて「あ、そっちか」と思ったのだった。
なんとなく幸せだった2022
かるがも団地
北とぴあ カナリアホール(東京都)
2022/03/31 (木) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/03 (日) 13:00
高校の同級生たち(+α)の高校時代と社会に出てからを描く二部構成の「青春もの」。
「そういえばそんなようなこともあったなぁ」という共感/郷愁を呼び起こす出来事満載な上に台詞などがいたって自然で無理がなく(私見)、抜群に巧い場の創り方と繋ぎ方、それに歌の使い方によっておよそ「一般的な劇場の舞台」とは異なる多目的ホールでの上演であることなどいつの間にか忘れてしまうほど没入できた。
画廊にて 他3篇
日本のラジオ
新宿眼科画廊(東京都)
2022/04/22 (金) ~ 2022/04/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/22 (金) 15:00
従来とは異なるパターンで「日本のラジオ流コント集」なオモムキ。
それでいながら4篇中2篇がSFテイストで他の2篇も未来の話っぽかったりして「異世界っぽい」のが日本のラジオらしさか?
こういう路線もまたいつか観たいと思う。
春夏秋冬
世田谷シルク
座・高円寺1(東京都)
2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/21 (木) 14:00
3年前の横浜版より広く天井も高い会場になったことで投影用スクリーンが巨大になり迫力増(笑)。それだけでなく横浜ではただの(?)白いパネルだったものが厚みがあり障子戸の付いた装置になったりとグレードアップしていわばデッサンとそれを元にした油絵、的な?
個人的には抽象表現で「想像の糊しろ」が大きい横浜版の方が好みだが今回のコレもアリ、みたいな。
また、終盤の「アレ」に女性の生涯を描いた他の芝居を想起。