
水底
ポムカンパニー
ギャラリーLE DECO(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
共感したり耳が痛かったり
ある家族を中心とした物語。
終盤である人物から責められる主人公にイタく共感、また、その彼がある映画について語ることが心に刺さる。
構造面では併走していた3本の流れが後半で1つにまとまり結末に向かうのが巧み。

【当日券有】スタイルカウンシル
かもめマシーン
STスポット(神奈川県)
2013/05/28 (火) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
ブルーノプロデュースと較べるのも一興
いわき市の方々と出演者から取材した肉声を素材に「伝えること」をテーマにした「セミ・ドキュメンタリー演劇」。
ブルーノ・プロデュースのドキュメンタリー演劇とに対して「生の声」はより生々しい一方、フィクション部分がより演劇的なので、較べて観るのもまた一興。
前作より遥かにワカり易いし表現方法も工夫があって面白く、観ながらいろんなことを考えさせて戴いて愉しかったなぁ♪
なお、開演の10分ほど前からイントロ的なアクトがあるので早めの入場が吉。

Astronomer (アストゥラノマ) ~正しい嘘・ガリレオ・ガリレイ~
One on One
d-倉庫(東京都)
2013/05/23 (木) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
一粒で二度美味しい
裁判で証言する約束を急に翻した女性を説得しようとする法律事務所員を主軸にクライマックスにガリレオ裁判の「謎」を組み込むストーリーを14曲ものナンバーで彩った本格派ミュージカル。
ライトサスペンスにユーモアをまぶし、歴史上の出来事の知的謎解きも加えた物語、重唱など本格的なツクリに生伴奏の音楽とも秀逸で、まさに一粒で二度美味しい状態。

ものすごいオジさん
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2013/05/22 (水) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
ベテランの手腕に感服
20周年記念作ということで、とっさについた嘘で事態がややこしくなるコメディの王道を持ってきたな…と思わせておいて、終盤でのおばあちゃんの言葉を皮切りにした親子・家族に関する名台詞のラッシュで泣かせるとは卑怯なり!(笑)
いやいや、ベテランの手腕に感服。

笑うゼットン
トツゲキ倶楽部
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/05/28 (火)公演終了
満足度★★★★★
今の日本が抱える問題と娯楽性を両立させてアッパレ
本筋の落としどころに若干の甘さがないでもないが、今の日本が抱える問題をマクロからミクロまで巧みに関連付けて織り込んで現状の危機感を訴え、表現者(と言うより日本国民の?)あるべき姿を示し、それでいて娯楽作品としての面白さもきっちりキープしているのが見事。
あるシーンで目が潤みそうになったので満足度はちょっぴり(と言っても半分くらい)オマケ。(爆)

砂漠の密室
劇団BOOGIE★WOOGIE
秋葉原アトリエ「ACT&B」(東京都)
2013/05/15 (水) ~ 2013/05/18 (土)公演終了
満足度★★★
宗教色の強い結末が意外
宗教版「イヌの仇討ち」からの「教祖誕生」あるいは「母性最強説」…と思いきや、宗教色の強いオチは意外。
が、考えてみると「奇蹟」で締めるよりテはないような気がして、これはこれでアリ、な感じか?

獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2013/05/10 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
更に進化したイキウメ?
前回のように短編の再構成かと思いきや長編新作(だよね?)。
聖書の引用なども含んだ「新種誕生」譚、従来のイキウメ味に笑いも織り込み、更に進化したイキウメ、な感じ?
内容的に とり・みき を、語り口に小松左京を連想したりも。

【全公演終了!】あるオト、あるヒカリ、あるカラダ、あるコトバ、あるミライ、そのタもろもろ、の、あるケシキ【ご来場ありがとうございました】
空間交合〈アサンブラージュ〉リジッター企画
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2013/02/14 (木) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
前奏曲を伴う四楽章の交響曲
「前奏曲を伴う四楽章の交響曲」なオモムキ。
プロローグ的なダンスは言葉(これから始まる芝居のキーワード的なものも含む)に合わせたもので、
ダンスと二人芝居は「コトバ」と動作なのに音楽を感じさせ、続く2編は闇によって光を逆説的に表現するのが巧み。
そして迎える終章は冒頭のダンスのリプライズ並びに拡張版で、芝居の「その後」なども含まれてまさに画竜点睛を打つ、な感じ。

さよなら日本-瞑想のまま眠りたい-
範宙遊泳
STスポット(神奈川県)
2013/05/04 (土) ~ 2013/05/15 (水)公演終了
満足度★★★★
恐れ入ったぜ、山本卓卓!
極めてオーソドックスな会場の設えとほぼ十八畳間だけのシンプルな装置からは想像し得ないモノローグとダイアログ、それに光と影の共演。「あんなカタチ」で劇空間を切り分け、「あんなモノ」と役者を対話させるとは恐れ入る。
さらに対話にとどまらず「共演」までさせたり、プロジェクションマッピング風だったり、だまし絵ならぬだまし芝居な見せ方もする発想には脱帽。
恐れ入ったぜ、山本卓卓!
ところであれも「照明効果」の範疇に入るワケ?(笑)

【全ステージ終了しました!ご来場ありがとうございました!】ハロー!新宿ちゃん。
なかないで、毒きのこちゃん
新宿眼科画廊(東京都)
2013/05/10 (金) ~ 2013/05/15 (水)公演終了
満足度★★★★
それぞれに鮮やか
二人芝居4本オムニバス。
竜史・目崎剛お二方については作風を知っているのでその個性の丸出しぶりにニヤニヤしつつ内容も堪能。
初見になる鳥皮ささみ作品はトリッキーな中にドッキリやホロリを仕込み鮮やか。

磁界
浮世企画
新宿眼科画廊(東京都)
2013/05/17 (金) ~ 2013/05/22 (水)公演終了
満足度★★★★
キレイに一本とられる
過去に観た2作と比べて直球と言おうか誤解を恐れずに言えばベタでもあり、これはこれで充分面白いが…などと思って観ていたら最後の場でギャフン。
油断していたら不意に足を掬われる快感(爆)、的な?
明かされてみればそれまでのあれやこれやがそれぞれ腑に落ちる、みたいな。

幕末異聞 武士の影(もののふのかげ)
(有)オフィス パラノイア
「劇」小劇場(東京都)
2013/05/02 (木) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★
ベテランの技量を実感
日本映画全盛期の娯楽時代劇のような面白さ。
終盤はσ(^-^)がよく批判するタイプのものであったり疑問点があったりした(ネタバレBOXへ詳述)が、それぞれ合理的な理由を見出だせるあたりも隙がなく、ベテランの技量というものを実感する。

ひかる君ママの復讐
月刊「根本宗子」
BAR 夢(東京都)
2013/04/28 (日) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★
異色のバックステージもの(笑)
小劇場系演劇自虐ネタ満載の傑作コメディ。当初と内容を変えざるを得なかったかも知れないが、不慮の交代劇さえネタにして取り込む貪欲さもあって…。
バックステージものは、ピンチを切り抜けて何とか幕を開けようとか公演を続行させようとかする演劇人を描くことによって創り手の演劇愛を語るのが定番で、ソコが好きなのだけれども、そういったのとほぼ無縁なのが潔いよなぁ(笑)
いや、作品自体は定番と無縁ではあるものの、上演するまでの現実が「定番」そのものだったと言えるので敢えて描かなかったのか?(笑)
なお、ダブルキャストになったため、5月6日におかわりもする。

異空間
643ノゲッツー
STUDIO543(中野店)(東京都)
2013/05/11 (土) ~ 2013/05/13 (月)公演終了
満足度★★★★
「演劇のカジュアル化」にイイんじゃね?
実験的かと思いきやギャラリー、カフェ、民家などでの公演が日常化した小劇場界では至ってマトモ(笑)。
むしろ、回想など場が移る時に(ありものの)照明で上手く表現していたなと。
また、内容も好きなタイプの「夢?現実?」な部分を含みながら60分とコンパクトにまとまっており、住宅街の商店街という立地も含めて「演劇のカジュアル化」にイイんじゃね?

札憑キNoir
劇団Ya-taro
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2013/05/08 (水) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
脚本・演出・演者・美術どれもセンス良くて満足
ふとしたことから封印を解いた妖怪と組んで連続通り魔を探すことになる「札付きのワル」の物語。
メインストーリーに程よくサブエピソードを交えて笑いもまぶした脚本に擬闘や憑依シーンを筆頭とした役者陣の好演、2方向の客席のどちらも意識した演出など、あれこれ満足。
さらにこの世ならぬ世の者たちの衣裳・メイクもセンスが良く、サブエピソードの泣かせどころ(黄色い子犬ちゃんと友だちのハナシや母の想い、父の未練)にもツボを突かれる。
ただ、主人公にしても妖怪にしてもイイ奴過ぎるのが欠点?(笑)

SHOOTING PAIN
コロブチカ
横浜美術館レクチャーホール(神奈川県)
2013/05/04 (土) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
コロ・池亀ご両人のイイトコ取り
前半のドタバタ系パートは池亀色が濃厚だが演者がオトナなので(?あくまで私見)また違った味わいがあり、終盤ではしっとりとした哀しみも漂って(「まあくんがいなくなった」以降、立花・マツリそれぞれの喪失感が現出して切ない)、コロ・池亀ご両人のイイトコ取り的な感覚。
OP・EDのシルエットで見せるダンスもステキ!(映画のOPタイトルバックのようでもある)

focus. 神話
ミームの心臓
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了
満足度★★★
構成はともかくなげーよ!
【総論】
「どちらかと言えば神話よりもアレでは?」に始まり、真っ当に神話に向き合い過ぎた(?)ものを経て、程よくバランスの取れた作品で締めた、な感じ(私見)。
【各論】
ハイブリッドハイジ座「皮にパンク」
神話と言うより都市伝説的な題材だったがトップバッターとして観客を引き付けるに足るイキオイはアリ。
ただ、70分はチョイ長?
ミームの心臓「東の地で」
いかにもミームらしい雰囲気を持った「力作」。
いや、幹事ということもあってかチカラが入り過ぎて堅苦しいという意味で。
とはいえ、終盤での結界(?)や血の「見せ方」などが好き。
四次元ボックス「cicada」
両極端な2作の後に程よくバランスのとれた1作。
移転前のユーロスペースの小さい方のスクリーンでレイト上映されていた映画のようなニオイと神話ネタが上手くブレンドされて好み。
しかし全部観ると3時間半(初日は4時間だったとか)にも及ぶというのに小さなパイプ椅子の席が多いのはいかがなものか?

いのちだいじに【全6ステージ終了しました!】
駄目なダーウィン舎
アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)
2013/05/09 (木) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
「ホンキのオトナの学芸会」あるいは「新世紀型アングラ」
レトロフューチャー風味の少年冒険活劇。
思いっきりベタな展開、あからさまなカツラ、わざとらしいメイク、芝居がかった台詞回しなど、良い意味で「ホンキのオトナの学芸会」あるいは「新世紀型アングラ」?(笑)
練馬というB級(三流?)感溢れる地が舞台なのもイイ。

もうひとつある世界の森に巣喰う深海魚たちの凱歌
あなピグモ捕獲団
シアター711(東京都)
2013/05/09 (木) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★
本編はともかく時間にルーズ過ぎる
まるで夢の中のように森からエレベーターの中などといつの間にやら場が移っているという舞台向きな展開の前半と人や世間との繋がりに芥川リスペクトを加えた後半が割と好みだが、定刻前になし崩し的に受付を開始したり開演が10分以上押しても知らん顔だったり、時間にルーズなところはいただけない。(よって星を1つ減ずる)
一方、客席に忘れ物があったことを終演後いち早くメールで知らせたことについては感心。

おるがん選集 3
風琴工房
くらしのアトリエ ひらや(東京都)
2013/04/27 (土) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★
「小説を見せる」感覚
観る文学または立体文学なオモムキ。
片や原作を読んでおり、片や初演を観ていながらも、ディテールが記憶から飛んでいたので新鮮?(爆)
そんな中、「痩せた背中」での回想場面の見せ方が独特と言うか、さりげなくヒントを見せて入るので「あ、そういうことね」とワカる、な感じ。
また、「小説を見せる」な感覚で、原作の記述はこうなんだろうな、と想像できる気がしたと言うか、実際に思い浮かべてしまったりもして。