ERINの観てきた!クチコミ一覧

1-3件 / 3件中
自由を我らに

自由を我らに

カプセル兵団

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/07/07 (火) ~ 2015/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

口語訳憲法の妙
感想を書くのはとても難しい。

というのもこのわたくしが、憲法フェチと言えるほど憲法大好きでそのなりたちや意味の奥深さにべたぼれだから。誘ってくれた人はわたしのその気質を知ってるからこそ「あなたに見てほしい!」と、誘ってくれたのだろう。

わたしは今回のテーマを持って、しかも正面から、さらに喜劇として、これを作られた役者、スタッフの皆さんの勇気と真摯さにまず大きな拍手を。そして敬遠されることなく客席と一緒になって転がりながら考えられるように持ってくその脚本と、聞き取りやすい台詞、間のよさ等の役者さん達の力量に感服です。

ネタバレせずに言える感想は限られる。ひとつそれ無しに言えることがあるとすると、登場人物がたくさんいる中で、わたしの言いたいことをスパーンと言ってくれる人が一人もいなかったことが、唯一の不満である。しかしそれは、わざと観客に自ら考えさせるためにあえてそうされたのかはわからない。芝居としてはない方がいい台詞、かもしれない。

ともかく、面白く退屈しない。それに遠慮なく笑える。客席の雰囲気もとてもいい。

それと、わたしはやっぱり黒田勇樹さんが役者に復活してくれて、嬉しい♪

見るか見ないか迷っている人がいれば見るべし。憲法のことは自分の頭で考えたい人も見るべし。決して結論を押し付ける舞台ではない。安心して笑って考えて、唸れる舞台です。

ネタバレBOX

とてもいい舞台だったので、ネタバレというより構成上の不満をいうと、「押し付け論」前提にあることが、憲法の劇をつくるのあたりよかったのかどうか。

憲法の成り立ちの資料が、国会図書館の特設サイトにも公開されているが、そこには憲法制定を巡るいくつもの議論が、まるで芝居の台本のようにかかれていて、いやそれは実は「単なる」議事録なのであるけれど、実にドラマチックなやり取りがそこにはある。それこそ大の大人が恥ずかしくなるくらい大まじめに、壮大なロマンを語るのも見える。

それからそこには、民間や政党が提出した複数の草案もある。

巷ではいかにも日本国憲法がGHQの押し付けであるから憲法を変えるか変えないかという議論になっていて、そこを混乱させないために芝居もそういう設定にしたとも考えられるが、やはり、この議論があったことは変えて欲しくはない史実だとは思う。複数の草案や議論があったことは、資料の存在だけでなく天皇と皇后も度々公的に証言されている。

ここを踏まえず(もしかしてあえて踏まえなかったのかもしれないが)話が進むため、若干軽薄だ。

登場人物のひとりでもいいので、心底この憲法の表現や目指すものに惚れぬくものがいていい。それと「立憲主義」という不可避なキーワードに一切触れていないことが、歯痒かった。

と、書いてしまうと根底からこの舞台を否定してるみたいに聞こえるかもしれないけれど、この前提の違いを感じながらも、腹から笑えるし、納得や説得力も十分ある。繰り返し書くが、人に勧めたいかどうかといえば、迷っているなら、友人と誘い合って行くべし。感想を自分の言葉でわいわい語りたくなる。そこが何よりこの芝居の魅力。
リ:ライト

リ:ライト

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2015/07/01 (水) ~ 2015/07/06 (月)公演終了

満足度★★★★★

みんな優しい
みんな優しくて優柔不断で白黒はっきりつけるのが苦手な人物達がもやもやしたり、気遣いすぎたり、ついには破裂したりしながら舞台上で関係が化学反応していくプロセスを楽しめる。ここは看板に偽りなかった。

また見たい劇団です。というか座長さんとはいつか一緒に飲みたいと野望を持つファンです。

ネタバレBOX


堂々巡りを焦ったりイライラさせたりすることなくかなりじっくり見せる脚本はうまいなぁと、思う。また役者さん達が微妙に違うパラレルワールドに果敢にも挑戦した努力に頭がさがります。間違い探しの楽しさがあります。実は病気の彼女の憎めないキャラクターが優しいみんなに説得力を持たせてる。

好きなシーンは、幼なじみの二人が最初は男性が女性の思い出を語り、二回目のシーンでは女性自身が自分の思いを語るんだけれどその重なりが何とも言えず暖かい気持ちになった。

欲を言えば、特に大学の研究所といえば優遇される研究とそうでない研究があって、そこから生じるジレンマなど、一般にも広く知れることになったリカジョを取り巻く過酷さのリアルさが背景にあると立体感が増すのではと思う。充分楽しかったので欲が出る。
僕の部屋は戦場になった。

僕の部屋は戦場になった。

トツゲキ倶楽部

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/11/12 (土) ~ 2011/11/16 (水)公演終了

満足度★★★★★

コメディなんだけど骨太。
役者さん全てが魅力的。

日頃から表現について妥協しない稽古を積み重ねられてるんだろうなぁと思いました。本物の涙を見ました。人の優しさとか甘さ、傲慢さも描いていながらエンターテーメント。

内容はずっと笑える愉快な舞台なのですが、テーマは芯が通っていて、小劇場ならではのどきりとさせる含みのあるセリフも多く好みです。

このページのQRコードです。

拡大