写真一覧（山下幼稚宴 : 全て）

オバケ屋敷の従業員による、幕開けの大きなミュージックナンバーです。
写真の左から、沢田・リャン・ジョニー別府・小盛れい子・メイ。

♪照りつける太陽ギラギラ　汗っかきのキミはメッシュ
　はじけるキミの笑顔が　　　ちょっと暑苦しいよ

さてさてミュージカルフリークをも悩ませるミュージカルの始まり。
このM1の歌詞はゼンエイ要素をふんだんにはらんだものであり、
これから始まる舞台の見方をお客さんに暗示していたりもします。

困ったことにこの曲は漠然とした状況説明ではじまり、最後まで明確なメッセージを持ちません。
しいて言えば「ここがスナックゴーストというオバケ屋敷だよ」程度のことしか言わないのです。
頭の中に「？」が生まれたお客さんもいることでしょう。
しかし実は、説明待ちのお客さんのスタンスを否定するのが
このナンバーの役割なのです。

ミュージカルで突然歌いだすことに必然性とか理由はありません。
お客様にその深い意味を問われると、このオバケな人生は
成立しなくなります。
舞台中盤に、ストーリーにそぐわない神懸りごっこ的なムーブメントナンバーがあります。
歌詞も、あぶない神の降臨にまつわる邪心宗教のテイストを持ったもので、深く考えてしまうと物語と関連付けがうまくいきません。
「おかしいな」、とそれだけ思っていただければ力を注いで作った甲斐があります。

ミュージカルで起こることを自然だと思わないで欲しい。
その思いが音楽喜劇「オバケな人生」の随所に表れています。

撮影　Yuya Saito

♪オドレンジャーなんてできっこないさ
　 ヒーローになんてなれっこない
　 I CAN’T BE 　　I CAN’T BE
　 I CAN’T BE THE HERO

作品中でも長いステージングナンバーであるこの曲は、社長としばたによる嘘の策略、
「間違ってヒーローショー告知のチラシを全国の書店・コンビニ・スーパーなどに発送しちゃった」という問題を説明する役割を持っています。しかし写真を見ると、なにやら変な合体ロボが……。
深刻な問題に対しての従業員達の軽い理解が、「茶化し」という行為によって表現され、社長としばたもカンタンにそれに乗じて遊んでしまうという、とってもどうしようもないナンバーです。
（公演ブログより）
撮影　Yuya Saito