公演情報
「ラ・マンチャの男【2月8日～12日、2月17日～28日公演中止】」の観てきた！クチコミ一覧
-
実演鑑賞
満足度★★★★
これは白鴎の祝狂言だ。千三百回も同じ役で、しかも日米で大劇場で主演したという記録はめったに現れるものではない。見ておかなければ、と初めて横須賀まで出かけた。
よこすか芸術劇場は都内でも数少ないびっくりのオペラハウスで客席５階まである。その上、フォーラムなどに比べたら、見やすい客席になっていて一階でも30列ほどに抑えられている。おかげで、後ろから五番目くらいの席でも、白鴎の最後のドンキホーテをしっかり見られた。
「ラマンチャの男」のブロードウエイ初演は1965年。五年六ヶ月のロングランで、そのうち1970年の60ステージを当時26歳の市川染五郎が単身渡米して主役を演じている。そのきっかけは前年69年の日本初演（帝国劇場）での好評だった。以後、周囲は次々と変わっていったが、主役のセルバンテス/ドンキホーテ役だけは、市川染五郎から松本幸四郎、白鸚と名前は変わっても白鸚ひとりが演じ続けてこのファイナル公演を迎えた。日本の演劇史上も希有な演目となった。
最初はテレビドラマから始まったこのミュージカルは、当時よく使われていたメタシアターの劇中劇の構造を使った基本的には小ぶりな作品である。
舞台は、セルバンテスが「ドンキホーテ」を書いたのは教会冒涜の咎で入牢中だったという史実を元に、捉えられたセルバンテスが囚人たち（囚人のボス/上條恒彦）に遍歴の騎士/ドンキホーテの物語を聞かせるという枠組みで作られている。
セルバンテスをモデルにした田舎鄕士キハーナが、獄につながれる現実と、自らを守るために囚人たちに役を振り、自らも作中人物/ドンキホーテとなって演じる見せる劇中劇の二重構造になっている。柱としては、汚れ果てた現実社会の権力構造に対して、戦いを続けようという単純な正義感がおかれているが、戦う人ドン/キホーテの周囲に王女と妄想される売春婦アルドンサ（松たか子）忠実な下僕サンチョ（駒田一）囚人のボスなどの市民を置き、メタシアターを生かしたドラマになっている。
ミュージカルナンバーの主題歌「見果てぬ夢」はポピュラーソングとしても流行った。あとは「ドルシネア」松の小曲の｛どうしてほしいの」や「アルドンサ」も歌のうまさでいい彩りになっている。
俳優としての松本白鸚にとっても生涯演じ続けるという希有な経験をもたらした。伝統芸能の家に生まれて、周囲に似た経験のある俳優たちが居たこともあったのだろうが、伝統演劇と現代劇ではワケが違う。乱暴に例を挙げれば、伝統演劇には演ずべき型があるが、現代劇には型がない。白鸚は近年の上演では自ら近代劇的な「演出」も担って、公演を重ねるごとにさまざまな変化がある。今回のファイナル公演の白鸚は80歳、さすがに足腰の衰えは舞台に出ている。二十歳代と同じ演技は出来ない。型で乗り越えようとしているところもあるが、それだけではない。最初は、大丈夫かと思いながら見ていたが、終盤、主題歌の「見果てぬ夢」になった。「道は極めがたく、腕は疲れはつとも、遠き星を見つめて我は歩み行かん」。死を目前に自覚した白鸚がまさに地で行っているように立ち上がる。「たとえ傷つくとも、我は歩み行かん。永遠の眠りにつくそのときまで」型になる。
ひょっとしてここまでのよろよろぶりはファイナルのためだったのかもしれない。こう言う役作りは歌舞伎にもあるから、白鸚はここでもそれを自分の年齢と体力も考慮してやって見せたのである。白鸚ならやりかねない。何しろ、自分に娘が出来たときにこの芝居にちなんで紀保と名付けるような役者なのである。
これはそう言う芝居ではない、メタシアター作りの現代劇で、そのためには、前半のセルバンテスが型でしのいでいるのはいかがか、という意見はあるだろうし頷けるが、それも含めて演劇の多重的な楽しみがある祝狂言なのである
松たか子（アルドンサ/ドルシネア）は、舞台の上では父親の分まで大活躍である。そういえば、松が初めてドルシネアを演じた舞台を帝劇（2002）まで見に行ったことがあるなぁと思いだした。それからも二十年たっているのだから、月日のたつのは早いものだ。東宝ミュージカルを地道に支えてきた上條恒彦も神妙に務めている。ファイナル公演はオケも結構分厚いし、表は東宝が仕切っているらしく、横須賀が似合わない黒服が場内整理をしている。すべて祝狂言らしい。
しかし、このミュージカルは珍しくしっかりメタシアター作りになっているから、小劇場の手にかかると、また別の仕上がりもある本でもある（先頃上演の木ノ下歌舞伎の櫻姫と同じ趣向である）。あまり遠くない機会にそう言う舞台も見られたらと思うが、それまではこちらの命もおぼつかない。それは演劇の宿命だが、そう言う芝居に出会えたのは見物の幸せというものであろう。 -
実演鑑賞
満足度★★★★★
昨年の公演は、コロナのために自分の買っていたチケットが2回分とも払い戻し。横須賀でファイナル公演が決定したというニュースは本当に嬉しかったが、14時からの1日1回で10日のみの公演ということで、チケット確保にはなかなか苦労も。
地下牢への階段を従来公演のような高さではなく、舞台奥へのスロープに変え、八百屋舞台も取り止めて、主役の脚腰への負担を極力減らそうというセット。休憩を入れた二幕に変わったし、ラバ追いの男たちとの立ち回りや、ムーア人とのダンスなどでも動きの変更が。それでも松本白鸚丈のセリフや歌は立派なものだったし、やはりこの舞台には素直に感動。サンチョ役の駒田一が歌でも芝居でも主役を支えるような大健闘だった。
旗森（668）
ベンジャミン2号（1147）
この公演に関するtwitter
初日1週間前から「団体名」と「公演タイトル」を含むツイートを自動表示します。
（ツイート取得対象にするテキストは公演情報編集ページで設定できます。）
-
『すずめの〜』で草太の祖父を演じたことでもお馴染み、松本白鸚さん。50年以上立ち続けた名舞台『ラ・マンチャの男』ラスト公演が終了。 一時は体調悪化で今後を危ぶまれる声もありましたが、見事に舞台人として闘い抜きました。 不屈のア… https://t.co/xA24iCJhhw
約1年前
-
照史くん！ 松本白鸚様の舞台「ラ・マンチャの男」のファイナル公演のパンフレットにコメント寄稿素晴しすぎて鳥肌です。舞台にもご招待頂いて、白鸚様はもちろん、照史くんの今までの努力と、ご縁を大切にする心の賜物ですね。夢が叶いますように応援してます。 #きょうのあきと
約1年前
-
昨日は、幸運にも当選した松本白鸚さんの幻のラスト公演の舞台「ラ・マンチャの男」を観るために、よこすか芸術劇場に行きました。26歳から半世紀余り演じてきた傘寿の松本白鸚さん、気迫の演技でした。カーテンコールはスタンディングオベーショ… https://t.co/BJQilLeI8s
約1年前
-
２時間２０分を演じ切った白鸚は舞台で深く頭を下げた。果てのない花。３歳から彼の体を流れてきた純粋で過酷、華麗な芸能の時間を思った。 （評・舞台）東宝「ラ・マンチャの男」 軽みと風格、圧倒の最終公演：朝日新聞デジタル https://t.co/7E2FFj3s7m
約1年前
-
先日、舞台『ラ・マンチャの男』を 観劇しに行きました。まずセットが凄い！そして生演奏が綺麗すぎて始終心が浄化されてました🥲 そして何より主演の松本白鴎さんは、80歳とは思えないほど迫力があって、とても美しくかっこよかったです！ 人… https://t.co/fQrhBuewC0
約1年前
-
ミュージカル舞台『ラ・マンチャの男』1年越しの想いをここに。松本白鸚さんの歌声に震えました！頭の中のグルグルが止まらない。 さん https://t.co/yk0Ov5juJP #松本白鸚 #ミュージカル #アメブロ #ラマンチャの男
約1年前
-
YOKOSUKA🚢 横須賀、何年ぶりだろう… 祖父は横須賀生まれで、昔から船好きスカジャン好きだったらしい。 今日は母と舞台『ラ・マンチャの男』を観劇。 奇跡的にチケットをゲットでき、松本白鸚さんの勇姿を拝むこ… https://t.co/mS7HXHNqvl
約1年前
-
（評・舞台）東宝「ラ・マンチャの男」 軽みと風格、圧倒の最終公演https://t.co/Je00URRhn8 松本白鸚さんが１９６９年から演じ続けてきた「ラ・マンチャの男」のファイナル公演。 演劇評論家・山本健一さんの劇評です。
約1年前
-
（評・舞台）東宝「ラ・マンチャの男」 軽みと風格、圧倒の最終公演 https://t.co/HnVI0GdqEG 松本白鸚さんによるファイナル公演。 演劇評論家の山本健一さんの劇評です。 公演は２４日まで。
約1年前
-
本日は舞台ラ・マンチャの男を観劇。初めての演目でしたが、この世で所有できるものは己の魂のみ。というセリフが胸に来ました。広い空間に響く歌声もステキでした。 https://t.co/M5GnkO0xbo
約1年前
-
幻のファイナル公演「ラ・マンチャの男」を観劇 傘寿まで演じ続けてこられた松本白鸚さんにスタンディングオベーション 松たか子さんの歌声も素敵でした✨ https://t.co/qxBSAM2z3t #ラマンチャの男 #ミュージカル
約1年前
-
松本白鸚「誠に残念の極み」 ファイナル公演「ラ・マンチャの男」が28日千秋楽まで中止 (スポニチアネックス) https://t.co/V7S1XErSRy そういえば千穐楽まで中止になったのですね。 なんとも言いようがない。 #Yahooニュース
約2年前
-
27日のチケットに希望を託していたのですが・・無念です😭松さんのアルドンザも楽しみだったんだけどな🥲→松本白鸚「誠に残念の極み」 ファイナル公演「ラ・マンチャの男」が28日千秋楽まで中止 (スポニチアネックス) https://t.co/CTYcii3Ygf #Yahooニュース
約2年前
-
日生劇場「ラ・マンチャの男」につきまして公演中止期間を2月28日(月) 千穐楽まで延長とさせて頂きます。お客様におかれましては大変なご迷惑をお掛けしますこと心よりお詫び申し上げます。中止公演回の払戻し方法詳細につきましてもご案内し… https://t.co/K7l0DWBg1M
約2年前
-
日生劇場「ラ・マンチャの男」公演中止に関する払戻しについて【2月21日～24日】の公演回を追記いたしました。 詳しくはこちらからご確認をお願いします。 https://t.co/0OiLSy1dRY
2年以上前
-
日生劇場「ラ・マンチャの男」につきまして公演中止期間を2月24日(木)まで延長とさせて頂きます。ご観劇を楽しみにお待ち頂いておりましたお客様には、大変なご迷惑をお掛けしますこと、心よりお詫び申し上げます。 詳しくはこちらからご確… https://t.co/eTRo4zdInM
2年以上前
-
SNSで接種券がとりあえずなくてもブースター接種できる病院情報が流れていたので即予約し、数ヶ月ぶりに仕事の合間に散髪に行っている間に、日生劇場『ラ・マンチャの男』の明日の公演中止のメールが来てた…。家族と一緒に観に行く予定だったの… https://t.co/2nyvMQlcYo
2年以上前
-
松本白鸚のラスト公演「ラ・マンチャの男」再び公演中止 関係者コロナ陽性で(スポーツ報知) https://t.co/NcVzMQLbm3 昨日、昼頃近場を通った時は中止の報告はなかった #Yahooニュース
2年以上前
-
日生劇場「ラ・マンチャの男」一部公演中止のお知らせ【2月17日～20日】詳しくはこちらからご確認をお願いします。 中止公演回の払戻し方法詳細につきましてもご案内しております。 https://t.co/W1vQQbj1g6
2年以上前
-
つらかったのは、昨年からずっと楽しみにしていた舞台「ラ・マンチャの男」(酒井比那さん出演)を観劇できなかったことですかね。今日は午前中にたまっていた用事をいくつか済ませたのですが、思っていた以上に、体力的にきつかったです。週末いっ… https://t.co/DYZGFpwcKs
2年以上前
