『心中天の網島』 公演情報 『心中天の網島』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
1-14件 / 14件中
  • 満足度★★★★★

    5回みました
    大好きな糸井幸之介さんの演出で木ノ下歌舞伎ともなればもう、おさんの如く予算ふりしぼって、京都&東京行ってきました。
    見る前も後も大阪の川沿いの現場を行ったりきたりして、どっぷりその世界に浸りました。
    糸井さんの描く死に近い夜明け前、なんとも美しく楽曲もどれもこれも素晴らしくて。若松くんの歌が好き。
    そして、やはり、日高さんの主役ぶり、私の大嫌いな治兵衛をかっこよく、情けなく、愛しく演じてくれました。

  • 満足度★★★★

    心中天の網島
    木ノ下歌舞伎は上演作品自体もわかりやすく見せて下さいますけど
    それに加えサイトで事前に相関図なども載せたり、今回は音声ガイドなんかもあったみたいで。
    それらをチェックしていなかったのですが
    当日パンフにあらすじ、相関図が書かれてあり開演までの間に頭に入れて挑みました。

    ネタバレBOX

    まずチラッと耳にしていた舞台美術。
    平均台がいくつも置かれている。
    後でそれが網だとか川だとか橋だとかだったり、不安定な心情を表していたりということを知りました。

    昔も今も人は皆そんな風にフラフラと危なっかしく生きているのかもしれません。


    暗転からの明転。効果的でした。
    何かが起こるだろうワクドキ感。

    最初の曲は音程も怪しいような?ちょっと弱いなぁと感じてまだまだ没頭出来なかったけど
    孫右衛門、治兵衛が出てきたくらいから
    話が動きだし面白くなってきてすっかり入り込みました。

    小春役の島田桃子さんは
    『ロミオとジュリエットのこどもたち』で観たことあったけど
    今回の役の方がこの方の良さが出てたように思う。
    透明感が半端ない。
    歌声も肌の白さも。
    そら治兵衛も入れ込んじゃう。

    小春も治兵衛を好きだったけど
    おさんから手紙が届き…遊女という身から
    治兵衛と離れる。

    ここで歌われた『錆びた時計』良かった。

    おさん(伊東沙保さん)と治兵衛(日高啓介さん)の二人のやり取りも良かった。
    『箪笥の思い出』の歌もせつない。


    そこから変化。
    それまでは現代風な台詞だったけど
    歌舞伎調になり、見得もきる。

    ここでバイオリンを使っての義太夫節。

    バイオリンの音で心情を表し、武谷公雄さんの義太夫節でより厚さ、深みが。
    斬新なアイディアにこの作品に対する私のリスペクトはピークに。

    五左衛門役の小林タクシーさん
    前役の小春に横恋慕する太兵衛より
    こちらの方が好きでした。

    治兵衛と小春の道行きは
    大好きな
    糸井さん主宰ぐうたららばい『観光裸』そのもの。


    いちゃいちゃしながら連なる橋を渡り歩く。
    それは死に行く二人…


    木ノ下さんが『観光裸』を観た時に感じた
    「これは道行きじゃないか!」と。
    そこから繋がった
    糸井さんと木ノ下さんの縁。

    『愛と死』は名曲でした。

    4人がバックコーラスのように歌い始めるんだけど
    長唄のようでもあり、コロスのようでもあり。
    天から二人を見下ろしてるのか?神なのか?

    ここの演出がとても好きでした。


    木ノ下歌舞伎はいつも杉原邦生さんが演出されていましたが
    この組み合わせも素敵でした。


    西田夏奈子さんはやはり素晴らしかった。
    FUKAI PRODUCE 羽衣『耳のトンネル』で歌の上手さは知りましたけど
    バイオリンまで演奏出来るのは知らなかったのでびっくり。
    声でも圧倒されました。
    武谷公雄さんと西田夏奈子さんの存在はとても大きかった。


  • 満足度★★★★

    心中天の網島
    糸井幸之介さんの楽曲に一曲目からホロリ。心中ものは得意じゃないけど最後ボロ泣き。歌舞伎と現代劇の交ぜ具合が愉快で、実は原作にかなり忠実とのこと。庶民的な身近さこそ感動の要因と思うが、さらなる洗練が欲しい気も。平均台が折り重なる美術が刺激的。

  • 満足度★★★★

    不安定な恋
    役者は熱演、大事なものを失った人間が死を選ぶプロセスも鮮やかな、
    ストーリーも秀逸。
    だから歌わなくても完結しているところへ熱く歌うものだからちょっと過剰な印象。
    それはたぶん歌舞伎の台詞そのものが音楽的でメロディアスだから。
    全員が西田夏奈子さんくらいに歌えたらまた少し変わったのかもしれないけれど。
    それにしても生きるか死ぬかの苦悩する人を表現するのに、
    歌舞伎の台詞はなんと相応しい事だろう。


    ネタバレBOX

    白い平均台が網の目のように並べられ、あるいは立てかけられた舞台。
    明転すると役者が歌いながらそれを平らに均していく。

    遊女小春(島田桃子)に入れあげた治兵衛(日高啓介)は心中の約束をする。
    ある日治兵衛は小春が「本当は死にたくない」と口にするのを聞き激怒。
    小春を罵って別れを告げる。
    だが小春は治兵衛の妻おさん(伊東沙保)に頼まれわざと愛想尽かしをしたのだった。
    やがて真実を知った治兵衛は、意に染まぬ身請けを受け入れた小春が
    ひとりで死ぬつもりであることを悟る。
    おさんも、自分の願いを黙って聞き届けた小春の気持ちを知り、
    死なせるわけにはいかないと決意。
    夫婦は財産を投げ打ってでも小春を助けようと二人で力を合わせる。
    しかしおさんの父は、遊女に入れあげる治兵衛を責め、無理やり夫婦を別れさせる。
    妻も、小春を助ける金も失った治兵衛は、今度こそ本当に
    小春と死ぬしかないと心を決める。
    二人はいくつもの橋を渡り、死出の旅に出るのであった…。

    冒頭の歌が、パワーはあるもののもう少し上手かったらなあ、と思ってしまった。
    “役者の歌は上手さではない”と言うけれどやっぱり気になる。

    不安定な平均台の上をそろりそろりと歩く人々は、それだけでもう
    人生の危うさを感じさせる。
    いつかは落ちてしまうであろう事の成り行きを暗示していて上手い。
    一方治兵衛とおさんの家はベニヤ板を敷いて家庭の安定感を出している。
    ただし堅牢なものではない。ベニヤの下はやはり平均台なのだ。

    治兵衛とおさんが、小春を助けるために家財を売って金を工面しようとする場面、
    小春を挟んで二人が互いの大切さを思い出す、皮肉ながら温かい場面である。
    おさんの人柄がとても繊細に描かれていて良かった。
    ここでは歌が効果的に使われていると感じた。

    小春の真意を知りながら治兵衛を諭す、兄の孫右衛門(武谷公雄)の台詞に
    味わいと慈しみがあった。
    おさんの母役西田夏奈子さんは歌唱力、ギャグの間など随所で芸達者ぶりを発揮、
    舞台全体をけん引していて素晴らしい。

    人生に絶望した治兵衛とおさんが心中するところ、そのリアルなやり取りがよかった。
    単なる形だけの心中ではなく、最期まで弱く、往生際が悪く、人間臭さが出ていた。

    治兵衛が心中を決意する理由のひとつに、おさんを失ったことがあるとすれば
    この心中は、男の論理と翻弄されつつそれを許す女の哀れさに満ちている。
    この“浮気の構造”を紐解いて見せる近松さん、やっぱりすごいわ。
  • つまらなかった
    初めて木下歌舞伎というのを観たけれど、
    全てが中途半端で何を観てるのか分からなかった。

  • 満足度★★★★

    面白い融合
    木ノ下歌舞伎と羽衣の妙ージカルが上手く融合して、とても楽しかった

    糸井さんの作詞作曲のセンスはやはり凄いな。

    木ノ下さんと糸井さんのアフタートークも独特で面白かった

  • 満足度★★★★

    独特の演出で楽しめるました!
    初めて観る舞台でしたが、独創性のあるもので、飽きずに最後まで楽しめました。
    決して上手いとは言えない唄ではあったが、何故か心打たれるものがあり、温かい舞台であった。
    余韻があり、また歌が聴きたくて、DVD?を予約して帰りにました。
    また、アフタートークは最高!でしたよ!
    また来て下さいね!

  • 満足度★★★★

    シリアスな妙ージカル
    平均台数十台にちゃぶ台にベニヤ板のすごいセット。前半は、羽衣特有の妙ージカルに木ノ下風にアレンジしながらいったけど、中盤になると、まるで夫婦コメディ色なエンタメ感もあったけど、クライマックスは、シリアスなドラマになって、とてもすごかった、120分でした。

  • 満足度★★★

    初見
    これまでとは違う趣向らしいが、初木ノ下歌舞伎の為、どう違うのかはわからない。冒頭の陽気な出だしに、Eテレの午前と夕刻の時間帯に放送されればかなり人気番組になりそうな音楽劇だなぁと思った。
    足元すくわれそうな平均台セットに近松戯曲と駄洒落歌詞曲が奇妙なミスマッチ。あんなに俗悪言語が現代的セリフとあう不倫舞台も珍しい。
    約2時間。

    ネタバレBOX

    箪笥整理の場面、舅の怒号にバイオリン演奏あたり場の空気も変わりそこらから話にぐっと引き込まれ、決断場面の照明が不謹慎ながらキレイと思った。
  • 満足度★★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    木ノ下歌舞伎の【心中天の網島】を観劇。

    今作は前作、前々作とは演出家が変わり、羽衣の演出家・糸井幸之助が登場だ。
    羽衣は、妙ジーカルという一風変わったミュージカルを手がけているのだが、その演出家が歌舞伎に挑むのは見ものではあったが、これまた何時も通りの妙ジーカル風な歌舞伎の心中物語を作ってしまったのである。

    治兵衛は妻子がありながら、遊女・小春と逢瀬を重ねている。
    そして数々の苦難を乗り越えて、ふたりは死への道行を歩み始めるのだが…。

    木ノ下歌舞伎は何時もながら原作を尊重して、設定だけは変えながらも、内容は変えずに、深い考察の元に登場人物の心に深く入り込んで描いてくる。
    そして今作も治兵衛と小春が何故心中に至った経緯、治兵衛の妻子との生活、小春の無念の思いなど、事細かの人物描写で、観客は登場人物達に魅了されてしまう。
    そしてその人物達たちに生き様に沿うような変な歌のオンパレードが観客の心を更に苦しくする。
    そして全てが出揃ってからのクライマックスの治兵衛と小春の心中シーンに涙せずにはいられない。

    今年三本目ながら、またもや意図も簡単に傑作を作ってしまったようだ。
    そして小春の島田桃子、おさんの伊藤志保、そしてダメ亭主・治兵衛の日高啓介が素晴らしいが、個人的には島田桃子が好きなので、彼女が一番である。

    今作はお勧めである。
  • 満足度★★★★

    色白は七難隠す
    とは良く言ったもので、小春の肌の美しさが光っていました。

    ネタバレBOX

    近松の心中物。

    FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介氏が関わったことで妙ージカルになっていましたが、バイオリンも弾け、歌の上手い女優さんがいた一方で、一部の男優さんの半音高そうな歌声が気になりました。

    アフタートークで、人を救ってくれる天の網やこの世界の不安定さを表すために乱れた格子に組まれた棒状の板材と平均台を置き、今度はベニヤ板を載せることで家庭の安定性を強調するとの説明に、激しく合点がいきました。

    それにしても主宰の木ノ下裕一氏はじーっと良く見ても不思議な存在でした。
  • 満足度★★★★

    橋づくし
    面白い。115分。

    ネタバレBOX

    妻子ある治兵衛(日高啓介)が遊女の小春(島田桃子)と心中を図ろうとするが、治兵衛の兄・孫右衛門(武谷公雄)に心中したくないといっているのを聞き激怒する。妻・おさん(伊東沙保)の母(西田夏奈子)に小春と切れたことを伝えるが、おさんから実情を知り、小春が一人死ぬとおさんとともに金を工面する。結局、おさんの父(小林タクシー)におさんは実家に連れ戻され、治兵衛は小春との心中を決意。二人、幾多の橋を渡り、心中を果たす…。

    糸井幸之介が演出に入り、いい具合に羽衣な作品となった。原作を読んだことはないけども、シンプルな構成の中に、人のヒダみたいなのがしっかり作りこまれてた。バイオリンを使ったおさん父が荒れるシーンはなかなか見ごたえあった。その前の、小春の想いを酌んでへそくりや箪笥の品々を質草にしようとするおさんのシーンが一番グっときた。楽曲「箪笥の思い出」にのせた過去回想シーンもいい。

    正直、「心中」というものは(当人同士の心だけでなく)社会的背景によるところ大きいんじゃないかなと思っているので、そこらへんの理解がもうちょいできたらなお良かったかなと思った。

    楽曲「愛と死」も好き。
  • 満足度★★★★★

    妙―ジカル風
    近松門左衛門のえぐる心理描写に、美化しない表現と、羽衣でおなじみの糸井の曲が加わって、時代を超えたような作品になり、凄みを感じた。熱演だったが歌唱力が不足。歌舞伎は見取りしか観たことがなかったので、通しでも観たくなった。

  • 満足度★★

    妻・おさんが魅力的/約115分
    前段がショーアップされすぎていて、クライマックスの悲愴感があんまり伝わってこなかった。
    また、私にとっては主人公の妻・おさんのほうが魅力があり、遊女に入れあげる主人公に気持ちがついていかなかった。

    ネタバレBOX

    妻おさんには伊東沙保さんが扮し、良妻賢母を好演。
    夫が遊女と心中後、それでも気丈に赤子をあやす姿には涙がにじんだ。

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