満足度★★★★★
評価が難しい、、、
まず、私はアンドロイド演劇の可能性を期待して観に行った。(初見)
そういう意味では、あまり面白くはなかった。
ただ、普通の芝居として極めてよくできていて、そこには大満足。
でも、それは文学的な意味であって、演劇的な部分ではない。
さらに、非物語的な作風から出発した平田オリザ氏が物語に回帰するのが良いのかも微妙。
また、この作品では、現代の社会状況への痛烈な問いかけが孕まれている。
その点も、とても素晴らしいと思う反面、ここまで前面にその批評性(メッセージ性ともいえるくらい)が出てくるのは、彼の今までの作風からして良いのだろうかとも思ってしまった。
ただ、こちらに関しては、今の社会状況に演劇が対峙するのには、作風云々ではなく、これくらい露骨に批評性を出していくしかないと思ったのかもしれない。それならば、素晴らしいともいえる。
最後まで<ネタバレ>を書いて、振り返ると、
平田オリザ氏が作ったと思うから、今までの彼の作風と比較して引っかかる部分が多いだけで、新しい作家の作品だと言われたら、もっと素直に賞賛できる気がする。つまりは、素晴らしい作品だったということだ。
満足度★★★★
アンドロイド演劇の進化を見せた、90分
2040年の近未来のフランスが舞台、新アンドロイド「リプリーS1」という男らしさとやさしさを兼ね備えたアンドロイドが登場し、顔と両手を動きながらも、ザムザ役を好演したり、ほかのフランス人の俳優もフランス語がわからなくても、日本語字幕付きだったので、良かったです。ほんとうに、近未来のアンドロイドがいる世界で戦争があるのか。その前兆がみえた、90分でした。
満足度★★★
原作を知っていても多分楽しめます。/約90分
原作では虫に変態するグレゴワールが本作ではロボットに変身。
違いはそれだけで、ストーリーはほぼ原作通りなのかと思いきや、グレゴワールが変身する対象が“虫ではなくロボット”であることに重きを置いた話になっていて、原作を知っていても楽しめた。
家族の一人が人間からある日突然ロボットになるという出来事がもしも現実に起こったら、ロボットになった当人(という言い方でいいのかしらん?)は何を思い、どう振る舞うか? そして家族はロボットと化した身内を前にどう反応し、何を考え、どう行動するか? そして両者の間にどんな事態が持ち上がるか?
これをオリザさんが頭の中でシミュレートし、一番ありえそうな顛末をシナリオ化した感じ。
虫は下等だし喋れないが、ロボットは高度な思考ができるうえ人並みに口が利ける。
この違いが原作との大きな隔たりを生み、寒々しい原作にはないユーモアさえ醸し出し、それなりには面白い。
ただ、フランス人俳優による字幕付き上演は隔靴掻痒の感が否めず、また、グレゴワールを演じるロボットがあんまりアクティブではないため、動きが魅力の一つを成す演劇としての醍醐味に乏しく、評価は星の数で示した通りとさせてもらった。
それでも、世界戦争を懸念させる不穏な国際情勢など今日的な問題まで絡めてあって、脚本だけで評価するなら4つ星クラス。