モモノパノラマ 公演情報 モモノパノラマ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    新たな時間の立体感
    初日を観て、26日に再見しています。

    作り手の時間の切り出し方に新たな軸が生まれ、
    そのことで、舞台が新たな時間を描き出す力へと踏み出した
    印象を持ちました。

    ネタバレBOX

    今回の時間の切り出し方は、
    これまでの、作り手が舞台に描いたものの秀逸を受け継ぎつつ、
    先に劇団が連続公演で行った「点と・・・」にもあった、
    時間の立体的な切り出しやボリューム感、
    さらにそれらの俯瞰や感慨を
    同じ視座を観る側に与えてくれます。

    ただ、連続公演で積み重ねた時間の流れや変化からやってくるものが、
    どこか均質に刻まれた時間の積み重ねから生まれてくる
    変化であったり滅失であったり感慨であったのに対して
    今回作り手が舞台に描き出したものには、
    記憶や印象や感覚としての時間のバイアスに、
    より強くとらえられていく感じがしました。
    一つの記憶が生まれ、その記憶がその時間の中の置き場所を与えられ、
    そこに時間のベクトルと記憶が解けあるいは滅失していく感覚が加わり
    最後にそこからの更なる踏み出しまでが与えられ、
    観る側に時間の質量のようなものが残るという、
    連続公演を通して訪れたものが、
    今回は一つの舞台に、よりフレキシビリティを持って織り上げられていて。
    その進化だから織り込み伝え得るものに圧倒される。

    観終わって、作り手が自らの手にしたメソッドを研ぎ生かしつつ、
    一方でそのメソッドに留まることも縛られることもなく
    歩みをさらに進めていることを実感・・・。

    作品のタイトル通り、モモが眺めたであろう、
    その時間のその世界のありように心を捉えられ、愛おしく想い、
    でもより昇華した淡々とした想いとともに
    舞台に深く浸されていました。

    役者たちの表現も、精緻でありながら、
    従前の作品と比べても、「
    一つずつの刹那により深いニュアンスを作っているように感じられて。
    この作品の更なる歩みを見届けることができないのを
    とても残念に思いつつ、この作品からの作り手の歩みが更に楽しみにないrました。


  • リフレインだけでなく
    藤田貴大作品は「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト」「LANDSCAPE」に続いて3度目。作家の実家で飼っていたネコの死をきっかけに描かれた作品らしいということで、また私的なものがたりなのかなーと思いつつ観劇。

    ネタバレBOX

    ネコのモモが友達の家で生まれて、ワタシんちに引き取られてから、一緒に過ごした6年間の風景が舞台上で繰り広げられる。今までに見た作品に比べてリフレインは少なめ?で、ワタシ姉妹とその周りの友人たちの12歳から18歳が描かれる。
    モモがうちにやってきた1997年の事件も盛り込まれ、ちょっとだけ作家の視点が変化しているような気がしました。ちょっとだけ。
  • 満足度★★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    マームとジプシーの【モモノパノラマ】を観劇。

    今年で既に4本目の新作公演だ。
    内容は、一匹の子猫を飼い始めた姉妹が成長していく話。
    最近の尖がった作風から一転して、初期の作風に近いセンチメンタルな内容だ。
    前作のひめゆり学徒隊の悲惨な話から、また原点に戻ったのか?と思いきや、演出家の精神そのものが、前作から同じ様に続いているようで、思わず続編かと?思ってしまった。それは現代社会で少女達が生きていく中で、社会の血なまぐさい事件や友人の自殺などを背景に同じ過程を辿っている点だ。以前の様な作風だと思って観ていたので、大目玉をくらってしまうようだ。 作・演出の藤田貴大の表現方法は相変わらずだが、明らかに変わっていっているのが手に取るように分かる新作だ。
    そして今作では、野田秀樹超え?と思えるほど小道具の使い方は巧みだった。

    今作も必見である。

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