その時、人はどのようにもがくのか
ある病院にて。1年に1度、入院している父親を訪ねて子供たちが集まる。空手の師範だった父に結婚相手を紹介する長女と、その婚約者だという男。彼は恋人の父に勝負を挑むが、いとも簡単に圧倒されてしまう。
四人の兄弟姉妹に囲まれて幸せそうな父親だが、その病気の正体が明らかになるにつれて子供たちの辛い思いがクローズアップされる。
ネタバレになるので病気の正体を書くことは控えるが、家族の絆とは何かを問い掛ける作品。‥‥という紹介はありがちすぎると思うが、そういう作品だ。
子供たちは皆、父親を慕い、父親の気持ちを守ろうと思っている。しかしそこには矛盾や葛藤が避けられず、もうすぐ破綻するであろう予感を直視せざるを得ない。そんな状況で、人はどんな風にもがくのかが丁寧に描かれていた。
あのような病気が実在するのかどうか知らないが、もしあるのならやはりあの子供たちのように応じるしかないのではなかろうか。それ以外に、彼を傷つけない方法が見つからないからだ。エンディングはやや無理矢理ウェルメイドな終幕に持ち込んだような気がする。
ワンシチュエーションのためか舞台装置の安定化が高く、控えめだが的確な照明と音響もきっちり仕事をこなしていた印象。役者は特に目立つ人はいないものの、役柄をしっかり演じきれていたということだろう。
考えさせられた…
私はこの手の問題の話が好きで、本、映画等色々見ています。
深刻な問題なんですが、楽分かりやすく描かれていて、とても楽しめました。
この病気の人と接したことはないし、周りにいるとかも聞いたことないので、実際、私には想像の世界です。もし自分の身近な人がこの病気だったら…もし私自身がこの病気だったら…色んなことを考え、そして登場人物たちの気持ちを考えると、涙が出てきました。
満足度★★
いい本だなぁと
好みの問題だとは思いますが、演出が表に見えすぎる印象。それが魅力には感じることができず。頭の中で台本を起こして、作品を楽しむような状態でした。
満足度★★★★
“牛耳る”の語源に感動
特殊な病気と格闘一家。
普通に考えれば無茶苦茶な設定だけれども、何故か不思議と納得させられる。
使う言葉も変われば随分印象も変わるわけで、神戸弁による独特の人情味のようなものがとても強く出ていた。
クライマックスでは音響や色入りの照明等も入り、オリジナルと比較するとオーソドックスな印象。
照明や音響もきれいにハマっており、この戯曲の別の一面が垣間見えたような気がする。
満足度★★★
月と牛の耳
こういった公演を見るのは凄く抵抗があるんですが・・・
結局みました。
ありえないことがたくさん起きてて見てる側はポツーンとなっていました。
私にはこういったものは向いてないかもしれません。
他の方はどうだったんでしょう?
確かな力
序盤こそ少々もたつく感じはありますが、しっかりした物語を描く畑澤聖悟の本をもとに、関西版として手を入れて丁寧に磨き上げた感じ。話題は深刻だけど、楽しめる一本です。