公演情報
「ドードーが落下する」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★★
この芝居による主張とか、舞台装置を役者が動かす意味とかはわからないが、
渇いた雰囲気とでもいうものが良かった。
秋乃ゆにがここまでしかも舞台を続けるとは思ってなかった。
実演鑑賞
満足度★★★★
久しぶりに加藤拓也の創作劇、それも自分に身近な青春喪失劇である。
「無用の人」ドラマは、今までにもチェホフを発端に(もっと昔からあるだろうが)数々見てきたが,これはまがうことなき現代劇。相変わらず、うまい。
現代の無用の人は芸人社会からおちこぼれて30歳代になってしがない食堂のバイトなどをやっている夏目(平原テツ)と、それを取り巻く男女。信也(藤原季節)は友達として事ごとに夏目の面倒を見るが、歳を経て、その距離は次第に遠くなっていく。二人を中心になんとなく集まっている同世代の若者グループの、いかにも今風の3年間の物語を、現在、三年前、一年前、直前と時間設定して辿っていく。自殺するとか、警察に捕まるとか、深刻なものから、男女関係、親子実家問題、友人関係、日々の生活問題と、この世代にありがちなエピソードに加え、知的障碍者への性犯罪とかエグイ現代社会タネも交えて物語は進むが、それらを解りやすいテーマにしがたって並べてはいない。最後が、突然のように終わることも含め、作者が当日ビラで述べているように一つの時代の人間関係記として描いているだけで、評価もしていなければ、感情を伴走させてもいない。それでも面白く見てしまうのだから、この作者、やはり並大抵の才能ではないと思う。
現実の社会にはこの若者程度の総合失調症の人たちは普通に生活している。内心、自分たちは世間には見えない方がいいんじゃないか、と思いながら生きているし、周囲もそこは塩梅してきた。しかしその亀裂は時に露呈することもあるわけで、丁度安部国葬の日にこの芝居を観たのも奇縁であった。いや、そこは病を持つ人たちだけでなく現代のどこにも誰にも遍在することだろうと、観客は解らないでもない。少し引いてみれば、誰もが個人の壺に入ることを推奨しているような社会への批判劇にもなっている。
今回は、そういう無用の世界に生きる人たちをマダカスカルの絶滅した飛ばない鳥ドードーになぞらえているが、そこは作劇的には少し性急だったかと思わないでもない。
この作者の才能はよくわかっている。しかし、こういう生モノを扱っていると思わぬけがをしてあたら才能を潰すこともある。この作・演出者に「ザ・ウエルキン」を持って行ったのはさすが、シスカンパニーの見識であった。「ザ・ウエルキン」ジェンダーを問う難しい側面を持っていたが、ほとんど完璧と言っていい演出だった。それは翻訳台本だったからのびのびやれたからだろう。野田秀樹もこの年代には、よく古典や小説原作の作品に取り組んでいた。日本古典をベースに野田の桜の下のような新作を期待したい。
実演鑑賞
満足度★★★★
令和版『男女7人夏物語』、コミカライズなら根本敬御大に、主題歌はBJCの『ディズニーランドへ』。
ラストが痛快。タランティーノ製作総指揮のオムニバス映画『フォー・ルームス』風味。ブライアン・デ・パルマの『ファム・ファタール』を観た後の昂揚に近い。こりゃ酷い、最高だ!
売れない漫才コンビの片割れ、夏目(平原テツ氏)はファンの子と結婚しその実家に居候、ビストロでバイトの38歳。イベンターの信也(藤原季節氏)や他のお笑い芸人、ちょっと売れているアイドルなんかとワイワイ集まるのが憂さ晴らし。「いつか世間に見つかってやる」を合言葉に日々をやり過ごしている。そんな彼が突然失踪した3年前からの話。
夏目役が平原テツ氏だと判らずに、浜野謙太?と思って観ていた。知ってびっくり。この役を演るのはキツイ。凄い俳優。今作が代表作になるのでは。
安川まりさんが松岡茉優っぽくて可愛かった。
秋乃ゆにさんのキャラもリアル。
『ルージュの伝言』のカラオケシーンが美しい。松任谷由実の明るく躍動的なリズムとメロディーで賑やかにノリまくる面々、それとは裏腹のメランコリックな歌詞が遠く懐かしき記憶を刺激し鈍い痛みが走る。
言葉一つ足りない位で全部壊れてしまうような
か弱い絆ばかりじゃないだろう
B'z 『HOME』
友情なんて言葉では括れない、信也と夏目のギリギリの関係。「お前は俺の人生の登場人物であり、俺はお前の人生の登場人物なんだ。そう簡単にこの話を終わらせてなるものか!」涙ぐむ藤原季節氏、言語化出来ないエモーション。観ている誰もが今までに喪失した人間関係を想い起こしヒリヒリする。
唇噛み締めて自分の無力さになす術もなく泣いた悔しさ
身体半分持ってかれるような別れの痛みとその寂しさ
amazarashi『奇跡』
タイトルのドードーとは、モーリシャス島に生息していた鳥。天敵のいない楽園のような孤島で繁殖していた為、空も飛べず警戒心もない。人間の上陸によって乱獲され、83年で絶滅した。
絶滅すべき種の前で為す術もなく、それでも必死に無意味に足掻く。
間に合うかも知れない 駄目かも知れない
約束した訳じゃない 会えないかも知れない
橘いずみ『まにあうかもしれない』
実演鑑賞
満足度★★★★★
作演出の近作を3つ観たのみだが、らしい世界観である。平原テツの役柄もあってバイバイの胸苦しい芝居を思い出す(金子氏の出演もあり)。