勧進帳 公演情報 勧進帳」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★

    京都で観ました。
    伝統芸能を現代風にアレンジするとこうなるのね!と感心の舞台でした。
    後半間延びした感もありましたが、アフタートークによるとあれも原作に忠実に従った部分でもありそう。
    次回も見に行きます。

  • 満足度★★★★

    見応えのある刹那
    歌舞伎の体裁と「今」という時間の感触が
    したたかに組み合わされて
    シーンごとに見応えのある刹那が
    積み上がっていく。

    歌舞伎の感触のなかに、
    歌舞伎とは異なる
    充実がありました

    ネタバレBOX

    物語の筋立てはまごうことなき勧進帳、
    しかし、そこに現代的な表現が織り込まれていきます。
    それは歌舞伎の遊び心という範疇を超えて
    「勧進帳」という物語を表現するためのメソッドとして
    前面に押し出されている。

    義経たちをまつ、関所の富樫と郎党の雰囲気、
    歌舞伎座のパンフレットのようなものを持ち出して
    弁慶たちの姿を見つめたり・・・、
    さらには、非礼を詫び一行を供応するその表現・・・。

    見る側が時代という概念の階段を下りてなお迷う部分、
    現代の風情に織り込まれることで直感的に伝わってくるものが、
    個々のシーンの窓を開いて
    物語全体を俯瞰させる力にもなっていて。

    役者たちも歌舞伎と今風の表現を
    それぞれに織り交ぜて
    実に切れのある刹那を作り上げていました。
    それは、歌舞伎役者が演じる勧進帳に比べると、
    荒さはある。
    芯まで滑らかに強く演じきる歌舞伎役者の舞台とは違う・・・。
    しかし、その場を崩さないだけの力量が舞台に溢れ
    荒さが単純な優劣にならず、
    テイストの違いというか歯触りの違いのように感じられる。
    今を織り込まれてやってくる刹那が
    観ていて飽きないのです。

    歌舞伎の世界と今の表現の折り合いが、
    舞台のすべてを広げていくわけではなく、
    逆にそれぞれが持つ何かを打ち消し合っている部分も
    あったりはするのですが、
    それでも、観る側には
    勧進帳の魅力がとても斬新な質感で伝わってくる。

    最後の場面、よかったです。
    歌舞伎的な見せ場はなかったけれど
    義経の去りゆく姿に
    山道の風景が浮かび
    落ちゆく者の切なさがじっくりと伝わってくる。

    このメソッド、今回の洗練に加え
    さらに感覚を自由に取り込める様式として進化すれば
    さらに見る側を魅了するであろうと感じたことでした。







  • 満足度★★★

    歌舞伎の現代化
    初見。評判がよさそうだし、横浜へ出かけるついでもあったので見てきた。
    歌舞伎の勧進帳を杉原邦生が現代風に演出したもの。杉原はたしか去年、こまばアゴラ劇場でやった「キレなかった14才♥りたーんず」の参加メンバー。
    いっぽう監修の木ノ下裕一は京都を中心に活動する歌舞伎好きの演劇人。アフタートークや客入れのときにも場内にいたので初めてその姿を見たが、こちらが予想したのよりもずいぶん若い、歌舞伎オタクと呼びたくなるような演劇青年だった。
    古典の現代化といえば、東京デスロックの多田淳之介がシェイクスピア作品を演出したのが思い浮かぶ。アフタートークでの木ノ下の話によると、シェイクスピア作品でやるような現代化が、歌舞伎作品ではあまりやられていないので、そっち方面をめざしたのだという。

    STスポットにはこれまでほんの数回しか来たことがないが、スペースを縦長に使っているのを見たのはこれが初めて。中央に歌舞伎の花道を思わせる舞台があり、その両側が客席。舞台の中央に柿色の線が引いてあり、そこがいわば安宅の関。
    現代化の特徴をいくつか挙げると、まずは関所の番人である富樫と番卒2名が現代青年であったこと。また番卒を演じる二人の役者が義経側の山伏2名を兼ねていたこと。義経役は女性。弁慶役はアメリカ人。口調は基本的には歌舞伎に準じているが、勧進帳を読み上げるところでは英語を使い、ところどころで日本語の日常会話をしゃべっていた。

    アフタートークでもう一つ興味深いと思ったのは、約2ヶ月の稽古期間のうち、前半の1ヶ月は「勧進帳」のDVDを見て、歌舞伎役者のしゃべりと動きをひたすらコピーしたということ。そして後半の1ヶ月で、演出を入れてどんどんそれを崩していった。このやり方が作品全体を通して非常に効果的だったのではないかと思う。

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