ままごと 第1回公演
ままごと 第1回公演
実演鑑賞
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/03/15 (月) ~ 2010/03/28 (日) 公演終了
休演日:3月18日(木)/3月23日(火)
上演時間:
公式サイト:
http://www.mamagoto.org/swing-by.html
期間 | 2010/03/15 (月) ~ 2010/03/28 (日) |
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劇場 | こまばアゴラ劇場 |
出演 | 飯田一期、いしお、板倉チヒロ(クロムモリブデン)、折原アキラ(青年団)、菊地明香(ナイロン100℃)、島田桃依(青年団)、菅原直樹(青年団)、鈴木燦、高山玲子、能島瑞穂(青年団)、野津あおい、森谷ふみ(ニッポンの河川) |
脚本 | 柴幸男 |
演出 | 柴幸男 |
料金(1枚あたり) |
1,500円 ~ 2,800円 【発売日】2010/02/07 [全席自由/日時指定/整理番号付き] 【予約】2,500円 【当日】2,800円 【高校生以下】予約/当日 1,500円 [要学生証] ※未就学児童はご入場いただけません。 ※全席自由席の為、満席となった場合は開演後お席にご案内出来ない場合がございます。 ※高校生以下の方は、当日受付にて学生証の提示をお願い致します。 |
公式/劇場サイト | ※正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。 |
タイムテーブル | |
説明 | 電車の窓から見えるたくさんのビル。あのビルの中身はなんだろう。あのビルには何が詰まっているのだろう。そんなことをずっと考えていた。夕日がガラスに反射し、まばゆい光となる。母に手を連れられ、僕はそびえ立つビルの群れに見とれていた。 小学生の頃の、将来の夢は会社員になることだった。どうして会社員になど、なりたがったのだろう。何をする職業なのかはまったくわからないくせに、会社と、会社員に、憧れていた。サラリーマンという言葉の響きから、スーパーマンやウルトラマンを想像したのかもしれない。スーツという言葉が子供心に変身を想起させる。大人たちはスーツとネクタイでサラリーマンに変身するのだ。会社員が会社で何をやってるのかはさっぱりわからなかったけど、それが「仕事」なのだと子供心に思っていた。 デパートで靴の販売員をやっていた父親は、正確には会社員ではないのかもしれない。しかし、サラリーをもらっているわけだからやはりサラリーマンなのだろう。だとすれば、やはり会社に雇用されている人間はみな会社員なのかもしれない。 高校時代、会社員にだけはなりたくないと思っていた。サラリーマンを憎んですらいた。スーツを着ては毎日決まった時間に出かけて、決まった時間に帰ってくる。満員電車にすし詰めにされて、デスクで居眠りをし、上司に怒られ、居酒屋ではつまらない説教と自慢話を聞かされる。会社員が会社で何をしているのかは、やっぱりわからなかったけど、そんなものは仕事じゃないと思っていた。僕にはもっと、僕にふさわしい、僕にしかできない仕事があるはずだと思っていた。 そしていま、僕は会社員になった。目覚まし時計に起こされ、テレビを見ながら朝食をとる。スーツに身をつつみ、ネクタイを選ぶ。もちろん何にも変身などしない。いつもの満員電車にゆられながら、会社へとむかう。窓からビルの群れが目に入る。あのビルの中身は、人だった。僕のようなたくさんの会社員たち。その一人ひとりが重なって、骨組みとなって、ぎゅうぎゅうにつまって、あのビルは立っている。 僕はいまになってようやくわかった。会社員の仕事はまさに会社の一部になることなのだ。 会社は人間がひとりではできない仕事をする。そのためにはたくさんの人がいる。たくさんの人が、すこしずつ仕事をして、大きな仕事を成し遂げる。だから、もちろん、会社員の仕事は誰にでもできる。文字を書く。計算をする。物を運ぶ。誰にでもできる仕事の連鎖が、誰にもできない結果を導く。誰にでもできる仕事をする僕は、もちろん誰でもない。僕がいなくなっても、すぐに誰でもない誰かが僕の仕事を引き継いでくれる。 悲観しているわけではない。歴史の前には、誰もが人類という会社の会社員だ。医者も宗教家も数学者も芸術家も誰も一人で全てを変えることなどできない。ただ、次の連鎖を生む一員となる。次の者にバトンを受け渡す走者となる。それが何度も何度も繰り返し、加速し、気がつけば遥か彼方に到達する。僕はそんな会社員の一人であることを誇りに思っている。 ぼくのしょうらいのゆめは、お父さんみたいなサラリーマンになることです。 参観日、作文を朗読する僕を、母と父はどんな顔で見ていたのだろう。 そんなことを誰もいなくなったフロアで僕は考えていた。計算処理は無事に終わった。パソコンの電源を落とす。窓の向こうには、やはりビルがあった。暗闇に浮かぶビルの群れ。窓が点々と輝いている。その灯りはまだ多くの会社員が存在することを僕に教えてくれる。そのひとつひとつが、長大な時間に浮かぶ、小さな瞬きに見えた。 セキュリティを作動させた後、誰もいないオフィスを僕は見渡す。 おつかれさまでした。 そっとスイッチを押すと、ビルの灯りは静かに消えた。 |
その他注意事項 | □お問い合わせ□ ZuQnZ(ズキュンズ) TEL 090-2561-8730 MAIL zuqnz.miyanaga@gmail.com □PLACE□ こまばアゴラ劇場 〒153-0041 東京都目黒区駒場1-11-13 京王井の頭線 駒場東大前駅下車 徒歩3分 TEL 03-3467-2743 / FAX 03-3467-2984 □託児サービス□ 3月21日(日)14時の回&3月28日(日)14時の回、託児サービス有り【要予約】 料金=0~1歳児 2,000円 2歳児以上 1,000円 ※チケットのご購入とは別途、下記までお申し込みください。 ※なお、本公演は、未就学児入場不可となっております。 【ご予約・お問い合わせ】 イベント託児・マザーズ [マザーズロゴ] 0120-788-222 (土日祝日を除く10:00~12:00、13:00~17:00) |
スタッフ | □STAFF□ 舞台監督=佐藤恵 美術=青木拓也 照明=伊藤泰行 音響=星野大輔 衣裳=藤谷香子(快快) ドラマトゥルク=野村政之 演出助手=白川のぞみ(てとあし) 宣伝美術=セキコウ 制作補佐=荒川真由子 杉山沙織 野田奈々恵 渡邊由佳梨 制作=ZuQnZ with 赤羽ひろみ 製作総指揮=宮永琢生 企画制作=ままごと・ZuQnZ/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 技術協力=鈴木健介(アゴラ企画) 制作協力=林有布子(アゴラ企画) 芸術監督=平田オリザ 協力=青年団 急な坂スタジオ レトル (株)キューブ Queen-B クロムモリブデン ナイロン100℃ ニッポンの河川 |
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