幻想寓意劇 チェンチ一族 公演情報 幻想寓意劇 チェンチ一族 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    万有引力 in スズナリへ、また出掛けてしまった。非寺山作品に挑み、天井桟敷を正統に継承する舞台と評価された作品とか。狂気の演劇人アルトナン・アルトーの名に「オ?」と目が行くが、かの地の前衛の前衛たる所以はこのテキストからは判らなかった。残酷な状況が取り上げられているとは言え、人物に正当な台詞を言わせ、主張をさせている。様々な理不尽を、相手を慮って受容するという「残酷」とも言える現象に、エロティシズムさえ重ねられる日本人の精神の屈折からすれば、理が勝った西洋のそれなど単純に見えてしまうという事だろうか。

    さて冒頭から光と音、美術のアンサンブルで舞台は魅せていく。今回は特にJAシーザーの音楽の木目細やかな音使いを、初めてしかと確かめた。再演というから、楽曲も若き日のシーザー氏の迸る才気が書かせたものだろうか。それとも今回新たに書き下ろしたものか(現代的アレンジも感じたので)。単純構造の戯曲の色彩を与えていたのは美術+照明と、間断なく寄せて返す音楽だった。

    この話、前半は貴族の家庭内残酷劇、後半はチェンチ伯爵を殺した娘ベアトリスの裁判で情状酌量の余地を認めるか認めないかを延々と争っていると言ってもいい話だ。
    日本人の感覚では(に限らないかも知れないが)、認められようが認められまいが罪は罪、結果に差はないと考え、いずれの処断も受け容れるというのが「ストレスのない」覚悟であったりするが、このドラマの主人公である被虐の親殺しベアトリス・チェンチは頑として「罪はない」と主張し続ける。
    戯曲が用意する頂点は、処刑されようとする孤高のベアトリスが、「神の名の下に」彼女を裁こうとする判事や教皇の使者へ反駁をする最後の場面。現状への嘆きと、希望を裏付ける切々たる正当性の主張は、ギリシャ悲劇の詩(長台詞)を思わせる。彼女の弁は人間宣言であり、律法学者を難じて処刑されたキリストが重なる。相手が聖職だけに痛烈な皮肉となるが、この正当な批評態度は、仏では異端のそれなのだろうか? アルトーをまだよく判っていないので、考え保留。

  • 満足度★★★★

    超面白い。何となくのイメージでつまらない実験演劇(自己啓発センターじみた)への不安から、敬遠していた自分を恥じる。才気迸るデカダンス・エンターテインメント。BUCK-TICKやキュアーのファンなら嵌まる世界がそこにある。ヒロイン、ベアトリーチェ役の森ようこさんが凄い。夢でうなされるレヴェルのインパクト。中世イタリア、欲望の限りを尽くす悪魔のようなチェンチ伯爵。サディズムの権化の如く実の女房娘までも凌辱し虐め抜く。到頭、親殺しを選択せざるを得ないベアトリーチェ。後半は裁判に掛けられる彼女達の血を吐くような叫び。PUNKなメイクから肩甲骨を誇張した舞踏。J・A・シーザー氏の優れたバランス感覚によって普遍的なものになり得ている作品。舞台と客席の間にちょこんと置かれたキャベツがまたいい味。

    ネタバレBOX

    『絶望よりももっと苦痛なのは希望なのだ。仄かな希望の方が人を苦しめる』。シリアスでリアルな世界観。ただ、善悪の彼岸に立つ者の声こそ胸を打つ。前半、口に×印の描かれたメイクのベアトリーチェ。後半、それを解かれた後の顔つきたるや。
  • 満足度★★★★★

    あらすじ 16世紀のイタリアの実話(*)に基づいたお話。チェンチ伯爵が妻や子供に虐待の限りを尽くし、彼らによって殺される。裁判で彼らは最初は父親殺しを否認するが拷問によって認めてしまう。次女ベアトリーチェだけは最後まで抵抗する…。
    (*) ウィキペディアの「ベアトリーチェ・チェンチ」の項を参照のこと。

    昔の小劇場はこんなにエネルギーに満ちていたのかと驚愕する舞台です。
    過剰な演技、過剰な化粧、過剰な音響、過剰な装置の動き…とにかく過剰な演劇です。
    圧倒的なイメージの洪水に五感が麻痺してしまいます。

    舞台の前方(通路?)に何かがあってそこで何かをしているのですが後方からは全然見えません。

    ホームページには「肉体による”暴力とエロス”の饗宴!」などという惹句もありますが、それは天井桟敷の公演のもので、この舞台では何もありません。お父さんたち、そこはお間違え無く。

    しかし「スズナリ」の座席は小劇場界でも最低のレベルです。前後の間隔が狭いので一旦落ち着いたら体をほとんど動かせません。この舞台は観ているときは集中していたので苦になりませんでしたが終わったとたん一気に腰に来ました(泣)。

  • 満足度★★★★

    怖いもの見たさな気分で行きました。スズナリでは体験した事のない音響効果でゾクゾクしました。舞台美術も面白かったし舞踏(でいいのかしら?)もあって興味深かったですが、きっと重要と思われる歌詞が聞き取れなくて残念でした。歌詞は帰りの電車で読むことができましたが、開演前の会場は暗い(演出効果上仕方ないですが)ので、歌詞はもとよりせっかくの相関図も読めませんでした。

    ネタバレBOX

    あの父親は有罪になるべきだ・・・と、2、3日前の裁判の判決を思い出してしまいました。
  • 満足度★★★★

    演出が優れており、俳優たちもオーソドックスでしっかりした演技力をみせてくれる。

この公演に関するtwitter

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  1. 演劇実験室◉万有引力「演劇実験室◉万有引力 J・A・シーザー練劇開闢◉天井棧敷・万有引力在籍50周年 幻想寓意劇『チェンチ一族』」at ザ・スズナリ 早めに着いたので、劇場の裏手にある歴史的建造物「カトリック世田谷教会」をしばし散… https://t.co/3IcWTErStb

    約5年前

  2. 演劇実験室⦿万有引力『幻想寓意劇 チェンチ一族』②ショッキングな内容が、光と闇の照明を使った演出。役者達の異様な動きの舞踏、残酷さを引き出すかのようなセリフによって、作品世界に強烈にひきつけられ、舞台の上から目を離すことができない… https://t.co/JYYp1ow1iZ

    約5年前

  3. 演劇実験室⦿万有引力『幻想寓意劇 チェンチ一族』①J・A・シーサー/高田恵篤.演出。下北沢ザ・スズナリ。バーシー・ビッシュ・シェリー原作の戯曲を万有引力が舞台にした作品。子供虐待、近親相姦、親殺し、という今日的なテーマが詰まってい… https://t.co/9J2ZKOImpe

    約5年前

  4. 万有引力『チェンチ一族』観に行くじぇ★ 演劇実験室◉万有引力 第69回本公演 幻想寓意劇『チェンチ一族』

    約5年前

  5. 演劇実験室◉万有引力 幻想寓意劇『チェンチ一族』 これから観劇します!! https://t.co/hH7FZLuLS2

    約5年前

  6. 微力ながら美術協力させて頂きました演劇実験室◉万有引力「幻想寓意劇チェンチ一族」初日の幕が開き、本日2日目です。圧ッッッ倒的に格好良い。 4/5(金)-4/14(日) 下北沢スズナリ ※4/7(日)は完売御礼 https://t.co/m9jjo6AILh

    約5年前

  7. 平成最後の万有引力 幻想寓意劇「チェンチ一族」初日入ります👍🏻 スズナリ、前々回くらいの万有ぶり https://t.co/d08d6f1Lrq

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  8. 平成最後の万有引力 幻想寓意劇「チェンチ一族」初日入ります👍🏻 赤糸ぶりのスズナリ https://t.co/Gj3cZk0KBp

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  9. 今は此方、美術協力させて頂いている演劇実験室◉万有引力「幻想寓意劇チェンチ一族」を是非目撃して頂きたい所存です。先ず、見惚れる。 4/5(金)〜4/14(日) 下北沢スズナリ ※4/7(日)は完売御礼 https://t.co/m9jjo6AILh

    約5年前

  10. J・A・シーザー“演劇人生50周年”で残酷演劇「チェンチ一族」上演 ステージナタリー 演劇実験室◎万有引力「幻想寓意劇『チェンチ一族』」が、4月5日から14日まで東京のザ・スズナリで上演される。 https://t.co/s0w5r4ccBN

    約5年前

  11. 【公演間近!】演劇実験室◉万有引力「幻想寓意劇『チェンチ一族』」4月5日(金)~ @下北沢 ザ・スズナリ https://t.co/rV260mPpKa https://t.co/IEZn8LZnZN

    約5年前

  12. 【観劇三昧日本橋店・下北沢店】本日は演劇実験室◉万有引力『紙芝居原色活劇オペラ 怪人フー・マンチュー ―不死と不死身のレクイエム―』を上映中🎭https://t.co/pyMpST7GfG 次回公演は幻想寓意劇『チェンチ一族』📚… https://t.co/cUAgcR67Or

    約5年前

  13. 【演劇実験室◉万有引力◉第69回本公演 幻想寓意劇『チェンチ一族』at ザ・スズナリ (東京)】掲載! が唯一残した幻の戯曲「チェンチ一族」をもとに繰り広げられる万有引力の残酷演劇! 詳細・チラシ裏面は⇓… https://t.co/3gaqG5d9Ys #アントナン・アルトー

    約5年前

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