アラクネの恋 公演情報 アラクネの恋」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
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  • 蜘蛛の巣→ウェブ→ネット上で、安全圏内で無自覚、無節操、無責任に差別や嘘を撒き散らす人→傍観者、という繋がり?

    実際はネットでこれらの発言をする人は加担者で、傍観者よりも遥かに性質が悪いんですけどね。

  • 満足度★★★★

    見えない「神(正義)」という名の落とし穴、自分に素直に生きる難しさを突き付ける。からっぽな情景に濃密な気配と閃光。心の奥深くに語りかけるような奇妙な世界に誘われ、段々と孤独な心だけが観せられる。いつしか他人との関係は表面的になり、煩わしい事には関わらないという傍観者へ…。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    セットは、中央に小さなテーブル・椅子3脚。上手・下手に衝立風の幕が2つずつ掛け、下手側に2階段が置かれている。場面に応じて色彩ある毛糸が中央奥に放射状に張られたり、また入院ベットが運び込まれる。

    物語は老いた元高校美術教師・サクタ先生(石渡孝サン)が教え子・ヒナドリ(作・演出:杉浦久幸サン)から恨み憎まれ口を言われるところから始まる。元教師は美術部の顧問をしており、ヒナドリともう1人女子生徒・ねえさん(門岡瞳サン)(部員は2人だけ)を指導していた。ヒナドリの作は絵画コンクールで絶賛されたが、いつの間にか評価されなくなり、逆に不遜絵画のような扱いに変わる。同時に教師も教え子を庇わなくなり、悲観した教え子は自殺する。教師も含めた3人の関係は、ねえさんの教師への思慕、ヒナドリのねえさんに対する恋心という表面的には三角関係を描いているが…。

    タイトルの「アラクネ」はギリシャ神話の人物で”神”と機織で腕比べをし、果ては蜘蛛の化身に変えられた娘の名。チラシの説明にその件…傍観者たることが書かれており、本公演ではそれをテーマに据えているらしい。物語は過去の出来事を心の奥深くに閉じ込め、忘却しようとしていたが、いつの間にか想いを巡らせ真実に近づこうとしていた。

    冒頭の淡々とした描写から滲み出る喪失感と哀愁、人生における記憶の断裂と忘却を描いていたが、段々と現実とシュールな異界が共存する不可思議な空間・雰囲気に変わる。物語の”肝”は”神”であるが、物語には登場しないし正体も明かさない。
    記憶と悔悟のような会話から呼び出される現実、過去に囚われ行き惑った男、魂が彷徨する教え子・ヒナドリが世の不条理に立ち向かう。全部さらけ出すのが誠実か、記録されたものだけで判断する。そんな問い掛けを感じる。

    登場しない”神”は多数を占める意見、事柄のことであろうか。物事を決める上で多数意見等は重要であるが、一方少数の意見にも耳を傾けることの大切さ。例えば現代のインターネットの世界では瞬時に大量の情報収集が可能だが、内容は混合玉石でもある。世間という”神(風評)”に惑わされ、臆することの怖ろしさも感じる。
    脚本的には正体を明かさない”神”をどう観客にイメージさせるか、その点が弱いような気がした。演出ではアラクネに因んだカラフルな毛糸を使用するところは観せ方として面白い。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

     どの役者の演技も個性を持ちつつしっとりしていてグーだが、自分は特に先生役が気に入った。(華4つ☆)

    ネタバレBOX


    世界中で起こっている多くの欺瞞をベースにした事象に対するに当たって、絶対的な力を持つとされる“神”に支配される架空の街で起こった或る美術教師と高校のマドンナの恋、そして同じ美術部の天才高校生のマドンナへの憧れ、更に神が女として望んだ捧げものとしてのマドンナの関係が惹き起こした悲劇を通して真実とそれを暴く者、相思相愛であるが故に力関係を斟酌し卑劣な手段をとることでしか、恋人を護ることができなかった弱い人間の魂に打ち込まれた後悔という名の杭は、教え子の天才美術家の自死。それを見て否見続けて知らぬ振りを決め込む他者たちの欺瞞を告発する作品。
     惜しむらくは、主張の強さの余り、それを表現する科白がくどくなったこと。もう1枚、別次元のカムフラージュを掛けておいて、それをラストで明らかにすることで、観客を無明の闇に放り込み、考え抜かせるように仕組んだ方が更に演劇的効果は上がりそうだ。
  • 満足度★★★

    しっかりした演技、強いメッセ-ジ、内容のある劇でした。

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