前世でも来世でも君は僕のことが嫌 公演情報 前世でも来世でも君は僕のことが嫌」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    仕掛けられた爆弾で死ぬ、がピリオドの幾種かのシーンが重ねられる。フリダシに戻って「またかよ」とこぼす〈主人公〉?が振舞いを変えてみたりしても結局無駄、というオチがつくバスジャックのシーンが相対的に多いが、自分が乗っ取るバスに爆弾を仕掛ける行動には解かれるべき疑問があるのに多くを説明しない事、などから、これは様々な連想を喚起する仕掛けとしての演劇、具象のようで抽象である絵画、として観てしまった。
    テンポはよく、何かすっきり感もあるので背後関係の整合性は考えられているのだろう、位が関の山。
    死、すなわち命の扱いが演劇の中でゲーム感覚に軽くなっていくプロセスを、突き抜けた先の感覚麻痺が狙いだとすれば、その意図は買いである。
    何度も訪れる爆死をさほど嫌悪感なく受け入れられたのだったが、やはり、というか、リアリズムに軸足を置かない芝居=抽象世界は記憶に残りにくい(個人の感想だが)。抽象世界にはその世界に雄弁な方途、視覚的聴覚的な刺激の創出が、通常以上の意味を持つのではないか、などと考える。その意味で今回の舞台、言葉だけの「一人歩き」を免れた点が評価されようが、この挑戦にはもっと上があるような。。

  • 満足度★★★★★

    ①スパイラルする悪夢は夢か現か幻か❔いくつかのソレは無関係か繋がっているのか❔人生をやり直せるなら何処に戻るだろう❔戻れたら…うまいことやれるのか❔
    ガラスの向こうの世界❔割られた硝子のような美術がルーレットのようにソコへ誘う。

    続きは「ネタバレ」に。

    ネタバレBOX

    ②人生はゲームのようにリセットできない。悪意と狂気と暴力が人生に開けた風穴は、じゃくじゃくと噛み砕くぬか漬けのように味わい深いものになるはずもない。繰り返される暴力のループは恐怖が麻痺して滑稽に見えてくる。笑うしかないのか😅
    アゴラ劇場に向かう。まつもと演劇祭で観た『無風』の4番目の彼女がどんなことになっているのか楽しみでならない。
    ③千秋楽も終演したけれど言っておきたいことがたくさんある。まず最初に、これはかなりの秀作だ。それはリピートした方なら頷けるはず。初見で見えた可笑しさや恐怖もそうだが、破綻と歪みが細かく計算されている。音楽と美術の緻密さに唸る
    ④繰り返される悲劇のルーレット。それはまるでドラえもんのタイムマシンのように時を廻る時計。繰り返され、変化させることがユガミとヒズミを生み、正気が狂気に蝕まれることを、照明とBGMがスクラッチしながら教えてくれる。巧みな技だ👍
    ⑤特筆すべきはキャスティングの妙。ぶつかり合わない個性の彩り。この演者の並びが勝利🙆
    バス🚌の中田麦平さんが最高に可笑し可愛い😁確かBGMゆらゆら帝国『できない』でのフリフリ💃ダンスがツボ😁👍
    大竹直さんの失意と狂気も絶品。
    ⑥三人の女優さんも素敵。岩井由紀子さんの艶々の唇💋と絶望的なダンス💃にクラクラ。西村由花さんの溢れそうな白目と脳天を突き破る声に撃ち抜かれる。着衣の乱れた井神沙恵さんは反則😍だし、じゃくじゃく可愛いし、箸を運ぶ口元がヤバイ💘
    ⑦綾門優季さんの書く言葉は、決して言いやすい台詞ではない。なのに何故か心地いい。そして耳に残る。それは紛れもなく俳優さんのスキルの高さであり、演出家の得地弘基さんとの稽古の賜に違いない。それが世界の刺の塊となって迫ってくる。
    ⑧恐怖の瞬間がスパイラルしながら、善と悪の境界が摩耗してマーブル状に融合し、常識人が狂人と化す。世の不可解な凶悪犯罪が、こうして破綻した人格から生まれたとすれば…と考えて怖くなった。
    彼女の最後の夢がハッピーでありますように。
  • 満足度★★★

    みてきた。

  • 満足度★★★

    最終的にげんなりしました。

    ネタバレBOX

    四つの暴力がかったシーンが、それぞれ個別に何回か繰り返される話。

    何回もいたぶられりゃ、そりゃ嫌だろうと思います。

    繰り返しの回数が問題です。結局パラレルワールド物と気付いた時点で終わりました。パラレルワールド物と思わせないうちに終わらせないといけません。
  • 満足度★★★★★

    この世界は、無間地獄。


    ネタバレに長々と。

    ネタバレBOX

    暴力で殺され、悪夢で目覚める前半を観つつ、「これは無限地獄ではないか」と思った。
    終わりのない地獄の責め苦。

    その暴力の「いわれのなさ」「理不尽さ」と「連鎖」を描いているのではいか、と思ったわけだ。

    地獄に落ちて受ける責め苦には、当人にとって何らかの「罪」があり、その罪による責め苦は「罰」だ。
    しかし、この世で私(たち)が受ける「責め苦」=「暴力」(物理的な暴力とは限らない)には、「理不尽さ」がある。
    「宗教」とか「国家」とか「私怨」とか、さまざまな理由があったとしても、受ける暴力は「理不尽」である。
    「なぜ私(だけが)こんな目に」だ。

    しかし暴力を「与える側」も実は「理不尽さ」があるのではないか。
    「宗教」とか「国家」とか「私怨」とか、さまざまな理由があったとしても、暴力を振るうことには「理不尽さ」があるのではないだろうか。
    相手の息の根を止めてしまうほどの暴力に限らず。

    暴力のための暴力や、暴力の快感もあるだろう。劇中で「暴力好きではなくて」みたいな台詞があるが、好きじゃなくても「暴力に酔う」こともあるだろう。
    さらに、殺したいと思う人は、殺されたいと思う人でもあるのではないか。

    まあ、そんなことを思っていたのだが、ラスト近くになって少し印象が変わった。
    恋人と2人のシーンに戻ったときに、主人公(?)が恋人に尋ね、話をするところからだ。
    恋人の告白で明らかになる。

    そしてさらにラストシーンで、主人公(男)の悪夢は、29歳バイトの女性の悪夢であったのではないか、というシーンでそれは強まる。

    つまり、「無間地獄のループは主人公(男)だけが抱えているものではないということ」だ。
    最初の男・主人公は大学生ということで、特に背景は描かれていない。
    その男は、無間地獄のループから抜け出そうと、必死に(文字通り「必死」に)あがく。
    とにかく、どこかの局面から抜け出そうとして、人を助けたり、殺したり、とあらゆることを試してみる。

    そこから目を覚ました29歳女は、目覚めた「今、自分がいる世界」が、「悪夢の延長」=「無間地獄」であると気づいてしまったのだ。

    ありきたりな母の小言やバイトの日々、繰り返される毎日が「無間地獄」であったということ。

    彼女は悪夢の中で、母やバイト生活を他人を毒殺による排除で遠ざけようとした。バスジャックの男と同じように、自分も最後は自死するのだが。
    しかし、現実世界で彼女がとった行動は、自分だけの自殺だった。

    それは、悪夢の中の、見ず知らずの他人を巻き添えにして爆死するバスジャックや、母親やバイト先で他人を毒殺し、自分も服毒自殺する女と、何が違うのか。

    他人を巻き添えにすることは、「自分の死に意味を持たせようとする」ことなのではないか。
    「生きた証」というと、また微妙に違うのだが、そういうことではないだろうか。

    つまり、「生きた証」が欲しくないほど、彼女は絶望していたということ。
    日常の無間地獄に。

    自殺した「女」は、たぶんまた目覚めると「男・主人公」となって「1・2・3・4」のシーンを何十回も繰り返し、さらにまた女に戻って悪夢から目覚める「無間地獄」の、さらに大きなループを回るのではないだろうか。
    「閉塞感」と一言で言ってしまうことのできない「不安」が生み出す「無間地獄」。

    力の暴力よりも効いてくる。

    「無間地獄」から抜け出すのは、「何かを変えなくてはならない」のだろうが、それは「死」ではなかった。
    日常の無間地獄から抜け出すためには、「別の何か」があるのではないか。

    そのためには彼女(いや私(たち))には「何が」あるいは「誰が」必要なのだろうか、と考える。

    と、まあ、ここまでの感想は、延々誤読をしているとは思うけど……。

    前に観た『不眠普及』の感想で、「新しい才能に出会えた   ……のかもしれない。」と書いたのだが、今回もそれを感じた。台詞が面白い。
    ジエン社と通じるような感覚がある。彼らと世代が同じなのかどうかは知らないが、何が彼らをそこまで絶望させてしまうのか。わからない私は、無間地獄にいることすら気づいていないのかもしれないのだが。

    半裸の男、ファミレスの客、バスジャックを演じた中田麦平さんが、なかなかの気持ち悪さとイヤ感じが最高だった。
    ファミレスの、ウエイトレスへの気を遣いっぽい感じとか、バスジャックのノリノリの感じとか。
    29歳女などを演じた井神沙恵さんの、29歳女を演じているときの台詞回しとラストがいい。
    ハサミ女の西村由花さんの歌が怖すぎた。

    帰宅すると、さいたまで起こっていた金属バットで他人を殴り、金品を奪う強盗が逮捕された、というニュースをやっていた。
  • 満足度★★

    鑑賞日2017/12/17 (日)

    17日ソワレ(90分)を拝見。

    ネタバレBOX

    大学生の男の子が、夜の公演・異国の長距離バスの車内・大学の教室・喫茶店の4つのシーンで理不尽にも殺される夢を、順番アトランダムに、何度も何度も繰り返し見ては、目が覚め、前回までの記憶をもとに、なんとか夢の運命の輪廻を断ち切ろうとするストーリー(ただし、ラストは男の子からカノジョに主役交代?)。

    序盤は迫力と意外な展開に圧倒されて、集中して舞台を観ていたが、さすがに1時間経った辺りからは、どうせ死んでも、すぐに蘇るドラゴンボールの登場人物達のゲームでも覗いているような気分に陥り、正直、興醒めした。
    ト書きなセリフ回しとか面白いと感じる部分もあったが、夢の輪廻、90分も引き延ばすネタではなかったと思う。

    ところで、本作品は、この作・演コンビの最高傑作!とのツイートを目にした。となれば、この作・演の作品、私はもう観る必要はないようだ。

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