一葉の恋 公演情報 一葉の恋」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    千代田区内幸町1町目、今の内幸町ホールがある所が、樋口一葉の生誕の地である。
    本公演は、朗読劇「一葉の恋」、解説「一葉日記」、ひとり語り「十三夜 上・下」の三部構成で、彼女の作品を中心に生い立ち、人柄なり、その魅力を伝えるもの。

    明治27(1894)年12月から明治29(1896)年2月の間は「奇跡の14カ月」と呼ばれ、一葉の五大作品「大つごもり」「にごりえ」「十三夜」「わかれ道」「たけくらべ」ほか多くの作品を次々発表したと言われている。その作品を取り込んで描いた”一葉の恋”は改めて樋口一葉の人物像に迫っていく。
    (上演時間2時間20分 途中休憩10分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、朗読劇では すすき と切り株のような椅子。そこに枯れ葉が舞い落ちている。遠方から汽車の走る音、風の音という朗読の邪魔にならない程度の音響効果を入れる。ひとり語りは、落語の高座のような舞台。座布団に座ったり、高座に上がったり下りたり動作を加え、心情描写をする。

    第一部 朗読劇「一葉の恋」
    出演:坂本有子、松島邦(NPO日本朗読文化協会会員)
    構成・台本・演出:成瀬芳一(劇団新派)
    概要:舞台は明治25年。夏子(一葉)が小説の師と仰ぎ思慕の情を抱いていた半井桃水と疎遠になってから2年後、次々に傑作を送り出して注目され始めた夏子が、谷中・感応寺の墓原で偶然桃水と再会する。当時、師の桃水を凌ぐほど作品を発表しており、その作品「雪の日」「琴の音」「やみ夜」「たけくらべ」「大つごもり」「闇桜」「たま欅」、桃水の「胡砂吹く風」の批評をしながら、この2年間の思いを紡いで行く。昭和41年、劇団新派により新橋演舞場で上演された北條秀司作「明治の雪」から新派の演出家・成瀬芳一氏が一葉の原作を織り込み、朗読劇へ構成し直したという。

    第二部 解説「一葉日記」
    解説:澤田章子(一葉研究家)、日記朗読:坂本有子、松島邦、ギター演奏:作山貴之
    概要:その文学性で高く評価される一葉の日記は、「一葉恋愛日記」として知られるほど、複雑な恋愛感情の吐露の場であった。女心の動揺、桃水への恋心と追憶の日々など、数々の名作とともに一葉文学を代表する。
    解説は落ち着いた語り口。映像で資料や当時の写真を映写し視・聴覚で分かり易く説明する。

    第三部 ひとり語り「十三夜 上・下」
    出演:熊沢南水(朗読家)
    概要:(上)高級官吏の原田に見初められ原田家へ嫁いだお関。身分の違い、夫の暴言      や背信にも耐えていたが…。
       (下)実家からの帰路、乗った車の車夫は幼なじみ。思いがけなく出会った幼な      じみとの思いの行方は悲しい。

    父を亡くし母と妹の手間賃便りの貧しい日々の中で、暮らしを立てるために売れる小説を書こうとしている。一家の長女として貧しさと闘う一葉の姿を淡い恋や今も読み継がれる小説の世界。明治が近代化する過程で、庶民を襲う社会の理不尽さを映し出した一葉の小説、その世界を織り交ぜながら劇中音楽とともに綴った評伝劇は面白かった。

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