あるいは友をつどいて 公演情報 あるいは友をつどいて」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-15件 / 15件中
  • 個人的に選ぶ月別のランク3月の1位です。

  • 満足度★★★★★

    革命を夢見た彼らがなぜ、一般市民(つまりその人たちのために革命すべきであり、味方にするべき人々)を傷つけ、反感を買うをようになってしまったのか?作者の見解が示され、私はそれに共感した。それ故に面白いと感じ、高い点数をつけたのです。

  • 満足度★★★★

    重厚で圧倒する演技に圧し掛かられ、言葉の破片が突き刺さるようなステージ。
    物語のベースが実際の事件だけに、観客それぞれが受け取る展開に差異があるよう。
    言葉の力と演技の力を感じられる良い物語だった。

  • 満足度★★★★

    当事者、関係者、第三(傍観)者という視点がいつの間にか緊密になって行く。その視点が目まぐるしく変化させることで、物語を重層的に観せる。室内劇であるにも関わらず、当時の社会状況・情勢が浮かび上がってくる秀作。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、中央にテーブル・椅子というシンプルな作り。それにもかかわらず室内という限定空間に「時間」と「状況」が移り変わる様をしっかり見せる。一方、時として自己内面と対話し物語を深化させる。その観せ方はドキュメンタリー要素(時間経過)を取り入れつつ、全体をフィクションとして包み貫く。

    当時の日本社会に対する不満、鬱積が爆破行為という蛮行(手段)を実行させた。犯行グループの主義・主張を誇示するような行為は、多くの死傷者を出し、経済街の中心を恐怖に陥れた。使命に従った先にある「罪と罰」という大きな代償、その表現は「手記(手紙)」というシンプルな媒体で著す。

    登場人物は6人…事件が起きた時代、現在という時間軸を往還する。事件を起こした背景、その時代の閉塞的な状況の打破する場面、現代という視座から当時を俯瞰した分析、その醒めた場面が対照的。しかし現在の自分が当時の人との繋がりを知らされた時のザワザワした気持の変化。時代は常に繋がっており、そこで生きる人々も何らかの関係性があるかもしれないと覚悟させられる。外的面(社会)と内的面(人間)を絶妙な構成で描いた力作。また沈鬱した雰囲気で時代背景や追い詰められた人を表現する演出も見事。

    役者は、それぞれのキャラクターを立ち上げ、その佇まいは重厚感に溢れ、物語の雰囲気にマッチしていた。少人数だからこそ関係が緊密さを持たせ易く、話の中にグイグイと引っ張り込まれる。もちろん役者の演技力、バランスの良さがそう観せるのである。さらにプラットホームの喧騒、駅アナウンスなどの効果音、薄暗い照明による閉塞感などの照明効果も良かった。

    国際テロの脅威が世界中に広がる中で「事件を過去の遺物と考えてはならない」と。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

    研ぎ澄ますほどに離れていく生活との落差。刃は身内の正義を切り裂き、曝け出た空洞を埋めるのに待ちきれず自他の血の高揚で埋めようと行き過ぎる若さが切ない。
    対話がある、問いかけていたはずがいつの間にか問いかけられている、受話器の手を押さえる見えない力・・・敗けの積み重ねのその先で、おそらく無名の正義は高みに昇り続ける。

  • 満足度★★★

    演劇的醍醐味は有ったと思うが、エンターテインメントとしての味付けを少しでも期待した向きには物足りない作り。今後も注目していきたい劇団ではある。

  • 満足度★★★★

    鐘下辰男作品の台詞がそこにあった。ハツビロコウ第3弾は、後で調べると2004年THE・ガジラで初演の作。というと、三菱重工爆破事件(1974年)から30年。今年は何と43年後。
    限りなく犯人グループ=武装闘争に身を投じた者の側に立って論理を汲み取り、そして批判にもさらす。動機が正しければ手段は正当化される・・訳ではない厳粛な事実について言及される・・。

    聞き取り役の男(ゴーストライター)が、語られる事件の当事者の関係者だった、という展開は、第三者の視線による風通しのよさを歓迎していた観客には閉塞感が増したが、犯人グループへの批判と、問題意識への傍観者性は凝縮され、議論は熱を帯びて本質に迫る。
    正義感の向けどころを失ったまま突き進んだ彼らを「特攻精神」=日本の悪しき習性すなわち非論理的精神主義=への回帰として彼ら自身が疑問に感じていたことなども語られ、なぜその行動へ至ったか、人間ベースの理解を深めるための補助線が引かれていく。

    60年代から70年安保の山を越えた後の「政治運動」は、敗勢の焦燥からか連合赤軍事件など「暴力」が前面に出てしまい完全に世論を敵に回してしまう。
    だが、「日本が」という主語で語られる国家・社会が構造的に負っている悪・・朝鮮戦争・ベトナム戦争で兵器産業が潤い日本経済成長の原動力としたこと、それは日本がアジアを植民地化した論理(経済第一主義)の延長と言え、「あるべき関係」からの乖離であるこの実態は是正される必要があり、日本の富が他国の(人民の)犠牲や貧困の上に成り立っているならば、その恩恵に与る自己を批判し、公正さを求めて行動するか、怠って為さないかのどちらかしかない・・・。
    この問題意識。「行動」の中身は多様にあれど、行動するか・しないか の問いからは逃れられない。・・そして彼らは「行動する」事を選択したわけだが、効果が早急に、目に見えるような行動でなければならない、という縛りに彼らは必然にハマり込む。迅速な効果を狙わなければ、今も搾取される人民は苦しみ続けなければならないからである。そこで「多少の犠牲」も尊い目的のためには正当化される、という事が起きる。
    終盤、既に故人となった二人のメンバーがようやく当事者としての身体から解放され、「私は自己批判します。」と始め、簡潔に一言「当時の私達は人の命を軽視していた」と総括する。己の非を認めた発言は、全編でここだけである。
    つまり、再び「現実」に向き合った時、何を選択するのか、正解は何なのか、彼らには判らないのだろうと思う。
    そして私たちも、実は分かったようでいて、それは単に今の「常識」がそうだというだけに過ぎず、自ら出した答えでも何でもなく、結局分かっていないのだ、と思う。
    考察はつづく。・・・

  • 満足度★★★★

    本当は5点付けたいけれど、もしこれ以上の物があった時に困ってしまうので、あえて4点に。4・5が有れば、それにしたのだけれど。
    今年の暫定1位です。

  • 満足度★★★★

    独特な思想を取り扱った題材でした。テロを起こす動機、主張する正当性、また加害者の家族の災難といった考えの及ばない立場を観ることができ、興味深いものでした。

  • 満足度★★★

    鑑賞日2017/04/01 (土)

    座席1階1列

    演劇ユニット ハツビロコウ『あるいは友をつどいて』 於:SPACE 梟門

    三菱重工爆破事件を題材にした作品。鐘下作品らしい重厚な人間ドラマに圧倒されました。
    安保闘争や学生運動は私が生まれる前の出来事で、
    当時の雰囲気を知らない私には信念に向かってがむしゃらに突き進む彼らの姿はどこか異世界のお話のようでした。
    結局は何一つ変わることなく、事件の記憶も薄れ忘れられていく現実がやるせない。

    ネタバレBOX

    ゴーストライターの瀬川が実は犯行グループの主犯格の弟だった
    というのはちょっとご都合主義すぎる気がしました。
    瀬川が桐山に向ける質問に棘があるように感じていたので、その点は真相を知って腑に落ちました。

    冒頭の暗闇から始まる演出がとても良かった。
  • 満足度★★★★

    座った席位置がよかったのか、ぼそっとした呟きのような台詞が席の間近で聞こえ始めたと思ったらすぐ後ろからタイマーの音が!まるで4Dのような体験ができた。重厚なシリアス会話劇なのだが終わった後に何故か怖く感じ、鳥肌すら立つという不思議な舞台だった・・・

  • 満足度★★★★★

    忘れてはならない昭和の一頁が蘇りました。

    ネタバレBOX


    本公演は1974年に起きた三菱重工爆破事件について指名手配中のK、逮捕され死刑が確定しているDとその妻がなぜテロに走ったか、そして現在の心境について描いた作品です。
    東アジア反日武装戦線“狼”の無差別テロのひとつとして捉えられたこの事件、30年以上経過し、自分の記憶からもかなり薄れてしまっていましたが、本公演を拝見し、改めて当時の記憶が鮮明に蘇えり、再認識させられました。
    60年代後半の全共闘に象徴される学生運動は主として学生たちの国家や大学当局の権力との戦いでしたが、“狼”は先の大戦を我が国の帝国主義による侵略戦争として捉えました。学生運動の戦い方は当初はデモ行進主体でしたが、投石から火炎瓶、角材から鉄パイプとエスカレートしましたが、“狼”においては時限爆弾といういう強力な殺傷力を持ったものとなり、当事件では死者8名を産む結果となりました。本来目的は帝国主義的企業に対する警告であり、死傷者を出さない為に予告も出しましたが、犯人達の意図せざる結果となり、自責の念にかられる彼らの心理描写のしっかり出来ていたと思います。
    松本光生さんの渋い演技は相変わらず素晴らしいと思いましたが、今回は指名手配犯Dを熱演された荒川大三朗さんと彼が育てた娘さんを演じられた森郁月さんのクールビューティーな演技が特に印象的でした。
  • 満足度★★★★★

    とても緊張感がありました。衝撃的でした。

    ネタバレBOX

    反日武装戦線‘狼‘が自らの信じる正義に真摯に忠実であったこと、社会の矛盾を率直に指摘したことが強く印象に残りました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    これは凄い!
    これほど重厚な舞台は久しぶりに見た。

  • 満足度★★★★

     所謂学生運動は、1972年の沖縄闘争以降急速にその勢いを弱めていった。

    ネタバレBOX

    大衆の動員が減りセクトによってはヘゲモニー争いに明け暮れるものも出てきた。大衆との闘争に乖離を生じたセクトの多くはラディカリズムに走った。今作に登場する東アジア反日武装戦線”狼”もラディカルに傾いたグループの一つであった。彼らは、1974年8月30日、丸の内の三菱重工本社ビルに時限爆弾を仕掛け爆発させた。無論、人を殺傷することが彼らの目的だった訳ではないから事前に警告の電話を入れたが、三菱重工側は悪質な悪戯と取ったのだろう。警告の電話を切って対応を取らなかった。警告のタイミングから、爆発までの時間がかなり短かったということはあろうが、例えそれが充分であっても恐らく多くの死傷者を出したことに変わりはあるまい。日本国内での爆弾テロは、それだけ遠いものだったのだ。
    死者8名、重軽傷者376名を出したこの事件でメディアは、実行した人々を人間と看做さないという状態であった。だが、本当に彼らはデモーニッシュな何者かで人の心のかけらも無かったのだろうか? 今作で描かれる彼らは優しく、正義感が強いうえに純粋で、非差別的である。そんな彼らが何故これだけの事件を起こしたのか? が問われていると同時に彼ら自身のオトシマエの付け方や悩み、社会的弱者救済という理想の前に立ちはだかる鵺のような普通の人間の差別意識や、変更を迫る者達に対する敵愾心や敵意或いは無視! 等の状況が淡々と紡がれ、考えさせる舞台になっている。

     今、安倍のような偽物が恰も人物であるような振りをして「日本国」首相としてその地位にふんぞり返り、日本会議のメンバーを優遇して己の地位安泰を計り、追及は悉く隠蔽と詭弁、嘘で逃げ回りながら、宗主国、アメリカの意を忖度して植民地経営に当たる愚を鵺達はどう観、これだけの高支持率になっているのか? ミサイル防衛を強化するだのとアホなことばかり言っていないで、原発即時全廃を決め、廃炉作業中にミサイルを撃ち込まれないようにするのが先決だろう。核弾頭を搭載していないミサイルでも原発に命中したら、その被害は甚大なものになるのは、どんなに想像力の乏しい者が考えても当たり前のことである。F1人災の被害を矮小化し帰還を促すプロパガンダに汲々としている推進派だが、日本人の犠牲の上に何を築こうというのか? と言った現在の問題についての疑義を投げかけるだけの問題提起を今作は孕んでいるであろう。

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