満足度★★★★★
革命を夢見た彼らがなぜ、一般市民(つまりその人たちのために革命すべきであり、味方にするべき人々)を傷つけ、反感を買うをようになってしまったのか?作者の見解が示され、私はそれに共感した。それ故に面白いと感じ、高い点数をつけたのです。
満足度★★★★
重厚で圧倒する演技に圧し掛かられ、言葉の破片が突き刺さるようなステージ。
物語のベースが実際の事件だけに、観客それぞれが受け取る展開に差異があるよう。
言葉の力と演技の力を感じられる良い物語だった。
満足度★★★★
当事者、関係者、第三(傍観)者という視点がいつの間にか緊密になって行く。その視点が目まぐるしく変化させることで、物語を重層的に観せる。室内劇であるにも関わらず、当時の社会状況・情勢が浮かび上がってくる秀作。
満足度★★★★
研ぎ澄ますほどに離れていく生活との落差。刃は身内の正義を切り裂き、曝け出た空洞を埋めるのに待ちきれず自他の血の高揚で埋めようと行き過ぎる若さが切ない。
対話がある、問いかけていたはずがいつの間にか問いかけられている、受話器の手を押さえる見えない力・・・敗けの積み重ねのその先で、おそらく無名の正義は高みに昇り続ける。
満足度★★★
演劇的醍醐味は有ったと思うが、エンターテインメントとしての味付けを少しでも期待した向きには物足りない作り。今後も注目していきたい劇団ではある。
満足度★★★★
鐘下辰男作品の台詞がそこにあった。ハツビロコウ第3弾は、後で調べると2004年THE・ガジラで初演の作。というと、三菱重工爆破事件(1974年)から30年。今年は何と43年後。
限りなく犯人グループ=武装闘争に身を投じた者の側に立って論理を汲み取り、そして批判にもさらす。動機が正しければ手段は正当化される・・訳ではない厳粛な事実について言及される・・。
聞き取り役の男(ゴーストライター)が、語られる事件の当事者の関係者だった、という展開は、第三者の視線による風通しのよさを歓迎していた観客には閉塞感が増したが、犯人グループへの批判と、問題意識への傍観者性は凝縮され、議論は熱を帯びて本質に迫る。
正義感の向けどころを失ったまま突き進んだ彼らを「特攻精神」=日本の悪しき習性すなわち非論理的精神主義=への回帰として彼ら自身が疑問に感じていたことなども語られ、なぜその行動へ至ったか、人間ベースの理解を深めるための補助線が引かれていく。
60年代から70年安保の山を越えた後の「政治運動」は、敗勢の焦燥からか連合赤軍事件など「暴力」が前面に出てしまい完全に世論を敵に回してしまう。
だが、「日本が」という主語で語られる国家・社会が構造的に負っている悪・・朝鮮戦争・ベトナム戦争で兵器産業が潤い日本経済成長の原動力としたこと、それは日本がアジアを植民地化した論理(経済第一主義)の延長と言え、「あるべき関係」からの乖離であるこの実態は是正される必要があり、日本の富が他国の(人民の)犠牲や貧困の上に成り立っているならば、その恩恵に与る自己を批判し、公正さを求めて行動するか、怠って為さないかのどちらかしかない・・・。
この問題意識。「行動」の中身は多様にあれど、行動するか・しないか の問いからは逃れられない。・・そして彼らは「行動する」事を選択したわけだが、効果が早急に、目に見えるような行動でなければならない、という縛りに彼らは必然にハマり込む。迅速な効果を狙わなければ、今も搾取される人民は苦しみ続けなければならないからである。そこで「多少の犠牲」も尊い目的のためには正当化される、という事が起きる。
終盤、既に故人となった二人のメンバーがようやく当事者としての身体から解放され、「私は自己批判します。」と始め、簡潔に一言「当時の私達は人の命を軽視していた」と総括する。己の非を認めた発言は、全編でここだけである。
つまり、再び「現実」に向き合った時、何を選択するのか、正解は何なのか、彼らには判らないのだろうと思う。
そして私たちも、実は分かったようでいて、それは単に今の「常識」がそうだというだけに過ぎず、自ら出した答えでも何でもなく、結局分かっていないのだ、と思う。
考察はつづく。・・・
満足度★★★★
本当は5点付けたいけれど、もしこれ以上の物があった時に困ってしまうので、あえて4点に。4・5が有れば、それにしたのだけれど。
今年の暫定1位です。
満足度★★★★
独特な思想を取り扱った題材でした。テロを起こす動機、主張する正当性、また加害者の家族の災難といった考えの及ばない立場を観ることができ、興味深いものでした。
満足度★★★
鑑賞日2017/04/01 (土)
座席1階1列
演劇ユニット ハツビロコウ『あるいは友をつどいて』 於:SPACE 梟門
三菱重工爆破事件を題材にした作品。鐘下作品らしい重厚な人間ドラマに圧倒されました。
安保闘争や学生運動は私が生まれる前の出来事で、
当時の雰囲気を知らない私には信念に向かってがむしゃらに突き進む彼らの姿はどこか異世界のお話のようでした。
結局は何一つ変わることなく、事件の記憶も薄れ忘れられていく現実がやるせない。
満足度★★★★
座った席位置がよかったのか、ぼそっとした呟きのような台詞が席の間近で聞こえ始めたと思ったらすぐ後ろからタイマーの音が!まるで4Dのような体験ができた。重厚なシリアス会話劇なのだが終わった後に何故か怖く感じ、鳥肌すら立つという不思議な舞台だった・・・