満足度★★★★★
初演を見逃して残念に思っていたので、再演と聞いて喜んで観に行った。
レバノンでの内戦を背景に、母を亡くした男女の双子が、自らの家族のルーツを解き明かしていく物語だ。
麻実れいさんがその母として、1人の女性の10代から60代までを演じる。
カナダで暮らしていた年老いた女性。彼女は5年前のある日、突然心を閉ざし、言葉を失ったまま生きて死んだ。いや、5年の間に一度だけ、言葉を発したことがあった。その言葉の意味もあとになってからわかるのだけれど。
公証人から彼女の奇妙な遺言を聞かされた娘と息子は、反発や不本意な気持ちを抱きつつ母の言葉に従い、会ったこともない父と兄の消息を求めて母の母国を訪れる。
その国で双子は多くの人と出会い、話を聞く。双子はそれぞれに母の生涯を見出していく。そこで出会った真実。
世界はこんなにも残酷なのか。生きることはこんなにも過酷なのか。誰かを断罪して済むのなら、その方がよっぽど楽だと思えるのだけれど。
それでも。
知ることは残酷だ。しかし彼女はそれを乗り越えて、彼女自身に戻ったのだ。双子もまた真実を知り、真実を乗り越え、彼女をも乗り越えて、生きるだろう。
観終わったあと、胸の痛みとともにある種のカタルシスを感じたのは、そのためかもしれない。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/11 (土) 13:00
パンフレットを読む限りでは、役者の皆さん(再演がそもそも好きじゃないのか)、今回の再演には乗り気ではなかったみたい。それでも、オファーがあり、それに誰一人として欠けることなく出演したのは、この作品には、まだまだ演れることがあるという判断なんだろうな。
麻実れいさん毅然とした演技、娘時代の演技との乖離が素晴らしい。
岡本さんが後半出てくると(前半にも他の役で出てくるんだけれども)、舞台の重さは、とたんに軽くなると同時に陰惨さを纏い、雪崩を打つように悲劇色を濃くしていく、こういう役はうまいよなあ。那須さんも、童女のようなあどけなさを演じられる稀有な役者さんだし。
3時間強があっという間でした。
満足度★★★★★
圧倒された!時と場所が交錯する演劇ならではの作り、舞台美術もシンプルながらインパクトがあり、すごく良かった。役者も皆達者で、麻実れいは言わずもがなだが、栗田桃子の台詞がない場面での表情に引き込まれた。岡本健一はスナイパーのシーンがリチャード三世を髣髴とさせて面白かった。とにかく感動したので、ネットで戯曲を探したのだけれどまだ出版されていないのか、見つけることができなかった。残念。
大評判の2014年初演の出演者が再演でも集結。やはり涙ダーダー…。凄惨極まる戦争の背景はそのままに、スピード感、娯楽要素が増した気がする。最後はファンタジーとして受け取れた。東京公演は前売り完売。兵庫公演あり。
満足度★★★
再演の舞台ですがわたしは今回が初めてです。映画化されたものを観て戯曲作品と知り機会があれが舞台を観たかったので再演してくれたのは本当に良かった。
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/04 (土) 18:00
座席1階
再演の舞台、今日が初日。戦火が絶えない中東の現実を本質的な部分で刻み込まれる。中東の人たちに門戸を閉ざすトランプ大統領に見てもらいたい力作だ。終わった瞬間から体が震えるような感覚になる。3時間半という長さを感じさせない濃密な舞台は、小空間のシアタートラムならではか。演出も見事だった。