冥途遊山 公演情報 冥途遊山」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2017/01/09 (月)

    旅がテーマの3館同時公演。
    人が死んだらどうなるのか。
    どのような旅をしてどのような来世に生まれ変わるのか。
    そんな冥途への旅の道中を面白く暖かく描いたお話し。

    主人公のあきはコミカルで可愛らしく、とても一途で純情なキャラ。
    そんな彼女が悪人に騙されて人生のどん底に落ちて、そして死んでいく。
    とても客の心を惹きつける健気な演技をしていた。
    声が楽しそうに転がる女優さんを久しぶりに見たなという印象。

    そしてその悲しみを倍増させる善六さんの不器用な生き方。
    お嬢様(あき)の幸せを願いもがき、そして自ら地獄への道を落ちてゆく。
    その不器用な生き様がとてもかっこ良かった。

    軽辺るかさんは冥途の旅を案内する鬼に変身。
    ピンクの鬼子可愛かった。
    ロックな役が初めてで役作りにはかなり苦労されたようですが、
    とても元気で豪快でロックな鬼を作り上げてて見ていて気持ちが良かった。

    そしてステージ上での生歌。生ライブ。
    特にしっとりと歌い上げるバラードがとても心に響いた。
    あの気持ちが籠った歌声は何度見ても泣いたな。
    CD化はまだですか?w
    青鬼との恋の行方も気になりましたが、あの後どうなったのかな?

    舞台上では強い意志の力を感じる力強い目。
    しかし舞台が終わると普段のふんわりと優しい目に戻ってた。
    そんな見た目にも分かるほどの切り替えができる鬼子スイッチ。
    さすが女優さんだなぁと思った。


    他に印象に残ったのは赤池紗也加さん
    前に見た時は猫でしたが、今回は声の出し方も変えて最高級花魁を演じてた。
    全く違った役だがとても貫禄があって似合っていました。

    平松可奈子さん
    お名前は良く聞きますが初めて拝見した。
    とっても可愛らしい声で、ダジャレを連発するキャラがすっかり印象に残った。
    オヤジギャグでも憎めない可愛い猫ちゃんw


    千秋楽の日はちょうど成人の日。
    成人式には出られないと覚悟しながらも決意して臨み、
    そして素晴らしい舞台を作り上げてくれた主演の井上理香子さん。
    ともうお一人(お名前忘れたw)
    カーテンコールでは共演者からの寄せ書きを送られてのここだけの成人式。
    心温まる時間を共有させてもらいました。
    人生の貴重な時間を使って心に残る素敵な舞台を魅せてくれてありがとうございました。

  • 満足度★★★★

    片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」の新春祭り3館同時公演の1つ。
    この松飾内で行われる恒例公演は、3館の上演物語が重なり1つの物語を成している。その連動というか連携した描き方は見事である。また、正月ということもあり、時代劇(女優陣は着物姿)として華やかな雰囲気を漂わせている。

    タイトルの”冥土”から「彼岸」と「此岸」を往還するような物語であるが、”遊山”とは…その場所と期間が気になるところ。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、劇場の天井が高いことを利用し、多層通路のようなものを作る。そこが遊山の途であり、現世という次元の違いを表出している。

    梗概は、「此岸」における話…本筋に大店の娘と奉公人。その娘に言い寄る商売敵のような店の若旦那。その陥穽によって娘は吉原遊女になる。その奉公人はその仇の若旦那を…。本筋とは別にいくつかの脇話を従えて物語を振幅させる。「彼岸」では、現世の話に呼応するよう四十九日法要に向けて七日間区切りで生きてきた時の所業に応じて逝く先(天国・地獄など)を決める、そんな裁決の場面が繰り返される。
    人それぞれの生き方をしてきており、その思い(悔悟・愉悦など)が此岸の場面として描かれる。この彼岸・此岸の往還を通して人の死後、その死出の旅路がコミカルに描かれる。

    この芝居の冒頭、いや上演前から上手側に「地蔵」が立っている。何度も弄ばれる様な場面があるが、この地蔵尊こそ物語の重要なカギ(キーウーマン)となる。

    死の瞬間から次の世に生を受けるまでの期間が 四十九日といわれ,人の死後その冥福を祈る。初七日は、故人が三途の川のほとりに到着する日。故人が激流か急流か緩流かのいずれを渡るか裁きで決まる大切な 日で、緩流を渡れるように法要をする。 故人は七日ごとに冥道の裁判官によって裁判を受け、 故人の最終的な行くべき道が 定まるのがこの七七日(四十九日)ということ。 極楽に行くのか、地獄 に行くのかの分かれ目である。
    この仏教に纏わるところを、現世の行いを観せながら勧善懲悪のように描く。そのコミカルな演出と切なく悲しいラストの落差が印象的であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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