空の箱庭 公演情報 空の箱庭」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
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  • 満足度★★★★

    抒情的な...
    失恋した女性の心の彷徨を描いたような物語である。情景は目に浮かぶようであるが、その風景・景色はのっぺりとした静止画のようである。額縁の中で人物だけが動き、その感情だけが伝わるようだ。枠がない空に箱庭を作るという絵空事、そのぽっかりと穴が開いたような心内が少し切ない。
    (上演時間1時間25分)

    ネタバレBOX

    テーブルに相向かいに座る、または海を眺める、いずれにしても組み合わせの違う2人芝居に近い。
    梗概...主人公の女性・駒場(篠原彩サン)は7年間同棲をしていた「渋谷くん」(登場しない)から突然の別れを告げられ傷心、友人チャコ(三澤さきサン)に電話し、その家に住まわせてもらうことになった 。江ノ電沿線、海が見える青壁の家である。その家には保育士・池ノ上(花戸祐介サン)が住んでおり、チャコの従兄弟と言っていたが、後日、夫であることがわかる。チャコは売れっ子絵本作家、実は浮気をしており相手の男・北沢(森田陽祐サン)の子を宿した。場面は浜辺の散策で知り合った男・浜田山(武井駿サン)とのぎこちない会話。登場人物5人の淡々とした日常会話が瑞々しい。

    駒場は、別れた現実を何とか受け止めようとする、そんな時、渋谷くんが自分より若い女性と結婚することを聞く。私の7年間は何だったの?口惜しさ、苛立ちからの痛飲する姿がいじらしくも切ない。一方、池ノ上は飄々とした物腰、チャコの浮気を容認しているようだ。そのチャコは、不毛な関係をも楽しんでいる様子だ。そして浜田山は駒場の大学の後輩で在学当時から慕っていたような...。

    それぞれの関係は交錯した人間関係ではなく、あくまで2人の関係の中で揺れ動く感情を表している。肉感的というよりは精神的な気持の変化に心を重ねて観るような、そんな等身大の物語である。
    役者5人のキャラクター(感情表現のヘタな男-池ノ上、一見楽天家-チャコ、身勝手でずるい男-北沢、透明感の浜田山)はしっかり立ち上がっている。特に、花戸さんの飄々とした態度が、篠原さんの喜怒哀楽という感情を浮き上がらせ、人物描写が生き生きとしていた。

    この物語は、結婚を意識した女性が、自分の胸の内に抱え込んだ気持ちに折り合いをつけるような、そして現実に立ち向かおうとする過程が緩やかに、透明感溢れる描写で演出されているところが好い。
    絵本というファンタジックな浮揚感は、この物語のゆったりとしたテンポそのもの。そして波の音が聞こえ抒情豊か...余韻のある公演であった。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

    うまい!
    芝居はとても丁寧な作りで、繊細な群像劇を大いに堪能できました。原作は未読なのですが、リスペクトが感じられますね。

  • 満足度★★★

    人の心の中
    飾らずに自分に正直に生きる人たちの、絶妙に演じられた心の変化が興味深く感じました。

    ネタバレBOX

    人が苦しみや悲しみと向き合い、または、逃げ、そして乗り越えていくのか、心の中のもやもやが透き通るように感じ取れる気がしました。一瞬のしぐさや心のうちの気持ちが微妙に変化するのが、いじらしく感じました。ただ、席が狭すぎて観ていて集中力が時々切れたのが残念でした。

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