「月見ドロボー物語」 公演情報 「月見ドロボー物語」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    Aチームを拝見
     舞台美術はしっかり作り込んであってグー。

    ネタバレBOX

    然し噛むシーンがちょっと多かったのは残念であり、シナリオに徹底性がないのが、作品の弱点になっている。余り芝居を観なれない人々にとっては、結構楽しい作品なのだろう。だが、シナリオに徹底性が無いということはドラマツルギーの強度が低いことと同義であり、実際、何をテーマとしたいのかがよく分からない。殆ど総てが中途半端なまま終わってしまう。それが狙いで過程こそ大切だということを主張したいのであれば、そのことを痛烈に批判する結果主義と対置させるなり作中どこかで鋭い批評性を持つ科白を入れなければならない。他にも方法は無論ある。結果主義の総てが空しいことを徹底的に観客に分からせれば良いのだから。何れにせよ、こういった演劇的深みは弱いと感じた。今作中のプロットで唯一完結したと取れるのは、結婚詐偽師と彼女の息子の霊が去って行く件だけである。子役にいい役を振るのは良いが、子供の可愛らしさに大人が頼ってしまうのはズルかろう。そんなことすら感じさせる舞台であった。
  • 満足度★★★

    収束できたのだろうか【Aチーム】
    和菓子店「遠月堂」を中心にしたドタバタ騒動物語。主人公は人物というよりは、店そのもののようだ。この店の家族、従業員、近所の人、そして店を訪れた人々の勘違い、思い違いの連鎖が面白おかしく描かれる。
    劇団暴創族の謳い文句...2016年「秋」公演 ドタバタゴーストシチュエーションコメディ‼、その物語は収束できたのだろうか。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    当日パンフに主宰・大坪雅俊氏が「『お月見泥棒』とは実際に日本に存在する風習のひとつで 月の使いとされる子供たちが近所の家々を回り お菓子やお月見のお供え物を貰い歩く」と書いている。そのファンタジックな雰囲気は感じられつつも、やはり騒動という娯楽重視の観せ方だと思う。その物語に引き込む舞台セットは、上手側に店の家族(遠野家)宅、中央奥は向かいの美容院・沼部、客席側は遠月堂店内(和菓子ケース、テーブル・椅子、暖簾など)で、和風の雰囲気をしっかり漂わす。

    梗概...今日は亡き妻の七回忌前日。二人姉妹のうち、長女は引篭もりでインターネットによるマンガ配信。この長女に霊能力(オカルト研究家)がある来訪者。一方妹は東京で仕事をしている。帰省する妹を自称婚約者が追いかけてくる。周囲は、この婚約者の相手(姉妹)の取り違え・勘違いなどてんやわんやの騒動が起きる。他方、和菓子店「遠月堂」 は大手百貨店が主催する和菓子展への出展を目指し忙しい。さらに妻が亡霊として現れ、霊能力者とシンクロし、異次元(幽霊・子役)の世界まで出現させて...。これがお月見泥棒というタイトルの掛け合わせのようだ。

    登場人物の中で、この錯綜した騒動を説明できる人がいるのだろうか。
    たしかに現実においても全ての状況を掴んでいることは稀で、ほとんどは自分の見聞きした範囲、または自分勝手な思い込みによる辻褄合わせで判断していることが多いかもしれない。

    しかし、これは芝居...観客として騒動の一部始終を知っている以上、この騒動をどう収束していくのか、という過程が楽しみになる。本公演では、散らかった騒動(誤解など)を回収しきれず、月に持って行ったようだ。その余韻とも思えないラストが少し残念である。

    次回公演を楽しみにしております。

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