ミラー 公演情報 ミラー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 満足度★★★★

    テキスト無し。演劇とは何?
    何も無いところから作り上げた舞台。驚愕すべきは、その豊かさ、芸術性、そして依拠すべきテキストを奪われた分滲み出る俳優自身の魅力。
    言うならばワークショップ発表の類とも言えるこの舞台、パレスチナから来日したイエスシアターの演出、俳優二名の1ヶ月の滞在期間中に、ひねり出し搾り出し練り上げ作られたそれは、穿ってみれば純粋演劇と名づけてみたくなる代物。「まがい物」等では全くない。
    日常との地続きに演劇はある。

  • 満足度★★★★★

    いきなり脱臼 花5つ星 必見
     素の勝負!

    ネタバレBOX

     開演前の舞台上には、中央に最も大きい扇のような形のオブジェが立てられ、このオブジェを中心に、脇侍のように左右双方に二回りほど小型で同形のオブジェが置かれている。オブジェには、鏡に反射する虹のような照明が当てられ、実際鏡と見紛う。正面奥には独立した映像が格子状に映写されており、大写しになった個々人の顔が見える。その口からは、日常生活の鬱憤や自己主張が語られ、物語の始まる前に多くの日本人が常日頃生活の中で感じていることが抽出されているのだが、幕が上がるといきなり脱臼する。皆、彼を待っているのだ。彼とは、今幕が開き、始まっている演劇の主人公である。主人なしに幕が開いて準備した演目が演じられるハズはない。そこで続行するか否か侃々諤々の議論が始まり、一旦は公演中止との判断が下されるのだが、この混乱と不如意こそ、イスラエルの占領によって日々パレスチナ人が強要されている日常的不如意なのであり、不条理なのである。観客は、実際舞台が中止に追い込まれるかも知れないと感じさせられる演技に、上記のような解釈と同時に、役者たちと同じような混乱と自問自答“これで終わってしまったら!? というような状況を体験する。この後にも様々な形で各々の日常が、各々が作り出す寸劇やパフォーマンスを構成し展開する即興のような形で構成されている。無論、即興のように見せていることには、巧みな構成がある。日本の諸問題を扱うことが、現在、日本人より遥かに過酷な条件下にあるパレスチナ人の苦悩を、日本人にも分かり易く、またありのままの形として現出させることに繋がっている。上演中なので更なるネタバレはここでは控えるが、素で勝負した舞台、必見である。

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