贖い 公演情報 贖い」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★

    ピンとこないとこもあるが、演技はよかったかな。

  • 満足度★★★★

    新国立劇場研修所修了生の力量は。
    見覚えのある二人。研修生公演を見始めたのは4,5年前か・・・洋物芝居でとっつきにくく、「無理してる」印象が否めなかった中、初めて顔のよく見えた「親の顔が見たい」(第8期)以来、俳優に親近感を覚えるようになった。その「親の顔」(何とあれは試演会)で中心的な役割だった坂川慶成、そして第9期の高橋美帆による二人芝居だ。(チラシデザインは8期で俳優としても目立っていた荒巻まりの)
     この新国立男女のまだ若き二人による芝居は、「淋しげな背中」の溶暗から、食い食いの激しい台詞の応酬に始まり、徐々に徐々に、「ある事(人)」をめぐる真相を浮かび上がらせて行く、ミステリー仕立ての会話劇。
    互いによく知る間柄だから成り立つ、相手の数手先を読む台詞、話題の飛び具合が「ミステリー」的である事を可能にしているが、「後出し」に過ぎる感が否めない部分もある。
    話を迂回させつつ、観客が真相を知るまでの時間を先延ばしにする工夫はうまいが、現われた(はずの)真相である「全体像」は意外でもなく、持って回って説明されるようなことでもなく・・・という印象だ。
    まだ二十代前半の二人、とは後で判ったが、とてもそうは見えない貫禄は修練の賜物と言えるかも、であるが、中盤から若さが露呈し、芝居のテンションを維持するのが精一杯、それでもよくやっている、のだろうけれど、役のあり方、演技として的確かどうかとなると厳しい。
     男性の方は(性格・立ち位置として奔放である事が自然なキャラという事もあって?)「出方」にバリエーションがあって弛ませないが、女性のアプローチはせいぜい3つ位、それを使い回すのが精一杯に見えた。感情的になる。がそれを鎮めて、敢えて言葉を相手に投げる義務を負っていることへの倦み=ため息混じりの台詞、と来る。西欧だから「言葉」はどうしたって省略できないので、あの(洋物によくある)息混じりの喋りが出てしまってもある必然は無くはないのだろうけれど、「人物」になりきれていない、ゆえの「目くらまし」演技、意表をつく出方、これを二人ともやっている。終盤はこればかりに思えて仕方なかった。
    問題は二人がどういう関係なのか・・・最初、夫婦に見え、その共通の親しい人の名が出て、彼が死んだ事がだんだんと判る。息子?と思いながら見ていると、それにしては一方が淡白すぎ、中盤も中盤に来てやっとそれが、男の「兄」だとわかる。そして女は彼と結婚していた女性だった。
     兄は音楽家で、単なる偶然によって、衝動的な殺人の犠牲者となる。加害者は所謂マイノリティ、異国人であり、男はそうした者たちへの(恵まれた白人としての)負い目を抱いており、その事は起こるべくして起こったと理解していることがわかる。貧困の子供たちへの支援活動もしている。そんな彼を女は受け入れがたいが、理解は示す。が、男のその行動、選択は自分の全てへの恨みに発していて、実は「正義」ゆえの行動ではなく己の負の要素に負の刻印を押すための行動に過ぎない(かなり意訳すればそんな具合)、と断じる。女は女で、結婚生活に敗れて5年前に出て行った事の負い目を持ちながらも、いつか帰る場所だと考えていたのに、訃報を聞いて帰ってみれば自分にまつわる何もかもが消えてしまっている(夫の生活から削り取られていた)事に愕然とした事を弟に伝える。行き詰まった彼女は戻ってくることを考えていた、という。
     さて、「問題にしている人間」を作者が中盤まで伏せた理由は、恐らく、出会っている二人が兄の(元?)妻と義理の弟である設定から、考えつくのは道ならぬ恋。だから伏せに伏せて、その間に「彼」との関係から派生する様々な「問題」のほうを話題にし、掘り下げさせた。
    でもって、最終的に、二人は女がそこを去る前、電撃が走るような感覚に任せて肌を重ね、求め合ったことが語られる。女はそれで去ったのだと判る。男はその事実に触れまいとしてストイックな話題に固執していたらしい推測に導かれる。「兄」の死は9・11についてのある解釈と同様、ある恒常的な不正を放置し見ぬふりを続けてきたことのツケなのだ、と解釈し得る問題からすれば、そのような高邁な「正論」をいかに語ろうが、情欲の前に人間はひれ伏すしかない、脆弱さというものに繋がるのだろうか。。 
     いずれにしても、このオチが付け足しでなく、作者の最初の狙いなのだとしたら、芝居の作りは随分違ったものにせねばならなくなるのでは。
     冒頭から激しく続けられたやり取りは、全て、二人の間の精神的障壁を取り除くための、前戯であった、のに違いない。そうして「変わりえない世界」の片隅で、叶わなかった愛の代償であり今や不要となった「正論」を手放し、その手で「自由となった」女を抱き締め、現実に埋没して行く・・。そんなのが正解かナ・・などと想像した。
     芝居を離れるが、3年という期間を演劇修練に費やした修了生が、演劇界で活躍して行くことは喜ばしい。官製の演劇教育、などと揶揄する向きがあったりするのかどうか知らないが、私は応援したい。

  • 満足度★★★★

    如何にも
    翻訳劇風

    ネタバレBOX

    夫ジェイコムの死を知らされ、5年振りに帰ってきたイーディが、連絡をくれたサムと対話することによって様々な関係性を観客に知らしめてくれる二人芝居。

    サムと浮気して、イーディの気持ちはサムに傾いたものの、ジェイコムのイーディに対する気持ちは強く、またサムは兄貴分的存在であるジェイコムに気兼ねする面もあって、いたたまれなくなったイーディは出奔。ジェイコムを殺した16歳の少年ケビン・ミラーは、サムが保護観察処分と判断して刑務所送りにしなかったことで近所に住み続け今回の犯行に及んだものです。サムは保護観察の判断は正直賭けのようなものだと吐露していますが、著名な音楽家であるジェイコムに危害を加えることを期待していたのかもしれません。著作権等の遺産はイーディが相続。愛故か打算か、サムとイーディは再び関係を持ちそうです。

    しゃべり方とか、翻訳劇だとどうしてもこうなってしまうのか、あるいはことさら翻訳劇風に演じているのか分かりませんが、如何にも翻訳劇風でした。
  • 満足度★★★

    二人芝居/約95分
    翻訳劇。笑い無し。会話が高速、かつ文学性過剰。
    幾重もの壁に阻まれ最初は取っつきづらかったけど、作劇の上手さ、少しずつ謎を明かしてゆく巧みなストーリーテリングにより、途中からは前のめりで興味深く観られました。
    ただし、作者は話を少々複雑にしすぎてはいないか?
    私には、ある要素が余分に感じられた。

    演技については、登場する男女の年齢設定がいくつなのか知らないが、芝居がやや青すぎる印象。
    年齢的にも技術的にも、もっと成熟した俳優が演じるべきでは?

    ネタバレBOX

    余計に思えたのは、登場する若い男女が不倫関係だったと判る最後のくだり。
    これがあることで劇性は高まったのかもしれないが、不倫要素が劇を濁して、罪、格差といった大事なモチーフが見えづらくなってしまった。
    そもそも、この不倫要素、劇全体と噛み合っていない。
    無理やり継ぎ合わそうと悪戦苦闘しているのが脚本から窺えたが、嵌まらないものを嵌めようと踏ん張っても無駄。

このページのQRコードです。

拡大