棘/スキューバ 公演情報 棘/スキューバ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★

    「棘」70分/「スキューバ」20分
    後者は短編のコンペで賞を取った三人芝居、軽快な場面処理が湿っぽい「家族・感動モノ」をサラリ、ふんわりとレノアに仕上げていた(自分は好みでなかったが・・)。
     前者が公演の本編に当たる、二人芝居。最期を迎えようとする老女(男が演じるので女性だとは後半で気づく)が、うら寂しげな声と共に薄暗がりの中に浮かび上り、向こうに対面しているらしい傷ついた「坊や」を呼び抱き寄せ、孤独の淋しさを隠し立てせず吐露するのを端緒に、女の告白が始まる。初めての男、その次の男・・・人生の節目での異性との出会いはいずれも「痛い」結末で、その折々の女の赤裸々な姿が、変顔をモノとしない女優の全力の演技(怪演)でかたどられていく。
    男女二人は、性別を障害とせず絶えず役割を替え、現在と過去を往復する。告白された人生の時間、それをこれから歩もうとする「坊や」は今、その一歩(異性との遭遇)を踏み出そうとする・・そんなラストだったか。
    薄靄に浮かび上る様が、荒涼たる被災地の亡霊のように見え、泣く「坊や」は親を亡くした子ども・・・熊本から来た劇団という前知識は、観る目に作用した。だが、被災しようがしまいが、描かれているような痛い人生は存在する。
    敢えて震災に関連づける意図は作者にはなく、メーターを振り切りそうな女優の演技は逆に感傷を退けているようでもあった。

    ネタバレBOX

    「泣く」場面がリフレインされる。初めての男性=若い教師に「恋ごっこ」の相手をされた挙句捨てられた時、子ども泣きに泣く。その結論は受けいれられない・・という一つの表現が、あの子供のように喚き散らす泣きで、滑稽さを帯びて場面が重くなるのを回避しているものの、二作目「スキューバ」でも同じ泣き方で(今度は子供役として)喚くところがあり、同じ公演の「別の場面」で見るにはややきついものがあった。
     「泣く」という行為は多様に底意を持ち得るもので、状況の説明としては不正確で曖昧、である割には「我欲」そのものは強烈に見えてしまう。困ったと訴える人を助けたいと人は思う。また、そう反応してしまうからこそ、逆に面倒に思い遠ざけようともする。
     悲しみは「欲」との兼ね合いで生じるのであり、その主観は「状況」とは別に存在する。女が男に捨てられた状況が、彼女にとってどういう性質の、どの程度の苦しみをもたらしたか、について女優は豪快に表現していたが、二作目で同様の泣きを見た時、その悲しみの程度は一作目に比べてどの程度か・・それは殆ど見えない。なぜなら本人がその「欲」をどの程度持つかで「悲しみ」の程度は違って来るのであり、自分がどの程度それにこだわるかも、自分でコントロールできる面がある。拒まれれば益々欲求が高まるという事もある。
     ・・・つまり、「泣く」時間は、「見えない主観」につき合わされる時間だ。
     まあ今回の作品には、大きなモンダイではなかったが・・。

     唐突に結論。傾きそうな「ウェルメイド」路線は思いとどまり、魂の叫びを叫ばせてほしい。
  • 満足度★★★★★

    素敵な作品たち
    作風は違えどどちらも人生が核となる作品。
    2人&3人芝居で表現される緻密さ、安心感、バランス、そして観客側を包み込むパワーが絶大な2作品。
    名古屋、仙台とツアーが続きますが沢山の方に観て欲しい。

  • 満足度★★★

    ネタばれなし
    こんな面白い芝居を作る劇作家と女優が九州にいたなんて......。
    この劇団の女優、えりゃ凄いな!

  • 満足度★★★★

    約100分
    演劇の原始態ともいうべき、子供たちの“ごっこ遊び”を観ている気分に。
    一人何役も演るところも、演者同士が時に応じて役を取り替えるところも、時間軸にとらわれずに話が進むところも、ファンタジー色が強いところも、まさに“ごっこ遊び”。
    ただし、子供たちのやる即興的ファンタジー劇とは違い、当公演にはちゃんとした台本があり、練り込まれた演出に基づく演劇的洗練があり、そして何より、すこぶる芸達者な看板女優がいて、その豊かすぎる表現力で可笑しみや悲しみをこれでもかとブースト。
    お陰でとても面白く鑑賞。
    『棘』は、私にはちょっと難解だったが、それでも楽しめたのは、芸の域に達している彼女の演技の支えがあったがゆえ。それがなければ、『棘』は、鼻持ちならないアート芝居に堕していたかもしれない。
    こんなことを書くのは余計なプレッシャーをかけてるみたいでアレですが、運と人にさえ恵まれれば、この女優は熊本を飛び越え、いずれ全国区の存在になるでしょう。

    ネタバレBOX

    『棘』には、難解な長ゼリフが高速で繰り出されるくだりが。
    しかもそのセリフは時間を置いて反復され、二度目には退屈のあまり寝落ちしそうに。
    全体的には満足だったが、あの長ゼリフは見直せないものか?
    それから、お婆さんの出てくるくだりを作品の中でどう位置づければいいのか、私にはよく分かりませんでした。
    ヒロインは50年で人生を閉じようとしている女性。ならば、推定年齢70歳以上のあの婆さんは何者なのか? じつは、婆さんの相手役の人がヒロインだったとか??
  • 満足度★★★★

    おんなじです
    女性の一生物二本立て。

    ネタバレBOX

    『棘』  普通の女性の、高校時代から50代で癌で死ぬまでを描いた話。(約75分)

    内容は単調、そこらへんの子供に向かって自己啓発なんて言葉を使うかいなって思いました。女性の属性として大して美人ではないと理解していたので、高校の先輩が彼女と付き合った理由が虚栄心というのも意味が分かりませんでした。女性の泣き方とか、泣くときのしゃくりあげ方とか、とても上手いのですが、私上手いでしょう的なちょっとやり過ぎ感がありました。女性本人が浮気していたなんていう設定は、突拍子もないことを突然挿入したら面白いのではないかと思って挿入したとしか思えませんでした。

    『スキューバ』   海が好きだった女性とその家族、子供を描いた話(20分)

    子供への読み聞かせ本が、「イルカになりたかった少女」から「イルカになった少女」に、一世代進むところが素晴らしく、20分の短編で戦う演劇祭で賞を取ったというだけのことはありました。

    ただ、二本続けて見ると、どちらも同じ傾向の作品で、創造力の限界を感じてしまいました。アフタートークの永井愛さんもそこのところへの厳しいツッコミはありませんでした。皆さん同じ悩みで苦しんでいるのでしょう。
  • 満足度★★★

    森岡光さんがいい
    北九州芸術劇場「劇×トツ」で出会った熊本の劇団が東京初上陸。柴幸男さんも推薦する短編「スキューバ」が特に面白く、最後は落涙。森岡光さんの観客に向かって来てくれる演技が好き。

  • 満足度★★★★★

    -
    2本立てで、それぞれに人生が描かれていて、その描き具合が心にしみこんでくる。森岡光の好演技はお見事。

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