水いらずの星 公演情報 水いらずの星」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★

    約70分
    必死で浮世(憂き世)を生きる、この上なく形而下的な中年男女が、話が進むにつれ、形而上的で聖性を帯びた存在に思えてくる、不思議な味わいの二人芝居。
    上演するにあたり、松田正隆のカオスな戯曲をそのように方向づけ、演出してのけた水沼健の才気が光る。
    怪しくてワケありな男女を迫真の演技で生々しく演じてのけた両俳優も天晴れ。
    しかし九州弁って、温かみと同時に、不気味さをも立ち上げる独特な言語だなぁ~。。。
    そのように思わせてしまうのも、あるいは演出家の力量か?
    話の展開が途方もなさすぎて、途中から感覚的についていけなくなってしまったのが少し悔やまれるけど、内田淳子さんは綺麗で色っぽかったし、いい観劇体験ができました。

    ネタバレBOX

    バラけた夫婦が旧交を温める人情話かと思いきや、物語は思わぬ方向へ展開。日常から非日常への飛距離にたまげた!
  • 満足度★★★★

    水いらずの星
    面白い。70分。

    ネタバレBOX

    四国の瀬戸大橋?近くのボロ屋。何年も前に別れた夫婦。男がガンで死ぬことがわかり女の働く店を訪れ、再会する。女は、あの男とともに暮らしていたが、あの男の叔父と肉体関係を持たされ身篭り、叔父の妻から農薬を盛られ、大便とともに出産し、追ってきたあの男を殺し、今なお、店のママからドラッグと客取りを強要され、精神的にも参っている。そんな男女は、スプーン曲げしたり会話したりして、一夜を過ごす…。

    夫婦の話のような男女の話のような、重苦しくって地に足着いていながら、どこか浮遊感のある作品。病的な雰囲気を湛えつつ、ラスト、世界が水に浸かったエベレスト山頂にて、目玉だけになった女とそれをスプーンで持つ男という構図に、どこか透明感を感じさせる。
    多分、あんまり楽しいことがなかった(楽しいこと以上に辛いことばっかだった)二人の悲しみを水で蓋して、浄化するような、そんないい二人芝居だった。
  • 満足度★★★★

    底辺
    はっちゃけ振りには満足しました。

    ネタバレBOX

    末期癌と知り、男と出て行った元妻に会いたく佐世保から坂出まで訪ねてきた男と女の話。

    松田正隆氏の2000年の作品。『月の岬』での下手にはけた人物が上手からまた出て来るような不気味さ、不可思議さで表現するような手法は好きでしたが、もう既に幽霊じゃなかとなどと直接的な言葉で男の生気の無さを表現したところは、畳に陰毛をまき散らすような幽霊がいるわけないじゃないかと思い、異次元感をことさら強調する手法には若干飽きました。

    しかし、スナックで売春している女の落ちぶれ方や造船所をクビになり生きがいを失くした男の様子から一転、ラストシーンにおいて女から水が溢れ、地球が水没し、鬼太郎の父が海の底にいるような展開には異次元感が出ていてはっちゃけ振りに満足しました。

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