満足度★★★
籠り唄
あっ今まさにあの本のあの場面、あの台詞にピタリではないか!と刹那に閃く、そういう'本のない図書館'。知識や情報やスピードとは無縁、でも何か抱え込んでいるらしい人たちのたゆたうような時の流れが収められた本、それが紙媒体とともに喪われていくイメージを喚起する。表層的でぎくしゃくとした受け答えの根っこに絡まる事情や感情を、経験と想像を'当て嵌めて'思い描いてみる。愉しいと思える作品ではない、でも退屈な毎日をただ書き流しているような、そういう本もたまには繰ってみようかという気になった。