スパルタクスの乱開発 公演情報 スパルタクスの乱開発」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★

    もしかしたら平和な時代に
    史実を元にした歴史ファンタジーエンタメ。

    ネタバレBOX

    ローマ帝国の時代、コロッセオで行われていた剣闘について
    皇帝の妹の「血なまぐさいのは飽きた」の鶴の一声で、
    剣闘を魅力的で面白い見世物にするべく、試行錯誤をしていく。

    まず殺陣のレベルが高いなと思った。
    小劇場だとエンタメ系の芝居にある殺陣は
    ピンからキリまであるけれど、
    これはよく出来ていて見応えがあった。
    劇団員の丹羽さんの技術と身体能力の高さもあるだろうが
    剣闘がしっかりと見せられるものになっていた。

    あうるすぽっとは客席部分が広々とした印象で、
    大きい劇場でもあるので、
    小劇場の劇団は特に演出は苦心するなと。
    やはりどうしても広さを活かしきって
    世界観を浸透させるのは難しいか。

    終盤、アリアンが隠していた自身の過去を呼び戻し、
    敵討ちをしてしまうクライマックスから
    ラストの間があっという間過ぎて唐突だったなという印象。
    エピローグをするにしてはもの足りないところがあった。

    剣闘という文化に疑問を投げかけて面白くしようと試行錯誤する過程は、
    現代の文化、とりわけ演劇をどう面白くするかにも通じるように思えた。

    劇中における試行錯誤の過程はそのまま芝居を作っているようにも映った。

    異なる要素を入れる(アイドル、歌、芝居)、
    観客のニーズに応えるべきのか、
    観客を引き込む新しい何かを作るのか。

    皇帝の妹を遠ざけて以後、コロッセオが増えて
    それぞれ客の趣向やニーズによって専門化、分化したのは
    芸能・芸術の現状を暗喩しているかのよう。
    客の欲求は満たせても異なるニーズ(≒文化)の人たちが
    互いに交わる機会がなくなってしまったというのは皮肉だろうか。

    平和な時代の娯楽は
    現実の変化(戦争が再び近づくこと)によって
    その意味を失ってしまうのか。

    結局面白さを追求していくとリアルの方が余程面白い。
    娯楽はできるだけリアルに近づいていくしかないのか。
    本来はリアルを豊かにするものだったのではないか。
    そんな問いかけがあったようにも思えた。
  • 満足度★★★★

    安心して見られる殺陣が心地よいです
    無理に時間を作って観に行ったので、わたし自身のコンディションがいまひとつだったことを踏まえつつ・・・
    全体に少し散漫な気がしました。会場、特に客席の空間が大きかったからかもしれません。席がかなり後方だったこともあると思います。小さな劇場に慣れてしまっているせいか、声の圧力があまり感じられなかったのがちょっと物足りなかったです。その中で奴隷役の加藤さんはちょうどいい響きだったように思います。
    殺陣はさすが!小劇場劇団の殺陣はハラハラしながら見ることが多いのですが、この劇団さんの殺陣はわくわくして見られます。

    ネタバレBOX

    特に、二度行われる「ブリタニア戦」の殺陣、二度同じものを見るからわかる良さがあると思いました。繰り返されるからわかる悲劇、残酷。二度目は動きよりも気持ちを追って見てしまいます。
    変わり種の殺陣二種類も楽しみました!歌の方は、自分がコロッセオにいたら確実に踊っています(笑)ケルベロスも面白かったし、何度も死ぬ鈴木さんが美味しくハマっていました。

    珍しく?脚本がまだ完成していない印象でした。前半のボリュームが大きすぎ、後半の、クライマックスになりうるシーンがさっと駆け抜けてしまった感じ・・・
    しかし設定やその回収の仕方はさすがだと思います。「書ける脚本家」さんは実は貴重なので、ホームグラウンドでの披露がなくなってしまうのは残念です。
  • 満足度★★★

    神は誰にも見えない。
    ツイッターで解散するという記事をみかけて見に行った。
    初見の劇団。

    アクションはかなりの練習を要しただろうが
    正直言って誰にも華がない。

    それが解散のせいなのかどうなのかはしれないが。

    ネタバレBOX


    脚本には破たんがないが登場人物の多さに比べて
    どれもそれが印象に残った場面がない。

    戦闘シーンや殺陣はよくできていて目を奪われるが
    それ以外に華がないのだ。

    どうして誰にも華がないのだろうか。

    たとえ演技が下手だったとしても
    何か見に来た人に伝わるものがあるはずなのだ。
    客演が多く、それほどやりたくもないのかもしれないが
    目を奪われる熱量をもった役者が誰もいないのが惜しい。

    答えはそのまま劇中にあった。
    「本当にしたいことがある人だけが神の姿を見ることができる」。

    このなかには、本当にこれがやりたい人がいないのだろう。

    疲れ果てての結論なのかもしれないが、
    劇団をけん引する華のある役者がいなかったのが
    敗因ともいえるだろう。いつもアクションがあるのだとしたら
    殺陣のアクションに頼りすぎていたとしか。

    神はだれにも見えないままだった。

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