第14回公演 『闇細工ふく子ちゃん』  第15回公演 『おまぬけくんと、おかしこちゃん』 公演情報 第14回公演 『闇細工ふく子ちゃん』 第15回公演 『おまぬけくんと、おかしこちゃん』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★

    日常が漫才ネタに…【おまぬけくんと、おかしこちゃん】
    芝居は、素舞台の中で完全に役者の演技力だけで観(魅)せる”力”が求められる。そして2作品同時上演企画第3弾ということで、劇団員は両作品に出演している。

    その内容は、日常の「夫婦」「親子」に見られる”笑いネタ”を芝居として仕込み、それを更に漫才のようにして見せる。それゆえ前説から本編まで、全てを通して漫才のようであり、その意味でセットなどは不要なのかもしれない。そしてテンポが実に気持ちよく飽きさせない。

    ネタバレBOX

    夫婦(永沢家)の関係を見ると、夫・善夫(おかざき雄一サン)は失業中のぐうたらタイプ、一方、妻・勝美(やんえみサン)は物事をはっきり言うタイプ、そのチグハグ感がボケ・ツッコミをイメージする。この夫婦を見ていると、映画「釣りバカ日誌」を思い出す。主人公のハマちゃんこと浜崎伝助がプロポーズ...「僕はみち子さんを幸せにする自信はないけど、僕が幸せになる自信はあります」と。その自己中心的でありながら憎めないキャラクターとしっかり者の奥さんの姿が重なる。そして夫は、一攫千金を目指して夫婦で漫才大会に挑戦したいと言い出す。

    子供は男・新(浅山敬介サン)と女・理帆子(小島菜奈子サン)の2人...小学生の頃はまだ両親を慕い、作文にもその様子が出ている。しかし高校生ともなれば、ずいぶんと距離ができ疎ましくさえ思い、その関係性は希薄になっている。
    また女の子は、映画「きみはいい子」のようであった。自己を曝け出すことが出来ず、”いい子”という殻に閉じ篭って生きている。その不自由さをしっかり描く。その印象付けは見事。

    さて、いつまでも居ると思っていた夫であり父親は、病に侵され亡くなる。その時になって、その存在のありがたさ、温もりを改めて知ることになる。
    夫婦漫才は夢で叶うことになる...その相方がいない妻が健気に”笑い”を取ろうとする姿は、逆に涙を誘う。それまでには、子供たちやその友達を巻き込みドタバタするが、全ては「漫才」という演目に込められた思いのようであった。

    小劇場にして素舞台、そのシンプルな空間はごまかしがきかない。しっかり物語が流れるためには役者の存在が輝くことであろう。役柄のデフォルメした感情が覆いかぶさるように迫ってくる魅力。ただし、その経験値(初舞台者もいた)によって差が観て取れたのは残念であった。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★

    闇細工福子ちゃんを観劇しました。
    とっても面白かったです。
    最後までたっぷりと楽しめました。

    脚本は、わりとオーソドックスな舞台喜劇ですが、
    演出が意外とエキセントリックで、
    ほぼ素舞台の中、多めの出演者を駆使して
    これでもか、これでもか、とパワーで押されました。

    ただどうしても気になってしまったことが一つだけ。


    以下、ネタバレBOXへ。

    ネタバレBOX

    小さい頃からスカートめくりもされない福子が、
    大人になって整形をして人生を謳歌できると思いきや、
    何度整形してもなかなか気に入った顔にならなくなって……。

    という内容の中で、
    整形後含めた「福子」を全部で5人の女優が演じる。
    彼女らのキャラクターがそれぞれ個性的で、
    最後までその魅力に引っ張られました。


    この先は、かなりネタバレしますので、ご注意ください。


    結局全員が「キチガイ」か?
    というような結論に行きそうになった時は正直萎えましたが(それはないだろうと思う。そうなると「なんでもアリ」になってしまうために、ここまで素舞台で積み上げたリアルなディテールが瓦解してしまう)、
    「実は好きだからスカートめくりしなかった」というオチは、オーソドックスで、安心できました。
    そこに「何度でもスカートをめくってやる!」というおバカな展開が絡み、笑えるけど、スカートをめくられる「もう一回」が、まるで子供のようで、愛情を感じました。可愛かったです。


    私がどうしても気になってしまったのは、
    この福子を演じる一人の女優さんの所作です。

    私自身が舞台の制作側にもある立場なので、
    多少窮屈なことを言って恐縮ですが、
    劇場は大事に扱って欲しいと思いました。
    壁を蹴ったり、物を力いっぱい投げつけることは表現ではないし、
    演技でもないと思います、小劇場では。
    それが見ていてとても気になってしまった。
    もちろん、ゲネ等で劇場側とは折り合いがついているのだとは思うのですが、それでも本番で力んだら思わぬ事故を起こしかねない気がしました。
    そうなると小劇場を拠点としている人たち全員の連帯責任にもなりかねないのでは?と考えてしまいました。
    作品や劇団を批判する気持ちは全くありません。
    ただ、このようなことを感じる観客もいる、ということだけを
    こちらに記しておきます。

    ですので、最後まで楽しく観劇できたのですが、
    こちらの分を一つ引かせていただき、☆3つとさせていただきました。

このページのQRコードです。

拡大