満足度★★★★★
前作の
「数」についての短編集とは違って、どういう訳かひとつの立派な物語。(勿論、前作も素敵な仕上がりだけど。)5つの背景がオムニバスとして物語を構成している。
九(板橋康平)が愛する、望まぬ過去を消してくれる洗濯機を軸に展開していくのだが、ストレートに笑えるのは一美(榊木並)、千尋(佐瀬恭代)、二葉(森島縁)の3人の会話。一美の迷走行動に、千尋の自虐的返し、二葉のシャープな突っ込み。
見事な連携だった。
またダークな雰囲気の八木(高野アツシオ)も、ゲスな七海(関幸治)も味わい深かった。
百合(染谷敬子)のセレブ感もいい感じ。
それにしても、この脚本を書いた春陽漁介という人は才能ある人だと思う。
次回作も期待している。
内容に関係ないかもしれないけど、あえて「四」は外しているの?
満足度★★★★
洗濯機と火と水
「洗」についてのお話らしく、洗濯機とその内部(前半は、ちゃぷ台に見たてている)をメインの舞台美術に、オリジナルの音楽にのせて「洗」に関する芝居かシリアスに進行していく姿はよかったし、終盤の水を使った演出がすぱらしかったです。
満足度★★★★
アゴラ劇場フル活用
短編集と言いながら、実質的には長編作品。
「洗」にまつわるエピソードを盛り込みすぎて、とりとめがないなぁ、と途中までは思ってたけど、とっちらかったその感じが“頭がクラクラするような刺激的な混沌”へと昇華していく中盤以降は魅せてくれる。
この混沌を生み出すのに大きく寄与しているのが、こまばアゴラの劇場力。禁則で縛りすぎない寛容さと、この小屋の機能性の高さ無くして、五感すべてを刺激するようなあの演出は不可能だったし、その演出に支えられたあの混沌は十全には表現不能だったに違いない。