満足度★★★★
官能とは想像である
「ここがわからないと物語の流れが分からない」部分がすべて外されたジェンガのような作品。観終わっても、フラストレーションが解消されずにもやもやが残る。でも、実社会でも、どう考えても不倫しているけど証拠だけがないとか、付き合っていたことをおくびにも出さずある日突然社内結婚して周囲の度肝を抜くカップルとか、なぜかものすごい嗅覚を持っていてみんなの秘密を全部知ってる地味系女子がいたりする。それくらい、人間のエロティックな部分は謎に満ちていて、明かされない。だから、この物語のあらすじが全部わからないのは、ある意味で当たり前なのだ。官能は想像すること。もっと知りたいと思うこと。わからなくてじれったいと思うこと。それこそが、喜安浩平のつくりたかった世界なのではないか。そう考えると、この『スケベの話〜オトナのおもちゃ編〜』は、きわめていやらしい遊び心に満ちた、タイトルどおりの作品だったように思う。
しかし節度を感じたのは女優陣の品の良さである。色っぽさを全面に押し出す場合、いやらしさが鼻について興ざめすることがあるのだけれど、そうならないギリギリの、まさに果物のいちばんおいしい部分だけを並べたような、ため息が出るほど美しく制御された演技だった。
舞台はいつの時代か、どこの国かもわからない軍隊の上層部の話。軍の中での駆け引きは、忍び寄ってくる戦争のため……? そんな時でも愛欲を捨てられない人間のどうしようもなさ。ナンセンスなコメディに見せかけて、実は人間の業の深い深いところに、タッチしようとした作品ではないだろうか。
満足度★★★
卑猥で不毛な遊戯に耽る、オトナの不幸
劇場入り口側と奥の2方向から舞台を挟む対面式客席で、舞台はとある豪華なお屋敷の中庭。敷き詰められた緑の芝が目を引きます。アクティングエリアが小さく見えて、閉じられた世界の遊戯を覗き見するような気分になれました。
セリフは明晰に発語されるし、演技の方向も明快なので、会話の内容は理解できます。ただ、起こる事象には裏があり、それが隅々まで明らかになることがありません。パンフレットにも書かれていたように「曖昧であること」をテーマにした作劇方法だったようです。出来事の真相にあたる部分を敢えてそぎ落とし、謎を抱えたまま物事が進む群像劇でした。
登場するのは軍人とその妻や家族、そして使用人などで、服装や態度で上下関係がはっきり示されます。タイトルで一目瞭然ですが、私の予想を上回る卑猥さで、そこまで露骨に性的な描写をする意図は何なんだろう…と考えたりもしました。でも、散りばめられ、明かされない謎たちのおかげで、好色を指すスケベ(助平)なこと以外の、色んな可能性を考える時間にもなりました。
出演者は17人と多い目で、そのうち客演は4人です。ほとんど劇団員で構成された座組みですが、演技の質感や作り出される空気に一貫性は感じませんでした。たとえば、敢えて空けた間(ま)なのか、ミスで時間が経ったのかが判別できないなど、私にとってはバラバラと言っていい印象でした。有料パンフレットによると、脚本中心にして統制を取るよりも、俳優それぞれの体のあり方を重視されたとのこと。集約より拡散を狙ったのかもしれません。
サルマン中佐(喜安浩平)の白髪の母親サーシャ役の永井幸子さんは、ドキっとするような際どいセリフを、とぼけた演技でスコーンと真っ直ぐ伝えてくださるのが痛快。声も小気味よく響きました。
シェパード少佐役の西山宏幸さんはさすがに歌がお上手で、耳に嬉しい歌声を聴かせてくださいました。
喜安浩平さんが長いセリフを一人で静かに語る場面があり、堂々としている割に内容が支離滅裂で可笑しかったです。喜安さんはどんな空気を作ろうとしているのかが、体と声からはっきり伝わる演技をされるので、存在感も大きいです。作・演出を担当されているせいもあるかもしれません。他の俳優との差が気になりました。
満足度★★★
艶笑ドラマ
直接的な表現をせず、あくまでいやらしい妄想をかき立てる会話や言葉を駆使して<スケベな話>を展開させるという、大人の趣向に満ちた戯曲/セリフ術が職人的で好きでした。その<微妙さ>を表現する役者陣の力量も高いと感じましたし、チャーミング。特に、出演場面できっちり笑いを取った永井幸子さんが印象に残りました。そういった曖昧さを愛でるシャレた作品だけに、上演時間が長く、冗長に感じました。
満足度★★★
面白い?面白くない??
いくつもの点がやがて線に繋がる……のではなく、終始「点線」のような仕上がり。
今回は『曖昧』が狙いだったそうで、それならこちらも星3という曖昧な評価で対抗するしかないでしょう。。
満足度★★★
大人の演劇
上質というか、少しシュールな世界観が堪能できて面白かった。描きすぎず想像させる部分もそうだが、なによりセリフの精度が素晴らしかった。
満足度★★★
長かった。。
何度か拝見している劇団だったが、今回のは合わなくて残念。
エロの部分どうこうでなく、単純に単調で長く厳しかった。
もっとメリハリがあれば良かったのではと感じた。
永井さんが出ているシーンはほっこりして好きだった。
満足度★★★★★
楽しみ方は人それぞれ
タイトル通りオトナのおもちゃが登場します。女優さんがとにかく美しくて色っぽく、ドキドキしました。ちりばめられた可笑しみに大いに笑わせてもらい、あっという間の2時間ちょいでした。でもそれらに惑わされていると、何も分かりません。大切なことは直接は何も語られません。観劇中はすごく楽しかったのでテンション高くご機嫌で帰りましたが、あとから色々なことに気づいて、ぞっとしました。曖昧に隠された、グロテスクな世界。でもそれでも可笑しくて愛しい人たち。ブルらしいと思いました。わたしは大好きです。
客席が2ブロックに分かれていて、舞台上で起こっているすら1度では全て見ることができません。誰かが結末を押し付けてくれるわけではない。タネ明かしもない。人生と同じで、楽しみ方は自由なのかなと思いました。
満足度★★★★★
好きなエロさ加減
スズナリでの舞台の使い方はもちろん、直接的なエロじゃなく遠回しのエロさ加減がよかった。
あと、ブル特有の?怖さ加減もたまらなくここちよかった。
明日までやっているのでまだの方はぜひスズナリへ!
満足度★★
、、、
好き嫌いがハッキリと別れる団体のようではまる人ははまる団体らしいのです。演劇好きを自称するなら1度は足を運んでみては?
因みに自分は二度といかないとは言わないが、よほど暇で懐が暖かくないといかないと思います。
満足度★★★
分かりにくいのが残念。
エロチックな台詞も多く、大人のおもちゃも出てきたりしましたが、ストーリーがいまいちわかりにくかった。
役者さんのお芝居はうまいのに、話の流れに大きな展開もなく、何をしたかったのかなぁ?って、思ってしまいました。
満足度★★
長い・・・・
微妙・・・結局何だったのかよく分からなかった。これならもう少し短めの時間でやって欲しい、途中で飽きてしまった。
女優さん達は色っぽくて良かったと思う。
満足度★★★
うぅーーーん・・・・。
“軍人たちと、人妻とメイドと女学生と愛人と、そのあたりの関係をただ弄んでやろうというつもり”、改めて説明文読んで“そうか・・・”という感じ。スイッチに振り回され、そこからいろんなことが変わってくる。確かに大人の会話劇ではありましたが、まどろっこしいというか、時間の流れがゆるいというか、微妙な作品。出演者のレーベルはかなり高いと見ましたが、話としての面白さは鈍かった。
満足度★★★★
笑えた
このシリーズ、大好きなんですよねぇ。
今回も直接的なネタから、間接的なネタまで楽しめました。
そして、タイトルの「大人のおもちゃ」も、色々な考え方ができます。
そういう事も考えながら見ると、より楽しめます。
面白かったです。