満足度★★★★
慮るあまりに、Miscommunication
Simon & GarfunkelのThe Sound of Silenceが静かに流れる冒頭。小さな町に住む姉妹と、彼女たちに関わる男性2名の群像劇。適切な言葉にできないもどかしさ。言葉にできないからこその誠実さ。4名の互いの思いが、それぞれの音を持って、相手に伝わろうとするが、Harmoniseしていない。その結果はどうあれ、沈黙の音(時間)は絶えず流れ、過ぎ去った音(時間)はもう再生することはできない。
満潮となって川をさかのぼる、じわじわと寄せては返す水音。4人はそれぞれに何者かに身を預け、流され、沈んでゆく。
ただひとつ、この姉妹の描写について、もう少し深堀が欲しかった。実際の姉妹には、もっと複雑な心象(嫉妬や羨望、葛藤など)が必ず有るはず。
しかし、昨年、若手演出家コンクール2014で最優秀賞を受賞した実力派の劇団とあって、手抜きのない繊細な脚本と演出に魅了させられたことは事実。
10周年記念公演となる次作「果実」に大いに期待したい。