満足度★★★★
旗は翻るか?
ユニットとは言え、劇団的結束をアピール。プロデュース公演と劇団の違い、なんてのは古いテーマかも知れないが、ふとその事を考えた。
劇団は「継続」が前提になっており、「次にご期待」と言える。それはある面では「言い訳」にもなるが「継続」を約したのだから覚悟の表明でもある。また一つの公演を、劇団という文脈上に位置づける事が正当化される。
プロデュースは、それ一発で評価を受ける。だから最大公約数的な舞台になりやすい・・とは必ずしも言えないと思うが(舞台を観ての感想)、しかし俳優の選定、劇場選びには確実に影響しそうだ。
アラフィフ、と自称する面白い陣容のユニットVAICE★(ヴァイスあかぼし)は今後も第二弾三弾と、揚げた旗ははためかせて欲しいし、もしそうあるなら、今回の舞台も良かったと思う。
今作は、これ一本で(他の文脈を借りず)成立するかと言えば、私は微妙だと思った、というのが上のように書いた理由だが、とは言っても、それなりのレベルを達成し、面白い舞台ではあった。
劇の中盤から浮かび上る「不在の人物」の、現われ方が面白い。映像でしか見ない白川和子という女優による母役が、この人物(息子)を手引きする。「ソファ」ゆえに、人物らはこの場所に集い、劇を展開するが、その吸引力をソファに持たせるのは少し無理がある。母の思い一つが皆をそこに引き留めている訳だが、同じ時・同じ場所に集うのは「話合い」のためで、話合う議題としての「ソファ」が弱い。ただ、ソファは単に媒体であって、ドラマの本体はその媒体を通して露見して行く真実のほうにあり、この本体に観客の関心を引きつけられれば「弱点」は問題にならない、のかも知れない。
見終えた全体の感想としては、俳優は難しい人物形象をよくやってたが、戯曲が要求する地点にはあと一歩と思える部分も正直あった。が、戯曲が説明していない部分をよく埋めた、という方を評価すべきなのかも知れない。
「付け足し」のような場面が、ラスト、長い暗転後にある。暗転前の投げかけに対する、ドラマの作り手の答えが、その場面だ、という事になっているが、そこに突如、それまで登場しない、またパンフにも乗らない男優と女優1名が何の説明もなく登場する。そしてよく意味の判らない作業(置き式の暖炉を移動しようとして、また元に戻す)を、男衆がやって終演となる。
この閉じ繰りが、それまでのドラマの穴を全て埋めるためのやや強引な「仄めかし」術になっていると感じるが、なぜか後味が悪くない。体を使っているからだろうか・・。最後は汗かいて号令かけて、締めくくる。「劇団」らしいと言えばらしい。
満足度★★★
ソファを巡る話
出演者の幾人か劇団HOBOと被っているが、掛け持ちというか使い分けて公演していくのだろう。今回見る限り、違いはよくわからなったが。
VAICE旗揚げ公演、小松哲也さんの劇作は初めて見るため、今回の作品と小松台東での作風は別物と思えば良いんだろうな。
観客の姿勢で視界が遮られる座席からの観劇だったので、視点が丸かぶりになる場面が多く、ソファに座ったやり取りでは誰が誰を見て喋っているのか、あまり判別できず無念。笑いを狙った「ピンク」発言場面では、肝心の衣装が照明の加減で色識別がわかりづらかった。最後の衣装はさすがにわかりましたが。
満足度★★★
奇妙な契約
奇妙な契約によって豪邸で共同生活をしていた人たちが契約終了となり、7人が再度集められた。謎めいた設定と訳アリの様子にその後の期待が高まったのだが・・・・・
満足度★★★★
まさに膿
日本の劇作ではあまり見かけないパターンの展開で少々違和感を覚えるものの、そこは経験豊かな役者陣の芝居で充分に楽しめた。小林さんのキレ方、本間さんのおどおどした時の表情、高橋さんの愁いをおびた表情、白川さんの貫禄ぶり、などが印象的。
満足度★★★★
思い出のソファー!
小林さやかさんのイメージとギャップのある台詞には正直驚きましたが、
”まじめな喜劇”として面白かったです。
役者陣の演技はとても良いのですが、この問題解決方法がいろいろとしかも簡単にあるということが観劇中に頭に浮かんでしまい、話合う問題としてはいささか単純すぎるように思いました。
また、大家は息子の死を見据えた契約をしたのかというのも疑問です。
満足度★★★★
「若者の等身大」に飽きた向きに是非
さながら、滋味のある素材を生かしつつ、ちょっとだけ手を加えた北海道料理みたいな作品でした。
暗転の音楽がぴりっと効いて気に入りました。
やっぱ小劇場最高!と思って家路につきました。
満足度★★★★
人の心の奥底にあるもの
生きている人間の現在、その人間誰しもが心の奥底に抱えている欺瞞や傲慢さといったものが次第に露呈してゆく様が緻密に描かれ、緩急のバランスがうまくとれていた作品だったと思います。
上演時間約100分。