TWO 公演情報 TWO」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    若者らしい、
     ストレートで真摯なシナリオの内容と、荒削りながら、一所懸命な演技に爽やかさを覚える。
    (追記2015.6.30)

    ネタバレBOX

    主人公トオルは、中高とアメリカに留学していた。姉のカズエも一緒である。実家が地方で医院を経営している位だから、姉弟同時留学に大きな困難が伴った訳ではないが、これは万止む終えざる留学であった。
     というのも、トオルには、特殊な能力があったからだ。彼の父は、良心的な医師で急患との連絡があれば、真夜中の2時、3時であろうと往診に出掛け、人間相手の病院にペットが持ち込まれても嫌な顔を見せずに診察していた。日ごろの無理が祟ったか、トオルが小学校高学年の時に、深夜の往診から帰ると玄関で脳梗塞を起こして倒れてしまった。直ぐに家族が救急車の手配をし、長男らが奥へ父を運んだ。そこへ物音に目覚めたトオルが来て、父の頭に右手を当てると、トオルは、手が焼けるような感覚を持ち、父は、何事もなかったかのように意識を取り戻した。その後、トオル12歳の時、友人が連れていた犬が、信号待ちをしていた友人の手を離れて自動車に撥ねられてしまった。血だらけの犬にトオルが手を触れると、犬は何事も無かったかのように元気になって尾を振った。
     瞬く間にこの話は口づてに広まり、トオルの所へは、医者から見放された難病患者が押し寄せた。終には新聞に迄載ってしまったが為に、留学をして身を隠したのである。ところで、こうしなければならなかった本当の理由は、トオルの手にあった。治癒を齎す奇跡を行う毎に、彼の右手は麻痺の範囲を広げてゆくのであった。姉がアメリカへ同道したのも、トオルにこの力を使わせないよう監視する為だったのだ。
     父の訃報にトオル達は帰国した。だが、父の死には間に合わず、そのまま父は亡くなった。長男は、成績抜群だったため、名門医学部を卒業、医師になっている。トオルは力を用いない、という父との約束を父の死後守らなくなっていた。そして奇跡を起こす度に引っ越しを余儀なくされていたのだ。
     偶々、新たに引っ越しをする際、マンションの隣部屋に住むマリと知りあう。マリには弟があって、トオルに英語を無料で教えて貰っていたが、心臓に疾患があった。一方、12年前トオルの事を記事にした新聞記者が彼をしつこく追いかけ回していた。彼に友人のプロボクサーの拳を治して貰いたいと思ってのことだった。トオルは、自己を犠牲にしても他人を助けることが自らの使命と思い定め、心臓疾患を患った息子を持つ母の願いを入れて弟を救い、友人の念を慮ってボクサーを救おうと決意するが、兄姉が黙っていない。自分の体がどうなっても良いのか? 父の死に間に合わなかった無念を忘れたか? 兄姉がどんな気持ちで弟を見守ってきたか考えてみろ、と説得する。然し、トオルは決意を曲げなかった。心臓疾患を癒し、ボクサーも助けようとするが、事情を知ったボクサーは治療を辞退した。兄は早速手をうった。隣室の誰にも告げずにトオルを引っ越しさせたのである。だが、その刹那トオルに想いを寄せていたマリは、二人が初めて会った場所でトオルを発見、彼について行くことを決意する。
     若者らしい、ストレートで真摯なシナリオの内容と、荒削りながら、一所懸命な演技に爽やかさを覚える。

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