海辺のカフカ 公演情報 海辺のカフカ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    こんなの初めて
    斬新な演出でした。

    ネタバレBOX

    15歳の少年の自分探しの旅に猟奇事件が絡み、性的少数派と着ぐるみが登場する話。

    温室のような、水槽のようなユニットを多くの黒子が大移動させ、組み合わせることで場面展開が行われました。こんなの初めて、一つひとつのユニットは一つの生態系、あるいは他から遮断、防御されているようでした。森などは水中庭園のような雰囲気でした。

    着ぐるみは、着ぐるみ役ではなく猫の役でしたが、スタイルのいい女性が着るとスタイルのいい猫になるものですね。

    何があったとしても父親が死んだんだから早く帰れよと思いつつ、周りもそうしろよと思いつつ、良く分からないうちに少年は家に帰ることを決め、自分探しの旅は終わりました。

    永遠の33歳である浅見光彦の今を描いたテレビドラマを見て、戦争との関係から本当に33歳かよと思うのと同じような違和感を覚えました。
  • 満足度★★★★

    アクリルケースが醸し出す村上春樹
    村上春樹の名作を蜷川幸雄演出で舞台化した「海辺のカフカ」。ワールドツアーの凱旋で、蜷川さんの地元で公演中だ。

    村上春樹の世界観をどう目の前に現出させるのか。ハルキストでなくても、ここが最大の注目点。蜷川さんはほかの舞台でも時々使う、アクリル板の透明な箱を使って、少年カフカの旅、高松の私立図書館、猫殺し、ホシノ君などを同時多発的に描いて見せた。

    この物語のポイントとなる図書館の佐伯さんを演じたのは宮沢りえ。カフカに抜擢された古畑新之が若干頼りないところをカバーして、女神のような存在で舞台に君臨した。図書館の司書・大島を演じた藤木直人もなかなかのできばえだ。力強くあり、繊細でもあり、色気すら醸し出す難しい役を堂々とこなしているのは見事だった。

    原作を読んでいて観る人と読まずにいきなり観る人では、物語の理解度に相当差が出たのではないかと危惧する。でも、そんなことは関係ないのかもしれない。この舞台のおもしろさは、物語の理解度ではなく、村上ワールドを彩るメタファーを、そのまま感じ取ればよいのだから。

    ネタバレBOX

    「海辺のカフカ」を読んだことのない人は、柿沢勇人がカフカの前に時々現れて話す役が何なのか、とても分からないだろう。
    重要な狂言回しのような「カラス」を、それでも柿沢君は見事にやりきったと思う。

    この一例のように、やはり、この舞台は「読んでから楽しむ」とよいのではないか。

    ナカタさんが言う「ジョニー・ウオーカーが自分の中に入ってきた」というせりふに、星野が「まさに酒が入って来ちゃったわけか」と言うギャグは、イギリスなどでは大受けだったそうだが、さいたまではシーンとしてました。舞台を楽しんでやろう、という姿勢の違いなんだろうか。

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