Ascension 公演情報 Ascension」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    すんごく知能を使います!
    こ・これは・・・考えてた以上にレベルが高いです!(マジびつくり!)

    第6回公演でしょ?素晴らしい!知能をフルに回転しながら観る芝居でした。

    えっと・・・どんな風に説明したら解ってもらえるかなぁ?
    今回ほど説明し辛い芝居はないですね。
    その位入り組んで綿密に練り上げた知能指数130レベルの芝居でした。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    主人公の妻を亡くした男(しゅん)は妻への想いを断ち切れずもがきながら生きている日々。そこに今風のきゃんギャルゆかが押しかけお手伝いとして住み込んでしまいます。

    そのゆかを兄の元に行くように仕向けたのが弟のエイジ。
    実はこのエイジが今回のストーリーの鍵を握っています。


    エイジは兄嫁のみづきを密かに想い焦がれていました。みずきを自分のものにしたかったが出来ない状況から、みずきのクローンを手に入れようと道端で拾ったゆかに、みずきの自意識のサンプルを移植させます。

    ところがいくら自意識のサンプルを移植させてもきゃんギャルのゆかが清楚なみずきになるはずもなく、エイジは落胆しますが、それなら、亡くなったみずきの変わりに・・・と、ゆかを兄の元に行かせ住まわせます。そうする事によって、よりみずきに近づくのではないかとエイジは考えました。


    一方、しゅんはみずきを失った辛さから妄想の世界に入り込んでしまいます。そこは三次元世界です。この世界には三次元空間の自由度と尺度が存在し、タイムマシンのように過去と未来を行き来できます。

    この空間の住人が登場し、独特の哲学を披露し、「大事なのは命ではなく概念だ。身体は滅びるけれど概念は滅びない。」とのたまいます。

    妄想の中では、しゅんはみずきと自由に生きられる事から、現世に帰ってこようとしません。そのままだと、三次元から四次元、五次元へとステージはアップし続け、ずっと帰って来られなくなってしまいます。

    エイジや友人が心配し連れ戻そうとしますが、みずきのクローンであるゆかしか、この三次元の世界に入ることは出来ません。ただし、一度入り込んだら二度と現世には戻って来られません。

    それでも、ゆかはしゅんを取り戻す為に自分が犠牲になって助けます。


    「なぜ、そこまで・・・」

    「ずっと孤独で寂しかった。寂しかったから誰かに愛されたかった。」という言葉を残してゆかは三次元世界に入ります。


    空間の住人は言います。「人の心とはもろいな。こんなに簡単に崩れるとは・・。」


    やがて無事にしゅんは戻って来ます。今までの事がなかったかのように最初の場面に戻るのです。

    素晴らしい!非常に素晴らしい!です。伏線が繋がる巧妙さ。登場人物のそれぞれの役割。

    舞台は一つの部屋から始まりますが、このセットの見せ方も巧みなら、演出も巧みなので、空間の世界に誘われ、世界がぐぐぐーーーんと広がって空想の世界に持っていかれます。

    そうして最後の場面、ゆかが犠牲になる辺りから、ドバーッ(┬┬_┬┬)滝のような涙
    そうして空間の住人が死ぬシーン。(TωT)


    想いが叶えられなかったエイジ。
    愛する人に先立たれたしゅん。
    誰からも愛されなかったゆか。

    そうして・・・空間の住人も孤独との戦いの日々だったのです。



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