悪い冗談 公演情報 悪い冗談」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
21-27件 / 27件中
  • 満足度★★★★

    難しいなぁ
    アマヤドリさんとなって、初めての本公演でした。

    舞台も大きくなって、出演者も大勢で、外国の役者さんも入って、客演の方も良い方ばかりで、とても良かったです。

    特に外国の役者さん達は、違和感なくやられてましたが、セリフの内容や立場を理解されてやっていたのかが知りたかったです。

    とは言え、いろんな難しいテーマを題材として取りあげた作品については、とても良かったと思います。

    空襲の部分は、まさに自分の住んでいるところの話で、自分の方が話したくなりましたが。。。

  • 満足度★★★★

    隙のない舞台
    作家ご本人が指摘の通り、当初のあらすじ説明とはかなり方向転換していたが、「悪と自由」のテーマは伝わってきた。
    三部作の完結編、今作だけしか見てないが、これはこれで独立した舞台と思った。あ、過去のあの話や実験部分は前2作とリンクする部分もあったのかな‥?
    社会的なテーマを扱っているけど、結構内容は重い。が、若いパワーが溢れ、舞台出演者の同世代が見たらもっと惹きつけられそうな魅力が溢れていた感じ。
    「東京」が舞台だが、この舞台では「TOKYO」と例えたほうがしっくりきそうな、過去と現在と未来の異空間を漂うような話だった。
    陸橋セットと光の演出も印象に残る。毎回見応えある群舞、今回のダンスは特に好き。自分で踊るとふしぎなおどりになってMP減らしてしまうのが悲しいが。
    約110分。

    ネタバレBOX

    奥の一室に若い男と女。女は途中出ていくが男はずっとそこにいる。
    公園内を走り回る男、ぶらついている男、着物姿の童女、花火を見るために集まった同窓生グループ、隣りには女子会、橋の上では今時の恋愛模様、研究室では命令と服従の実験、命令の命令。
    それは日本とアジア諸国の過去と現代の歴史のループのようにも透けて見えて来るような。

    酒宴の場面で、近隣アジア諸国から見た過去の近代日本の歴史を全く知らないごく一部のゆとり女子の幼稚な会話に、今後の日本の未来を想像したらつい憂い、でも自分たちがあの年代の時にも上の世代から似たようなこと思われてたんだろうな、己の過去を思い出し苦渋してしまった。
    戦時中、空襲を受けたのは東京だけではなく、大空襲の被害は日本各地にたくさんある。日本人は日本人でそのことをわかっているつもりだが、他国の人にはそれが理解しづらいというジレンマ。
    その国に暮らす誠意と悪意のないまぜの感情。大勢では絡みづらいが個人では絡み合っている友情。国の大罪とそれ故の悲劇。世界の国からコンニチワと言う割に時代と近隣アジアの渡り難い大河かな。
    唱歌斉唱から三波春夫の変調まで、日本の歌の豊富さにどこか懐かしさがこみ上げ、まだこの時代は輝かしい未来予想図が見えていたんだと思うと同時に言い知れぬ虚無も感じ、息苦しくなりそうだった。

    もう一度見れば、もっと深みにハマれるかもしれない。
    絶叫セリフは苦手なので、ジョギング青年の主張は少しうるさく感じたけど、いい舞台でした。
  • 満足度★★★★★

    隔てる川
    それに浮かぶ、水の泡のごとし。


    かなり呑気な気分で客席についた。

    (またまた、誤読的に感想を書いたら、とんでもなく、長文になってしまった)

    ネタバレBOX

    かなり呑気な気分で客席についた。

    それは、「「江戸」にも似たとある都市の姿」とか、「観光立国となるべく国全体をテーマパークと化」などという、当初の惹句に引っかけられた(笑)からである。

    しかし、花火のシークエンスからそこへ移っていくのかと思っていたら、「東京大空襲」。

    偶然とは恐いもので、3月10日のその日が近づいてきたことで、昔々に読んだ早乙女勝元著の『東京が燃えた日』をアマゾンで購入して読んだばかりだったのだ(子ども向けの本だけどね)。

    だから、空襲と隅田川の様子を描写したシークエンスというか、説明台詞には、かなり揺さぶられた。いや、気分が悪くなったと言っていい。読んだばかりの本の内容がリピートされてしまったからだ。それは、もう、外に出ようかと思ったほど。
    隣とか後ろの観客には、変な感じになっている私は気持ちが悪かったかもしれない。それには、申し訳ないと思う。

    さて、舞台だが、東京大空襲はとても強烈なイメージだったが、「川」が象徴的に表現されていた。
    「赤い帯」として。

    最初は受刑囚と被害者家族との「埋められない溝」のようなもの、であると思っていた。
    「赤い」ということで、かなり強烈なイメージを受けた。
    被害者が流した「血の色」であり、また加害者が浴びていて、一生、拭い去ることができないものだからだ。互いにその色が見えて、自分の身体にも見えているはずだ。そして、それを拭うことができなければ(自分だけでは拭えない)、両者の溝は埋まらないということ。

    「殺してほしい」「殺したい」「しかし、しない」というやり取りが、単純に復讐すれば終わりではないことを示している。

    そして、隅田川のシーンとなる。
    3月ぐらいの季節外れの花火大会を待っている、男性と女性のグループが隅田川を訪れる。
    両グループは、片方は男性がほとんどで女性が1人、もう片方は女性がほとんどで男性が1人というグルーブだ。しかも、男性側には韓国人がいて、女性側には台湾の人がいる。

    いつまでたっても上がらない花火から東京大空襲がオーバーラップするような方向へ行く。

    それを導くのは、けんけんぱ、をしながらやって来る少女だ。
    浴衣のような衣装を身にまとっている。
    人には見えない存在らしい。

    浴衣は花火を連想させるが、彼女が引きずってきたのは、東京大空襲である。

    この少女と隅田川、そして、多くの死者たちから連想したのは、能の『隅田川』である。
    子どもを亡くした狂女が、隅田川にやってきて、死んだ子どもの話を聞き、それは自分の子どもだと悟る。狂女(母)が念仏を唱えると子どもの亡霊が現れるのだが、やがて朝になり、消えていくという話だ。
    びっくりしたのは、この能のストーリーの設定が「3月」ということだ(気になったので、家に帰ってから調べた)。

    なんと東京大空襲と重なってくる。偶然だとは思うが。

    なので、浴衣の少女は、空襲によって隅田川で亡くなった子どもではないかと思ったのだ。
    彼女が現れているのは、夜であるし。

    そもそも隅田川の花火大会は、もともと死者の霊を弔うために行われていたもので、そういう意味でも3月の花火大会なのである。

    台湾の女性が、川について話す台詞がある。
    正確には覚えてないが、「目の前の川は、ずっとあるが、違うものである」というようなことだ。
    それを聞いてピンときたのが、『方丈記』。
    「水の泡のごとし」なんだな、と。

    (正確には覚えてないので、先ほど調べたものを書き写す)
    「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」

    過去と現在と、そして、たぶん未来が交差する舞台の上は、「川」だったのだ。
    人(の世)は、水の泡の如し、である。

    犯罪者と被害者を隔てているのも川。
    生者と死者を隔てているのも川。

    人の罪は、時代が変わっても変わらない。
    人が死んで悲しむことで生まれるのが「罪」である。

    しかし、人はそれに対していろいろと屁理屈を捏ねる。
    マラソン男がベンチで独白する台詞が強烈である。

    焼夷弾に焼かれて死んでいった者に「罪」はあるのか。

    アダムとイブから背負ってしまった「原罪」があるのか。

    そういうところへ、気持ちは持っていかれた。

    しかし、ラストは違っていた。
    「花火」を待ちわびる2つのグルーブはやすやすと、川を越え、1つの合唱となっていった(2部合唱・笑)。

    これがひとつの「答え」なのではないだろうか。

    つまり、川には「橋」が架かっている。舞台にも大きな橋が架かっていた。
    その橋の上で人は炎に責め立てられるのだが、そうでないシーンがあった。

    転勤で宮崎に行く予定の男性と、彼と付き合っている女性のシーンだ。
    なんとなく、「別れること」を前提として、特に男性は話を進めているのかと思っていたら、どうもそうではないらしい。女性に仕事を辞めて宮崎についてきてほしい、というのが本音のようだ。うまく話せないのがいい。簡単ではないからだ。

    「橋の上」には「愛」がある。
    炎によって命を奪った場所の橋が、愛の橋となっている。
    それが、さきほどの「答え」を強化する。

    「人間なのだから」という台詞が何度か象徴的に発せられるものそれである。

    台湾の女性と韓国の男性から、わかるのは、われわれはあまりに近隣の人々に対して「無知」であることだ。言語のことや民族のこと、対日感情など、知らないことばかりで、それを素直に尋ねることで知ることができる。これもキーワードではないか。

    踊りには「富士山の初日の出」と「隅田川の様子(焼け野原の東京と死体)」が語られる。
    そこには、「祈り」がある。

    つまり、「人間だし」「話せばいいし」「愛があればもっといい」ということだ。
    それによって、未来が良くなるのではないか、という(ロマンチックすぎる)広田さんの祈りが込められている物語とみた。

    冒頭の受刑囚と被害者の家族も、なぜか対話をしている。
    「赦す」ということはできないとしても、「対話」はできる。
    というか唯一の方法ではないか。

    ラストは、花火を見に来た男が、高校時代の友だちと出会うシーンが再現される。
    この「一歩」から、友だちが集まり、女性グループと一体化していく。

    つまり、ここが「現在」の、「2015年の3月」の姿ではないか。
    今、混沌としている世界が、より良くなるための、「一歩」を踏み出している、という希望を込めたシーンではないか、と思った。
    ここから、その一歩が踏み出せるのだ。

    「罪」とか「悪」とかというレベルではない、もう少し「高み」へ作品が昇っていきそうな具合で、三部作は幕を閉じる。

    ただし、もちろん、それは、そんな簡単にはいかない。
    マラソンをしている男の存在がそれを示す。
    彼が常に舞台の上に「不安」を撒き散らしている。
    「通り魔」という言葉が、身体にまとわりついている。
    弱い者だけを狙った通り魔。
    それが「人間だ」と言っているようでもある。
    そして、受刑囚が、暗転の中で、わざわざ這って「川」を越えていく姿は意味深すぎる。

    今回の作品は、多方面へ広げていきながら、最後にシュッと収まり、別世界へ連れて行ってくれるような、アマヤドリ的快感には少し足りなかった。アマヤドリは演劇的な表現がとても優れているカンパニーだと思うから。

    とても失礼な言い方をすれば、今回上演して、それを再咀嚼した上で、再度吐き出して、再演したものを観たい、と思った。
    つまり、今、固いままの、いろんなエピソードやシークエンスを砕いて、練り上げ、さらに「演劇的な面白さ」を追加したら、凄い作品になるのではないかと思うのだ。

    中村早苗さんと笠井里美さんが揃って舞台の上にあるのが、とてもいい。
    この2人が声を揃えて言う台詞が好きだ。
    ト書きのような台詞でさえ、美しく感じる。

    渡邉圭介さんの、なんとも、あの、恋人に気持ちを伝えようとする、もどもどした感じがいい。
    今回も糸山和則さんが屈折して(開き直った)受刑囚にしか見えない。

    今回もいい塩梅で笑いがあった。

    まだまだ書きたいことがあるのだが、長すぎるのでこのへんにしておく。
    できれば、もう1回観たかった。
  • 満足度★★★★

    スタイリッシュなお芝居☆
    悪と自由 三部作すべて観ましたが、 今回のお芝居が一番良かったです。

    都会的というか何というか、  独特な 演出なんだけど、 ここの役者さんたちは、 ホント うまい!と思います☆

    ネタバレBOX

    なんか 観終わった後、 不思議な感覚がありました。。   
    楽しいわけじゃなく、  感動したわけでもなく、  だけど 退屈してたわけでもなく、、、  最後まで すごく集中して観れた気がします。。  
     
    どんな人の中にも 「悪」 は潜んでいるもの   
    人間の  残酷さ、 愚かさ を描き出しているように感じたけど、 最後は 闇の中に 光が見えるような  そんな終わり方だったように思いました。
          4.2 点
  • 満足度★★★★

    ドン、ドドン!
    追記前の「事前のあらすじ」を念頭においての観劇だったので、開演しばらくは正直戸惑いました。あれ、なんだか様子が違うぞ、と。そして物語が始まっているのかいないのか、それも判然としないままで舞台上にいくつもの場面が入れ替わり立ち替わり。その場で起こっている事を淡々と見ている事を強いられているような気持ちになったころ、いよいよ物語を探すのがシンドくなってきました。
    でも、物語を探さずともそこに世界はずっとあり、ずっと動き続けています。そしてそれを見ている事は決して不愉快ではなかったのです。

    全部を見終えての感想は「これこそが悪い冗談だ」。
    どこに主眼を置こうが、何を正面から見ようが、それは主観でしかなくて、補正がかかってて、自己擁護が常に働いて。
    そんな我々の生命活動なんて「悪い冗談」だ。

    それもまた、悪い冗談なのでしょうか。
    ぐるぐるするね。

    アマヤドリの真骨頂の集団パフォーマンスは今回も見事。
    鳴り響く足音、打ち上がる花火、そして70年を渡った爆発音。
    シアターイーストがはちきれそうになった瞬間でした。

  • 満足度★★★★

    みてきた
    前観たときと芸風がかわったような。私にはいいようにかわってたように思います。

  • 満足度★★★★

    奥が深い@@
    単純に戦争反対でもないような・・・

    ほぼ全編ランニングしている意味は?

    いろいろ考えさせられます。

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