狂騒曲 公演情報 狂騒曲」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    歌舞く
    芸能に対する深く的確な見方と芸能者の何たるかを矢張り深く理解したシナリオ作者の力量を見せつけるシナリオに、物語の運びの上手さ、役者たちの好感の持てる演技が加わり、良い舞台に仕上がっている。

    ネタバレBOX


     物語の舞台は、田沼意次の最も活躍した時代から、松平 定信へ移る辺りの1780年頃から87年頃と見てよいうであろう。実際、田沼が、手掛けようとした印旛沼干拓及び利根川との水利工事などの話も出てくるから、日本史の史実もかなりキチンと踏まえている。定信との確執もまた然り。同時に阿國歌舞伎に発した歌舞伎という芸能と浮世絵との関係や、今作では舞いに代表されている芸能者とパトロン、芸能者魂と政治、天才芸能者同士の確執やアウフヘーベン。更には、優れた芸能者を抱えて一儲けしようだの、出世しようだのと企む輩。巡る因果や親・友・師弟間の情などの要素が見事に絡み合って終幕へ向かう。終盤の仕掛けも工夫があってグー。初日を終えたばかりだから、余り詳しいことは書かないが、バランスの良い深みのある作品である。

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