満足度★★★★★
見事に世界が立ち上がった!
初日観劇致しました。
場内は森の中のサーカス小屋。天井は三角の布をはぎ合わせたテント。ステージ後方の草むら(?)がリアル。
末原寓話らしい、心が痛くて切な過ぎて、でも愛にあふれた物語。
90分にわたるその世界をたった一人で描き切った酒井さん。「根性ありそう」「面白そうな(興味深い)人」、そういう印象を持っていたが、まさにその底力を見せつけた。
3人の女性を演じ分けたが、舞台上はたったひとりなのにちゃんと一人一人の姿が見えた。景色が、その場の空気がとてもクリアに目の前に立ち上がっていた。この世界を編み上げるのが並の努力ではないということは素人目にも確かなこと。お世辞にも上手いとは言えない歌も、とても気持ちの入ったものだった。
そう、気持ち、気合い、気迫、心意気、そういったものに全編貫かれていたから惹きつけられ目が離せなかった。ラストの笑顔はとても力強く決意の表れに感じた。
物語の完成度の高さと相まって、間違いなくどこに出しても恥ずかしくない「酒井香奈子の代表作」。
ギルムルの花束を抱えて、全国ひとり芝居ツアーなど出来たら素敵だと思う。せめて故郷に凱旋公演!これだけはどうしても実現させて欲しいと切望します。